2007年 インドア世界選手権第5戦リスボン(ポルトガル)

2006年2月10日/Campo Pequeno

“足”痛い1点差でファイナル進出を逃す

大満足のバルセロナ大会から6日後、インドア世界選手権はヨーロッパ大陸の西の橋、ポルトガルのリスボンにやってきた。

リスボンのインドアセクションは、スペインのインドアナショナル選手権で使っているものをそのまま輸送して使っている。つまりポルトガル大会といっても、その内実はスペイン大会のようなものであり、スペインライダーにとっては地元の大会、藤波らにとってはアウェー大会ということになる。

しかも今回は、ローテーションによって、藤波のスタートはノミネートライダーの中で一番スタート。モリス、ファハルドに次いで、三番目にトライすることになった。

第1セクションはたいへんにむずかしいセクションだった。モリスもファハルドも5点、藤波も5点になった。しかしここは、下見の段階から攻略は限りなく不可能ということになっていたし、実際のところ、ここを抜けたのはボウの1点のみで他は全員5点だった。だからこの5点は戦況にもほとんど影響はないし、藤波の志気も高いまま、第2セクション以降にのぞんだ。

第2セクションも、またむずかしかった。ここを藤波はクリーン。これは今日は悪くないと、藤波は手応えを感じていた。その後、第3セクションをクリーンして迎えた第4セクション。ここにはちょっと高い飛び降りがあって、降りるポイントはフロントを高く、リヤを少し深いV字に置くような設定だった。その落差は2メートルほどだったろうか。

飛び降りた瞬間、藤波に悪い感触が走った。足をグキッとやってしまったのだ。かなりの激痛で、セクショントライ中、足をついた状態でしばし唸っていたほどだった。ずいぶん長く唸っていた覚えがあるが、15秒、あるいは20秒ほどだったろうか。痛みをこらえて、再び走りはじめた先に、別の飛び降りポイントがあった。ここを飛び降りたところで、ついに藤波のがまんは限界。マシンから自ら降りて、このセクションを5点とした。

その後も、足の痛みはまったくひかない。足の痛みと戦って走っているから、1点、また1点と減点がかさむ。最後のセクションも、5点となった。これでトータル減点は17点。トニー・ボウ(レプソル・モンテッサ・HRC)とアダム・ラガ(ガスガス)の7点はともかく、ここまでで3位はアルベルト・カベスタニー(シェルコ)の15点。残るはダブルレーンの一騎打ちだけだ。

しかし今回は、藤波には積極的に勝ちにいく元気はなかった。この1戦の好成績も重要だが、今後のことを考えて、足をなるべく早くライディングから開放し、安静に努める必要があったからだ。カベスタニーとのダブルレーンで、藤波はこれに勝利しているが、それは藤波が勝利を目指してがんばったというより、カベスタニーが確実にファイナルに進出するため、勝負に負ける減点1は覚悟の上、それ以上の足つき減点を出さないように慎重に走った結果だった。

バルセロナの時点で、カベスタニーと藤波のランキングポイントは1点差だった。だからふたりはランキングテーブル上もライバルなのだが、今回はいたしかたなし。ランキングでは、カベスタニーが藤波に対して2点のリードをとることになった。

足の痛みはその後さらにひどくなって、バルセロナに帰ってさっそく昨年来お世話になっているドクターの診察を受ける。その結果、骨には異常がないことが確認されたが、足首の動きをつかさどる筋が損傷を受けている模様で、安静第一という指示を受けた。足首は、毎年のように小さな故障をしている部位でもあるが、今回の故障は、いつもに比べると症状は軽いということで、世界選手権インドアシリーズの参戦計画には今のところ変更予定はないが、いずれにしろ、今週はマシンには乗らず(間に予定されていたインドアイベントへの出場はキャンセルした)次戦ミラノまでの回復を願っている。

○藤波貴久のコメント

「今回は初めての会場で、闘牛場が舞台。おもしろい会場だったし、調子もよかったので結果も期待していたのですが、ちょっとやってしまいました。試合が終わってから、腫れもひどくなってきて、骨には異常がないということで一安心ではありますが、以前に骨が欠けたりしていたところでもあるので、今後に向けて、大事にしたいというところです。お医者さんは、指の骨折以来なにかにつけてめんどうを見てもらっている先生なので、こちらは安心。ミラノまで、一度バイクに乗れるかどうかという感じで、まずは安静に努めます」

Indoor Trial WorldChampionship 2007
Campo Pequeno Lisboa
Final Lap(決勝)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 14
2位 アダム・ラガ ガスガス 18
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 22
Qualificarion Lap(予選)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 7
2位 アダム・ラガ ガスガス 7
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 16
4位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 17
5位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 22
6位 ジェロニ・ファハルド ベータ 29
7位 シャウン・モリス ガスガス 34
PointStandings(ランキング)
1位 トニー・ボウ 43
2位 アダム・ラガ 35
3位 アルベルト・カベスタニー 29
4位 藤波貴久 27
5位 ドギー・ランプキン 24
6位 ジェロニ・ファハルド 22
7位 シャウン・モリス 4
8位 タデウス・ブラズシアク 4