インドア世界選手権、その第2戦。まず、開幕戦で不評だったルールのいくつかは、今回手直しをされていた。根本的な解決になったかといえば、ライダーにはまだまだ不満も多いが、それでも開幕戦のときよりはだいぶふつうにはなっていた。
まず、最初に行われるクォリファイの結果が、ファイナルの戦いとはまったく関連性がないという点について、若干の完全がなされた。前回は、クォリファイはファイナルに残れないライダーを選出するだけの意味しかなかったが、今回は上位4名はそのままセミ・ファイナルに進出できるシステムになった。
上位4名に入れば、ラストチャンス(敗者復活戦)などを走る必要もないし、余裕も生まれる。前回とはルール上はずいぶんの差が生まれた。前回の藤波はクォリファイ3位だったから、前回がこのルールだったら、少なくともクォリファイ敗退ということはなかったわけだ。
クォリファイトップはカベスタニーの2点、オールクリーンはしたものの持ち時間オーバーで2点減点(1分オーバー)となったのだが、ラガ、ボウはともに5点を含む6点だったから、ちょっとしたアドバンテージをとったことになる。この3人に続いたのが、減点9の藤波とファハルドだった。同点だったので、クォリファイに使われたセクションのひとつを使って、タイブレークが行われた。ここではファハルドが1点をつくも、藤波もやはり1点。勝負は走破タイムで決着をつけることになった。と、藤波の方が4秒ほど時間を使ってしまっていた。たった4秒だが、これでファハルドはクォリファイ4位でセミ・ファイナル進出が決定。藤波はラストチャンスに回ることになった。
ラストチャンスは、まずダブルレーンから始まる。藤波はグビアンと対戦。グビアンが負けて、1点。そうそう。前回まで、ダブルレーンで敗退すると2点の減点となったが、今回からは1点となった。レギュレーションを理解するのも、むずかしい。もう一対のダビルとウイグは、ウイグが勝っている。
そして2つのセクションを使ってのオブザーブドトライアル。第1セクションでグビアンが5点を取って、まずグビアンのセミ・ファイナルは絶望的になった。ダビルとウイグは1回ずつの足つきをし、さらにタイムオーバーがあって2点ずつの減点。ダブルレーンでウイグが勝っているから、トータルではウイグが2点、ダビルは3点、グビアンは6点。藤波は足つきなしで通過しつつ、タイムオーバーで1点、トータル1点。まず順当に実力を示している。
さらに二つ目のセクション。最初にトライしたのはウイグだった。ウイグはクリーン。タイムオーバー減点1点があって、トータルで3点。次にトライしたグビアンはここでも5点で敗退が決定した。さらにダビルがトライ。ダビルはタイムオーバーなしのクリーンで、トータルではウイグと同じ3点。最後にトライしたのが藤波だった。藤波は、セクション走破時間さえ早めにまとめられれば、2点までは足をつけると踏んで二つ目のセクションに臨んだ。このセクションでは、2ヶ所の気がかりなところがあった。もし不安があったら、がまんせずに足をついてマシンを進めようと決めて、藤波はトライ。まぁ予定どおりに2点でここを抜けた。
ところがここで、藤波はタイムオーバーの1点を宣告された。1分の持ち時間に、4秒遅れてしまったということだった。もくろみが狂ってしまったのは、ここだった。ダビルとウイグはそろって減点3、そして藤波が減点4。1点差で、ラスト・チャンスからセミ・ファイナルに進出する二人のライダーが決まった(FIM発行の結果表では、この部分のスコアにまちがいがある。ウイグと藤波はダブルレーンで勝利しているので、減点はない)。
今回は、藤波自身のわずかなミスがセミ・ファイナル進出を阻んだ。あいかわらず、ルールに首をかしげているライダーは少なくないが、それに翻弄されて実力が発揮できないのは、くやしいかぎりである。
クォリファイでファハルドにわずかの差で敗退したのもくやしいところだが、ここまではインドア百戦錬磨のスペイン勢。負けてもよいということは絶対にないが、勝ったり負けたりは不思議なことではない。しかしダビルやウイグのイギリス勢は、藤波が負けるはずがない相手である。クォリファイを見れば、藤波とダビルには2点差がある。さらにウイグには16点もの差がある。その点差がひっくり返ってしまうのが、今年のインドアのルールであり、藤波は、またひとつ、新たに学習しなければいけない課題をちょうだいしてしまったことになる。
今回の優勝は、最終セクションでボウがわずかに後輪を滑らせて、カベスタニーの勝利となった。足の調子がおもわしくないのか、ラガが3位、ファハルドが4位となっている。
「さんざんです。ルールの問題や、タイム計測の正確性など、問いたい部分もあるのですが、ぼくが実力を出せていないのも明らかです。今回でいえば、カベスタニーとトニーに届くのはむずかしいかもしれないけど、ラガやファハルドとはいい勝負ができたと思っています。少なくとも、こんな結果になってはいけない。これでもう、インドアシーズンについてはタイトル争いなどとはいえない状況になってしまいましたから、あとはとにかく、一戦一戦を大事に、実力を出し切るように戦っていきたいと思います」
Final Lap | |||
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1位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 5 |
2位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ・HRC | 6 |
3位 | アダム・ラガ | ガスガス | 14 |
4位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | 17 |
Semi Final | |||
1位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 5 |
2位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ・HRC | 5 |
3位 | アダム・ラガ | ガスガス | 9 |
4位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | 9 |
5位 | ジェイムス・ダビル | ガスガス | 13 |
6位 | アレックス・ウイグ | ベータ | 20 |
5位 | ジェイムス・ダビル | ガスガス | 3 |
6位 | アレックス・ウイグ | ベータ | 3 |
7位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ・HRC | 4 |
Qualificarion Lap(予選) | |||
1位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ・HRC | 0 |
2位 | アダム・ラガ | ガスガス | 2 |
3位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 3 |
4位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | 6 |
5位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ・HRC | 6 |
6位 | ジェイムス・ダビル | ガスガス | 9 |
7位 | ロリス・グビアン | ガスガス | 13 |
8位 | アレックス・ウイグ | ベータ | 17 |
PointStandings(ランキング) | |||
1位 | アルベルト・カベスタニー | 35 | |
2位 | トニー・ボウ | 35 | |
3位 | アダム・ラガ | 21 | |
4位 | ジェイムス・ダビル | 18 | |
5位 | ジェロニ・ファハルド | 15 | |
6位 | 藤波貴久 | 8 |