ぎりぎりの戦いだったが、3位表彰台を獲得することができた。開幕戦は2位入賞と幸先が良かったが、この2戦結果が出ずに苦しんだ。今回も、結果には100%満足しているものではないが、表彰台という最低限の目標をクリアしてひと安心というところだ。
クォリファイは4位で通過した。チームメイトで、この日タイトルを決める予定のトニー・ボウはあいかわらず絶好調で2点。これにジェロニ・ファハルド(ベータ)とアダム・ラガ(ガスガス)が4点でつづき、藤波は5点。さらにアルベルト・カベスタニー(シェルコ)が6点と、2位から5位までは大接戦のクォリファイだった。セクション設定が、あまり激しいものではないというのも、この神経戦を演出したといえる。
ファハルドとラガは同点だったが、2位がファハルド、3位がラガとなった。4位の藤波にとっても、この結果は他人事ではない。ファイナルの最初に設けられているダブルレーンの相手が、これで決定されるからだ。4位の藤波は、3位のラガと勝負をすることになった。
最初の勝負はマイケル・ブラウン(シェルコ)とカベスタニー。これは、順当にカベスタニーが勝利した。カベスタニーが勝ったなぁとくらいにしか見ていなかった藤波は、しかし次の瞬間、大きな損をしたことに気がついた。
ラガと並んでダブルレーンのスタートを待つ。いつもなら、ピッピッピとブザーが鳴ってスタートとなる。ところが今回、ピーと鳴ったのでさぁスタートだぞと身構えたところ、となりのラガがぴゅーんとスタートしていった。いつもとはスタート段取りがちがうらしい。完全に出遅れた。
ダブルレーンは、今年は2回続けて負けた。だからダブルレーンに負けない作戦も検討して、もう負ける予定はない。ところが今回は、スタート方法のちがいにやられて、万事休すだ。それでも途中の折り返しでなんとか追いついた藤波は、後半、ぐんぐん追い上げた。しかしやっぱり、スタートでの出遅れは致命的で、これは負け。いきなり、2点のハンディを背負って戦うことになってしまった。
ファイナルのセクションも、やはりいくぶん簡単めだった。事前に下見したライダーは、これではイマイチということで、ずいぶんと手直しをして難度を高めてもらった。難度はずいぶんと上がったが、それでも結局、そうは不可能というセクションはほとんどなかった。
セクションを走る藤波は、5点にならない走りを心がけながらも、攻める走りを続けていた。いい感じの走りができたと、本人も実感していた。それだけに、ダブルレーンでの2点が悔やまれるところだ。
むずかしいのは第3と第4。ここでカベスタニーとファハルドが落ちて、藤波は2点のハンディを背負いながら3位に躍り出た。悪くない。
その後、さらに2位を狙いたいところだったが、ラガとは最初から2点の開きがある。ちょっと苦しい。結局最終セクションで、藤波はカベスタニーとともに失敗して5点。カベスタニーに1点差で3位の座を獲得した。ラガとは4点差だった。
優勝のボウは減点1だからちょっと届かないにしても、ダブルレーンに勝ったラガとカベスタニーとは充分に勝負をしている実感がある。2位を狙いたいところだったが、ダブルレーンでの失敗もあって、今回は3位に落ち着いたというところだ。
ところで、実は藤波は、少し故障に悩まされている。ライダーやテニス選手では珍しくないひじの痛みで、これがマルセイユあたりから続いていて、バルセロナではちょっとひどかった。今回はだいぶ痛みもひいたのだが、もしも回復が長引いて、アウトドアのシリーズにも影響があるようだと問題なので、早期の回復をめざして外科治療をするかどうかを、今検討中だ。藤波にとって、インドアでの成績ももちろん大事だが、やはりそれ以上に、アウトドアは藤波の本当の戦場。ここに焦点を合わせるべく、藤波はちょっと思慮中なのである。
「なんとか3位でした。これで残りはあと1戦。ランキングはなんとか3位に入りたいところですが、カベスタニーと2ポイント差。インドアでの2ポイント差は、優勝するか、間に誰かに入ってもらわないと行けないポイント差なので、現実的には無理っぽいです。なのでここまできたら、ランキングがどうこうよりも、インドアでどこまで自分の腕が通用するか、それを試しつつ、できたら一番上に立ってみたいなぁと願っています」
Final Lap(決勝) | |||
---|---|---|---|
1位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ・HRC | 1 |
2位 | アダム・ラガ | ガスガス | 6 |
3位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ・HRC | 10 |
4位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 11 |
5位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | 20 |
6位 | マイケル・ブラウン | シェルコ | 29 |
Qualificarion Lap(予選) | |||
1位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ・HRC | 2 |
2位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | 4 |
3位 | アダム・ラガ | ガスガス | 4 |
4位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ・HRC | 5 |
5位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 6 |
6位 | マイケル・ブラウン | シェルコ | 10 |
7位 | マテオ・グラタローラ | シェルコ | |
PointStandings(ランキング) | |||
1位 | トニー・ボウ | 30 | |
2位 | アダム・ラガ | 22 | |
3位 | アルベルト・カベスタニー | 20 | |
4位 | 藤波貴久 | 18 | |
5位 | ジェロニ・ファハルド | 12 | |
6位 | マイケル・ブラウン | 7 | |
7位 | ドギー・ランプキン | 4 | |
8位 | ロリス・グビアン | 1 | |
マテオ・グラタローラ | 1 |