2007年 インドア世界選手権第3戦マルセイユ(フランス)

2006年1月26日/Palais des Sports

ワンミスで表彰台を逃す、再び!

たったひとつのミスが、ファイナル進出を阻んでいる。ロシアでのくやしさを胸に、雪辱を期してマルセイユに向かった藤波貴久だが、なんと悪夢再び。またも惜しい惜しいところでファイナルの進出を逃すことになった。

photo今回、藤波のスタートはドギー・ランプキンに次いで、最後から2番目。一番最後にスタートするのはトニー・ボウだった。去年から、スタート順は抽選ではなく、決まったオーダーでのローテーションとなっている。

今回のセクションは、とにかく長かった。12分間で7セクションをこなすのは、どのライダーにも楽な仕事ではない。こういうハードな局面になると、フィジカルに長けた藤波には分がある。第1セクションを軽々とクリーンし、第2セクション。ここはアルベルト・カベスタニーも5点になっている。斜めにはいって、滑るヒューム管を超えるセクションだったが、滑るのを警戒して、1点足をついていく作戦でスタート。そのとおりに足をついたつもりが、微妙に足をついた位置が悪かった。再び足をつかざるをえなくなって、このセクションで2点。

しかし調子はよかった。スペインで開催されるインドア大会は、スペインのライダーが走り慣れたスペイン製セクションだが、今回はフランス。インドアの得意なスペイン人ではあるが、フランスのセクションというだけで、だいぶハンディはつめられる。藤波も、自信を持ってトライしていた。3、4、5とクリーンして、このままいけば、2点の減点のままクォリファイラップを終えられそうだという実感も持っていた。そして第6セクション。

ここも、快調に走ってクリーン目前だった。アウトには、飛んでしまえばそれでなんということはない谷越えが待っていた。もちろん、この日の藤波にとっては、さしたる難関ではない。

ところが、ほんのちょっとバランスを崩し、足をつかざるをえない状況になった。それがまた足をつく位置が悪かった。谷底に足をつく格好になった藤波は、そのまま倒れ込んでしまった。「ドギーだったら、余裕で足が届いて1点でいったろうけれども、少し足が短かった」。なんとも惜しい5点となった。

トータル7点。ところが、5点で終えたランプキンは、ハードなセクションに約50秒のタイムオーバーを喫して、2点を加えて7点となっていた。同点だ。

二人のあと、クォリファイラップを最後に走ったランキングトップのトニー・ボウは、なんと第3セクションをでたところでブレーキディスクを曲げてしまった。ところがそれに気がつかずにブレーキディスク以外の主要パーツを交換。交換自体はたったの1分半で終了するという素晴らしいものだったが、トラブルを起こしたパーツはそのままだから、結局ボウは壊れたままのマシンで走り続けることになった。トータル11点。

ランキングトップのチームメイトを見て、藤波とランプキンはチームオーダーが発令されるのかと思いを巡らせもしたが、先に走ったランプキンと藤波が7点で、ボウは11点。ボウがランプキンと藤波に逆転するには、この後に控えているダブルレーンでふたりとも5点にならなければいけない!

しかしこんな心配は杞憂に終わった。ブレーキトラブルですっかりモチベーションに異常をきたしてしまったボウは、ダブルレーンでファハルドに負けてしまった。これでは、藤波とランプキンが二人揃って5点になっても、ファイナルに進出するのはボウでなくファハルドになってしまう。

ということで、チームオーダーなど出ることもなく(これまでも、出たことはない)、藤波とランプキンはガチンコ勝負でダブルレーンを戦った。ここで勝った方が、今年初めてのファイナル進出をはたすことになる。

今回のダブルレーンは、いつもよりアベレージスピードが低く設定されていた。スピードを競うというより、かなりテクニカル。後半には、ホイールベース間隔の障害が並んでいて、フロントを上げたままトントンと超えていくか、ひとつひとつ下に降りつつ、フロントを障害物に置いて越えていくか、悩みどころでもあった。行って帰る往復のダブルレーン。藤波は、ダブルレーンは得意。ここでも、往路でランプキンをリードした。マシン1台分くらいのリードを持っていた藤波は、無理をせず、フロントを障害物において越えていくほうをとった。

ところが、障害はホイールベース間隔で並んでいる。これまたちょっとしたミスで、フロントが手前に落ちてしまった。前後がぴったりの障害物の間でもがいている間に、チームメイトが横を駆け抜けていった。これで、ランプキンの今年初めてのファイナル進出が決まり、藤波は2度続けての4位となった。

ファイナルでは、ランプキンはさんざんな成績だった。それを見ながら「おれに走らせろ」とさらにくやしい思いにふける藤波だった。

負けるくやしさは藤波の大きなエネルギー。このままで終わるはずがない。

○藤波貴久のコメント

「今回は、ほんとうにくやしい。今年になって、感覚はとてもいいし、インドア大会にも自信を持ってのぞんでるんですけど、あとちょっと。そのあとちょっとが、なかなか届かないですね。むずかしいです。でも2戦続けて、あともうちょっと、いずれもほんのちょっとのミスで敗退しているので、これはなんとかしないといけません。ひとつの失敗でくやしい思いをしているというのが2戦続いちゃいましたからね。次はスペイン勢の本拠地でもあるバルセロナですが、気合いを入れていきますよ。それにしても、ほんとうにくやしいです」

Indoor Trial WorldChampionship 2007
Palais des Sports Marseille
Final Lap(決勝)
1位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 3
2位 アダム・ラガ ガスガス 6
3位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 21
Qualificarion Lap(予選)
1位 アダム・ラガ ガスガス 1
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 6
3位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 7
4位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 8
5位 ジェロニ・ファハルド ベータ 11
6位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 12
7位 ジェローム・ベシュン ベータ 27
8位 ロリス・グビアン シェルコ 29
PointStandings(ランキング)
1位 アダム・ラガ 24
2位 トニー・ボウ 23
3位 アルベルト・カベスタニー 19
4位 ドギー・ランプキン 15
5位 藤波貴久 14
6位 ジェロニ・ファハルド 13
7位 タデウス・ブラズシアク 4
8位 ジェローム・ベシュン 2
9位 ロリス・グビアン 1