引退のごあいさつ

　藤波貴久は、2021年シーズンを持って、26年にわたる世界選手権トライアルへの参戦を退くことにいたしました。長い間、みなさまに応援していただき、充実した四半世紀をトライアル競技に捧げることができました。ありがとうございました。

　ずっと応援し続けてくれたファンの皆様、ぼくのレース活動を支えてくれたチームのみなさま、スポンサードいただいた各社のみなさま、最も身近で応援してくれたぼくの家族に、26年分の大きな感謝を捧げたいと思います。

　16歳になり、世界選手権に参戦することになったぼくにマシンを提供してくれたのは、ホンダ＝モンテッサさんでした。以来、最後までこのチームで戦い続けることができたことは、ぼくの誇りになっています。

　日本からきたぼくのデビュー戦、スペイン大会のギャラリーのみなさまの声援は、今でも耳に残っています。初優勝のドイツ大会、なかなか勝てなかった苦難の日々、そして2004年のチャンピオン獲得。すでに遠い昔の思い出ですが、いずれもぼくの宝です。

　2000年から始まった日本GPでは、毎回、熱烈な応援と、新しい出会いがありました。ぼくがここまで長くレース活動を続けられたのは、こんなみなさまのおかげだと、あらためて感謝にたえません。

　レース活動を引退し、これからどんな人生を歩むのか、まだはっきりは決まっていませんが、トライアルとはまだまだ長いつきあいになるのではないかと思っています。第2のトライアル人生をスタートさせる藤波貴久を、どうぞよろしくお願いします。

　みなさまには、直接ご挨拶差し上げたいところですが、こんなご時世ですのでなかなかままなりません。近いうちに、みなさまと直接お会いできる日が来るのを、楽しみにしています。

　今週末、ポルトガルでの土曜日が、ぼくの最後のトライアルGPになります。最後まで手を抜くことなく、精いっぱい走り抜きます。

2021年9月15日
藤波貴久