2021年 世界選手権第7-8戦スペイン

2021年9月11-12日/Pobladura(スペイン)

9位と7位、苦手会場だったが、ちょっと残念

photo4位まであと30秒だったフランス大会から2週間。ファクトリーでしっかりマシンの調整を施し、世界選手権スペインGPは北西部のポブラデューラでの開催だ。

ここは去年も開催されたところで、当初は別の開場が予定されていた。しかし時節柄、いろいろな問題が出てきて会場が変更。去年同様のこの場所が今年も会場となった。

正直なところ、藤波はこの会場が得意ではない。成績が出ないから苦手意識があるのかもしれないが、ともあれ、あまりゲンのいい会場でないのは確かだ。もちろん、苦手だからとあきらめてしまう藤波ではない。苦手なら苦手なりのフジガススタイルがある。

■1日目

第1はスタート直後の人工的に岩が配置されたセクション。第2は丸太と石。そこから山に入り、土の斜面。第5から川のセクションとなり、第9を終えて山を1周し第10。第11と第12は第1の隣、ゴールの直前に設けられていた。

photo第1は難セクションだったが、藤波はここで5点となって試合をスタートさせた。このセクション、クリーンで抜けられたのはトニー・ボウとミケル・ジェラベルトの二人だけ、ガブリエル・マルセリが1点の他は、みんな5点だった。

第4のふかふかからの登りで5点、第7と川のセクションで5点、これは全員が5点になった難セクションだったが(2ラップ目に設定が変更された)、その後、第10から第11、第12と3連続5点となってしまったのは痛かった。1ラップ目、藤波の減点は40点で、1ラップ目終了時点では8位。7位のマテオ・グラタローラには5点差、6位のジェロニ・ファハルドには6点差だから、挽回逆転のチャンスはあった。2ラップ目に調子を上げてくるのはこのところの藤波のパターンだ。

photo休憩時間を置いての2ラップ目、1ラップ目で失敗した第1は3点、第4はクリーンと挽回傾向だ。1ラップ目に3点で抜けた第6で5点、さらに設定の変わった第7でも5点と後半になって、ちょっと挽回のペースが落ちてきた。第8から第9までは5点もない代わりにクリーンもなく、19点と悪くはないスコアで最終セクションに到着した。

ここで計算ミスが生じた。藤波の計算では、9位のカサレスには5点以上の点差があり、7位には7点差があった。なので最終セクションは5点でも結果は変わらず、むしろ時間が残り少なくなっていたから、じっくりトライをしている余裕がなかった。それであっさり5点となって試合終了としたのだが、結果を見るとカサレスとは同点、8分の時間差で、藤波は9位となっていた。

8位になり損ねての9位だが、もはや9位でも8位でも、という感じでもあったが、ちょっとくやしい結果ではあった。

■2日目

photo明けて日曜日、セクションにはだいぶ手が入れられ、土曜日にクリーンの多かったセクションも難易度が高められていた。

第1、第2と連続5点で始まった日曜日。前日が9位でスタート順が早いので、下見には時間がかかった。これはいたしかたない。

土曜日は、どちらかといえば前半が減点が少なく、後半になって失敗が多かったのだが、日曜日になると、第6セクションまでに24点を失ってしまった。しかしそこからが、フジガスらしい走りっぷりになった。

第7、第8と1点、第9、第10とクリーン。第11では前日に見つけた岩の前のベストラインに岩を置かれてラインをふさがれてしまっていたのだが、これをフロントタイヤで蹴飛ばして道を空け、見事クリーンしている。置き石などにはことのほか厳しかったこの日のオブザーバーたちだが、トライ中のマシンが石や岩を蹴飛ばすのは不可抗力以外のなにものでもない。

photo1ラップ目、藤波は6位だった。昨日同様、2ラップ目に追い上げれば、悪くない結果が出そうだ。

藤波のこの日一番の失敗は第4セクションだった。藤波のエンジン特性から、ふつうに加速してふつうに越えれば楽勝で上がれるはずのこのセクションだが、2回とも落ちてしまった。ほかのライダーが苦労して攻略しているのを見て、それに惑わされた結果の失敗だったが、絶対の自信を持ってのトライだっただけに、ここで1ラップ目も2ラップ目も5点になったのはくやしいところだった。

11セクションに着くと、今度は藤波がどかした岩が、別の岩と抱き合わせとなってテープが巻かれていた。こうなるとテープを切らずに岩をどかすこともできず、きっかけなしで挑んで5点。これで、前日の2ラップ目と同様の減点24で試合を終えることになった。

きのうより10点以上スコアを伸ばしてきた藤波だが、ライバルも同様に減点を減らしてきていた。ミケル・ジェラベルトには9点差を明けられ、ホルヘ・カサレスには5点のリードをとっていたが、1ラップ目の6位から7位にひとつ順位を落としてのゴールとなった。

photoランキングは、これでジェラベルトと同点となったが、藤波には優勝があるので、藤波が5位、ジェラベルトが6位で、最終戦ポルトガル大会は、トライアル・デ・ナシオンと同じ会場で、その土曜日に開催される。

飛行機に乗っての移動をきらって、チームはこの会場に数日滞在の後、ポルトガルへ移動することになる。

○藤波貴久のコメント

「とにかく、第4で5点5点だったのがくやしいです。もしそれが両方ともクリーンなら4位争いだったので、それほど悪い感じではないですが、でも表彰台争いに届く感じじゃないので、ちょっと残念ですが、今回はこんなところかな。次はゴウベイヤ。走ったことのある会場だと思うんですが、エリアがちがうという話もあるので、どんなところなのか、行ってみてのお楽しみです」

土曜日
1位 トニー・ボウ (スペイン・モンテッサ) 16  28
2位 アダム・ラガ (スペイン・TRRS)  36  17
3位 ハイメ・ブスト (スペイン・ヴェルティゴ)  37  13
4位 ガブリエル・マルセリ (スペイン・モンテッサ)  44  12
5位 マテオ・グラタローラ (イタリア・ベータ)  52  9
6位 ジェロニ・ファハルド (スペイン・シェルコ)  56  10
7位 ミケル・ジェラベルト (スペイン・ガスガス)  57  10
8位 ホルヘ・カサレス (スペイン・ガスガス)  64  8
9位 藤波貴久 (日本・モンテッサ)  64  6
10位 ブノア・ビンカス (フランス・ベータ)  70  8
World Championship 2020
日曜日
1位 トニー・ボウ (スペイン・モンテッサ)  22  14
2位 ハイメ・ブスト (スペイン・ヴェルティゴ)  24  18
3位 アダム・ラガ (スペイン・TRRS)  30  12
4位 ガブリエル・マルセリ (スペイン・モンテッサ)  41  11
5位 マテオ・グラタローラ (イタリア・ベータ)  41  13
6位 ミケル・ジェラベルト (スペイン・ガスガス)  42  12
7位 藤波貴久 (日本・モンテッサ)  51  8
8位 ホルヘ・カサレス (スペイン・ガスガス)  56  10
9位 ジェロニ・ファハルド (スペイン・シェルコ)  67  5
10位 ブノア・ビンカス (フランス・ベータ)  83  3
世界選手権ランキング
1位 トニー・ボウ (スペイン・モンテッサ) 152
2位 アダム・ラガ (スペイン・TRRS) 133
3位 ハイメ・ブスト (スペイン・ヴェルティゴ)  107
4位 マテオ・グラタローラ (イタリア・ベータ)  101
5位 藤波貴久 (日本・モンテッサ) 85
6位 ミケル・ジェラベルト (スペイン・ガスガス) 85
7位 ガブリエル・マルセリ (スペイン・モンテッサ)  79
8位 ジェロニ・ファハルド (スペイン・シェルコ)  72
9位 ホルヘ・カサレス (スペイン・ガスガス)  50
10位 ブノア・ビンカス (フランス・ベータ)  32
11位 ダン・ピース (イギリス・シェルコ)  20
12位 テオ・コライロ (フランス・ベータ)  5