2019年 世界選手権Xトライアル第1戦ブダペスト(ハンガリー)

2019年1月20日/Budapest, Hungary

出鼻くじかれ8位に終わったブダペスト

photo2019年開幕戦はハンガリーの首都、ブダペストでのXトライアル。去年の開幕戦は、藤波は出場しなかったが、今年は出場。第2戦のバルセロナ大会にも出場が決まっているが、その後の出場は未定となっている。Xトライアルは、昨年のXトライアルランキングや国籍のバリエーションを考えて5名がノミネートライダーとして選ばれ、それ以外の4人はそのつど主催者によって選択される。

今回のブダペストは、セクションが全部白いコンクリートだった。なんでも、会場にははるばるフランスから大木なども運び込まれていたとのことだが、消防署が燃える素材をオートバイで走るのは許してくれないということで、予定と異なり、セクションも少々変則的な作りになっていた。

ラウンド1と呼ばれるいわば予選は5セクションを6分で走り、ラウンド2は6セクション。その後、優勝決定戦と3位決定戦がおこなわれてスケジュールは完了する。

ラウンド1は、藤波は三人目のトライとなった。最初に、Xトライアル初登場の、イギリスのダン・ピースが走り、次がホルヘ・カサレス、三番目が藤波だ。カサレスと藤波は、昨年のランキングによって順番が決まっている。

ピースは、新人らしく5セクションですべて5点だった。続くカサレスは、5点二つ、2点二つ、1点一つで15点。藤波の後に6人走って、ラウンド2に進出できるのが6人だから、まずはカサレスの点数を上回っておくのが、ラウンド2進出には必須のこととなった。藤波のもくろみでは、第1、第2は1点か2点、第3、第4はクリーン。第5はちょっと自信がなかったのでできるだけがんばるとして、最悪5点でも10点内外。10点を切れば、ラウンド2進出はできるのではないかと考えていた。

ところが。Xトライアルならでは、スタジアムでの独特の緊張感からか、第1セクションのインでいきなり5点になってしまった。これは痛い。スタート前に目論んでいた計算が、いきなりぶっ飛んでしまった。予定では、ここは2速でトライするつもりだった。でもいざセクションに入ったら、3速を選んでしまった。2速はメリハリがあるも、きっちり合わせて走る必要がある。その点3速は、もう少し勢いで走れてごまかしは効く。ポイント直前の、微妙な気持ちがギヤを選ばせたのかもしれない。そして、それが原因ではないのかもしれない。しかし結果的に、3速でトライしてブロックにはまって、5点になってしまった。

第1は1点か2点で抜ける予定だったから、少なくとも3点損をした。それを取り戻さなければいけないと、どこかで考えてしまったかもしれない。

続く第2セクション、当初はここも1点か2点で抜けようと考えていた。Xトライアルではアンダーガードがセクション構成物にこつんとあたると1点をとられる。減点なしで抜けようと思うと、前輪をきれいにつったまま障害物を越えていかなければいけない。難所はクリアして、あとはぴょんぴょんと飛んでアウトまでマシンを運べばよしというところまできて、着地でアンダーガードを当てないように前輪をつろうとしたところ、滑ってしまって5点になった。ここで1回、足をつきをいけば、確実に走破できたところだが、第1セクションで5点になっている身としては、ここで取り返しておかなければいけない戦況だった。

さて、これですでに減点は10点。これはかなり分が悪い。

第3はクリーン狙いだったが、クリーンを狙ったがため、アンダーガードがかかってしまい1点、足をついてそこから脱出したのでまた1点。2点を失うことになった。

第4は、ガードを置きに入ったのだが、ガードを接地させてから一発で脱出するのはなかなかむずかしい。2点でアウトとなった。ただこのセクションは、9人のうち6人が5点となっている。アダム・ラガやハイメ・ブストも5点だから、なかなかむずかしいセクションだったのだ。この2点で、ここまでで14点となった。カサレスの減点を上回るには、第5セクションをクリーンしなければいけない。

最後の第5セクションは、9人中5人が5点になっている難セクション。藤波も、残念5点になってしまった。トータル19点。カサレスに4点差だから、ラウンド2進出はきわめてむずかしいことになった。

案の定、次に出てきた3人、ジェロニ・ファハルド、ジェイムス・ダビル、ハイメ・ブストは、それぞれ11点、16点、13点。最終組のトニー・ボウ、アダム・ラガ、ハイメ・ブストがそれぞれ1点、6点、13点だったので、ラウンド2に進出するのはボウ、ラガ、ファハルド、ブスト、ビンカス、カサレスの6人に決まった。

藤波は、ダビルに3点差で8位という結果になった。第1セクションで5点になったのが敗因のすべてだったが、これもインドアの魔物。次はモンテッサのホームタウンであるバルセロナ大会。藤波はバルセロナ大会は18回目の出場で、これは最多出場なのだそうだ。

○藤波貴久のコメント

「インドアは、アンダーガードのわずかな接地でも1点をとられるし、スタジアムならではの緊張もあり、ぼくにとってはなかなか手ごわい舞台です。それでも今回は1点か2点でなら確実に走破できるところで2回5点となってしまったのがすべての敗因です。ぼくのスコアから6点引けば、ラウンド2には進出できていたということになるのですが、こういう負け方も、インドアではままあること。次は地元の大会ですから、きっちり走りたいです」

X-TRIAL 2019
Final(決勝)
1位 トニー・ボウ モンテッサ 10
2位 アダム・ラガ TRRS 14
RUNNERS-UP FINAL(3位決定戦)
3位 ジェロニ・ファハルド ガスガス        2
4位 ハイメ・ブスト  ガスガス 12
Round2(セミ・ファイナル)
2-1位 トニー・ボウ    モンテッサ     2
1-1位 アダム・ラガ     TRRS    7
2-2位 ハイメ・ブスト    ガスガス     6
1-2位 ジェロニ・ファハルド    ガスガス     8
2-3位 ブノア・ビンカス    ベータ     8
1-3位 ホルヘ・カサレス    ヴェルティゴ     15
Round1(クォリファイ)
1位 トニー・ボウ    モンテッサ     1
2位 アダム・ラガ     TRRS    6
3位 ジェロニ・ファハルド     ガスガス    11
4位 ハイメ・ブスト    ガスガス     13
5位 ブノア・ビンカス     ベータ    13
6位 ホルヘ・カサレス     ヴェルティゴ    15
7位 ジェイムス・ダビル    ベ ータ     16
8位 藤波貴久      レプソルHondaチーム   19
9位  ダン・ビース     シェルコ     25
PointStandings(ランキング)
1位 トニー・ボウ    レプソルHondaチーム     20
2位 アダム・ラガ    TRRS     15
3位 ジェロニ・ファハルド    ガスガス     12
4位 ハイメ・ブスト    ガスガス     9
5位 ブノア・ビンカス     ベータ    6
6位 ホルヘ・カサレス    ヴェルティゴ     4
7位 ジェイムス・ダビル    ベータ     3
8位 藤波貴久     レプソルHondaチーム    2
9位 ダン・ピース      シェルコ   1