アンドラは、パドックから一度スタートして、標高の高い第2パドックのようなところへ入って、そこから本格的に試合が始まるシステムだった。その間にウォーミングアップしていきなさい、という設定だ。ところがここで、藤波はクラッシュ、右腕を痛めてしまった。
それゆえなのか、それ以外の理由、たとえばセッティングなどの問題なのか、アンドラの土曜日はさんざんだった。1ラップ目ときたら、第4セクションをクリーンした以外の9セクションでことごとく5点。12人の参加者中、これは最下位になる。
第1はずれたラインを修正しているうちにストップをとられた。厳しすぎるストップ判定だった。第2は第1の5点を引きずって、ストップを警戒しすぎたかもしれない。もうちょっとしっかりためていけば、登れていたと思われる。第3は厳しいセクションだった。第4をクリーンし、第5はまたストップをとられた。第7、第8はむずかしいセクションで5点。第9は、みんなが5点になったところは越えていながら、最後のポイントでストップをとられてしまった。最終セクションは、マインダーと接触したということで5点。あたったといえばあたったのだけど、接触しただけで手を出してもらったわけではない。半分以上は、運が悪い感じではあったけど、それにしても悪すぎる。
2ラップ目、少々調子が上向いた。2ラップ目から3ラップ目、痛み止めの効果が完全に切れていたが、飲み薬で走り切ることにした。身体が冷えてくると痛みが増すので、下見時間が長い1ラップ目より、痛みが出にくかった。
2ラップ目のラップスコア20点は、それだけ見れば、トップ争いができるレベルだ。3ラップ目は少し減点を増やしたが、それでも2ラップ目と3ラップ目のスコアなら、よくも悪くもない、ふつうの状態といえたかもしれない。試しに2ラップ目3ラップ目の結果だけで順位を集計すると、藤波は4位相当になる。1ラップ目の45点もの減点が、すべてを決した感じだ。2ラップ目3ラップ目の走りで、1ラップ目の12位から7位までポジションを回復したのが、せめてものラッキーだった。
アンドラの1日目は、1ラップ目はさんざんだったが、2ラップ目あたりから、少し様子が上向いた。2ラップ目からはセッティングを変更して、それが功を奏して新型エンジンに慣れてきた実感もあった。開幕戦までにしっかり乗り込んでいたから、すでに充分慣れているはずだったのだが、始まってみたらそうではなかった。やはり、実戦の慣れは実戦で培わなければだめらしい。それがここへきて、ようやくかたちになってきた。
2日目は、痛み止めは飲み薬だけにして、スタート前の注射はなしにした。痛みがないわけではないが、1ラップ目に5点ばかりだったのを改善する意味でも、この日は飲み薬だけで乗り切ってみようと思ったのだ。
いい調子で走れているのではないかという感覚は、走りながらでもなんとなくわかっていた。うまくすれば表彰台に上がれるかもしれない。いまだに、うまく歯車があえば表彰台に乗れる実力はあると信じている。
2ラップ目、調子づいてきたところで、ハンドルから手が外れて、第3セクションのなんでもないところで5点になった。第6は、みんなが失敗していた(トニー・ボウもここで失敗した)最後のステアは1ラップ目にクリーンして自信があったのだが、その手前で失敗して2ラップ目3ラップ目に5点をとってしまった。
この日の藤波は、3位カサレスに2点差で4位。3ラップ目第8セクションでのカサレスのクリーンが勝負を決した。カサレススも藤波も、第8セクションは2ラップ目まで抜けられていなかった。藤波も3ラップ目には3点で抜けたのだが、届かなかった。
最終セクションのトライは、藤波がカサレスより数分先行していた。最終セクションはクリーンして当然のセクションだったが、表彰台がかかっているということでかたくなって失敗しないかという期待はなくはなかったが、そこはカサレスも順当にクリーン。カサレス3位、藤波の4位が決まった。
今回のカサレスはうまかった。カサレスだけではない、このところ、若手がみんな実力をつけてきている。今シーズンの藤波はちょっとつまずいてしまったが、そうでなくても、このシーズンは、誰が3位になっても8位になっても不思議でない。そんな状況が、今の世界選手権だ。
いけるかいけないかのセクション設定が災いしてか、今年は藤波ならずとも失敗の5点が多い。最終戦は3週間後、ランキング争いも大接戦になってきた。
「スタート前の打撲は、痛み止めで切り抜けました。影響は、まぁなかったと思いたいです。それにしても、1ラップ目が悪すぎました。運がなかったとか考えようもあるけど、なにもかもが重なりました。5点ばっかりだから乗れてるとは言いがたかったけど、絶望的に自分がダメという感じでもなかったので、2ラップ目以降の挽回につながったんだと思います。聴視は特にいいわけでもなく悪くもなく、これくらいがふつうという感じで、もう少しよければ表彰台が狙えたのだと思います。ランキングは接戦なので、もう少しなんとかなるかなと思います」
土曜日 | ||||
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1位 | アダム・ラガ | スペイン・TRRS | 50 | 14 |
2位 | トニー・ボウ | スペイン・モンテッサ | 56 | 11 |
3位 | ホルヘ・カサレス | スペイン・ガスガス | 73 | 8 |
4位 | ガブリエル・マルセリ | スペイン・モンテッサ | 79 | 8 |
5位 | ジェイムス・ダビル | イギリス・ベータ | 82 | 8 |
6位 | ハイメ・ブスト | スペイン・ヴェルティゴ | 83 | 7 |
7位 | 藤波貴久 | 日本・モンテッサ | 93 | 4 |
8位 | ブノア・ビンカス | フランス・ベータ | 98 | 7 |
9位 | ジェロニ・ファハルド | スペイン・シェルコ | 98 | 3 |
10位 | ミケル・ジェラベルト | スペイン・ガスガス | 101 | 4 |
日曜日 | ||||
1位 | トニー・ボウ | スペイン・モンテッサ | 28 | 16 |
2位 | アダム・ラガ | スペイン・TRRS | 48 | 14 |
3位 | ホルヘ・カサレス | スペイン・ガスガス | 70 | 12 |
4位 | 藤波貴久 | 日本・モンテッサ | 72 | 11 |
5位 | ミケル・ジェラベルト | スペイン・ガスガス | 74 | 9 |
6位 | ハイメ・ブスト | スペイン・ヴェルティゴ | 77 | 10 |
7位 | ジェロニ・ファハルド | スペイン・シェルコ | 79 | 9 |
8位 | ガブリエル・マルセリ | スペイン・モンテッサ | 80 | 7 |
9位 | ジェイムス・ダビル | イギリス・ベータ | 94 | 7 |
10位 | ダン・ピース | イギリス・シェルコ | 96 | 9 |
世界選手権ランキング | ||||
1位 | トニー・ボウ | スペイン・モンテッサ | 112 | |
2位 | アダム・ラガ | スペイン・TRRS | 102 | |
3位 | ハイメ・ブスト | スペイン・ヴェルティゴ | 81 | |
4位 | ホルヘ・カサレス | スペイン・ガスガス | 66 | |
5位 | ガブリエル・マルセリ | スペイン・モンテッサ | 59 | |
6位 | 藤波貴久 | 日本・モンテッサ | 57 | |
7位 | ミケル・ジェラベルト | スペイン・ガスガス | 56 | |
8位 | ジェロニ・ファハルド | スペイン・シェルコ | 54 | |
9位 | ジェイムス・ダビル | イギリス・ベータ | 48 | |
10位 | ブノア・ビンカス | フランス・ベータ | 42 |