2006年 インドア世界選手権第8戦スペイン、メノルカGP
2006年2月18日/Pabellon Menorca /観客数:5000人
3戦連続6位に収穫あり?
藤波 自ら「悪い流れ」と語っていた2戦連続の6位から1週間後、今回はスペインは地中海の沖合いメノルカ島でのインドアトライアル。スペインには3つの大きな島がある。一番大きいのがマヨルカ島。マヨルカ島はこれまで何度かインドア大会の会場となったことがある。そしてイビサ島とメノルカ島がある。メノルカ島は有名な観光の島だが、バルセロナから飛行機で30本ほど、静かな落ちついたこの島のスタジアムは、超満員の大にぎわいとなった。
今回はいまや純ノミネートライダーとなったボウを含めて、いつものメンバーのみの6名での戦いとなった。今年は「毎回最大2名のワイルドカードライダーを参加させる」ということになっていたのだが、どうもジェローム・ベシュンが参加を表明しつつ無断欠席したらしい。インドア世界選手権では、ワイルドカードライダーは25歳以下と定めているから、フレイシャやジャービスなど、参加させたらおもしろいライダーが出場できないことになっている。
今回、藤波の前にはボウ、カベスタニー、ラガと走っている。こういう面子が前を走って走りを見せてくれるのだから、藤波には都合がいい。ボウもカベスタニーも、第1、第2ともに5点になったいる。第2は、まるで不可能というセクションだった。このセクションは、あまりに難度が高いために、ファイナルでも同じ方向で使われた(通常は、ファイナルでは逆走となる)。しかし結局、このセクションはだれも走破できないまま終わっている。
第1 セクションは、しかし走破可能なものだった。三角の山を越えていく設定だったが、前転のリスクもあって、なかなか簡単ではない。藤波は、足をついて安定を図りここを越えていく作戦だったのだが、しかしそこまで上れずに5点となってしまった。第1、第2を5点となって、すでにふたつの5点をとってしまったが、これまでボウ、カベスタニー、ラガの3人が10点、11点で7セクションを回っている。走っている様子を見ても、第3セクション以降はそれほど困難なものではない。藤波も、ここから先は最大1点でクリアしないといけないだろうなと考えていた。
ところが狭いところに着地する第5セクションではつんのめって、5点になりそうになりながらようやく2点にまとめるという失敗。さらに第6セクション、二段に積まれた上段から飛び降りる際、二段目がぐらぐらと揺れていた。これは走る前から明らかだったから、藤波は揺れが大きくなる前に飛び降りてしまおうと思っていた。しかしそれが裏目だったか、飛び降りた下でフロントタイヤが滑って5点となってしまった。さらに緊張感が切れたように(とはいえ、緊張感なしでは最後まで走れるセクションでもないが)第7セクションを1点で通過し、トータル18点で7セクションを走り終えた。ファハルドは15点だから、ダブルレーンとハイジャンプで挽回に努めても苦しい点差。ファハルドに追いついても、すでにファイナル進出は絶望的というのが、この時点での藤波の戦況だった。今回はライディングも安定せず、6位もいたしかたなしという精彩のない戦いだった。
今回のランプキンは、クォリファイではよく戦った。藤波が足をついてでも切り抜けようとしたポイントを長身を生かしてその通り切り抜け、それで精神的に優位になったのか、その後もよい走りを披露した。トライアルは、やはりちょっとした気持ちの持ちようでも、結果が大きく変わってくる。ランプキンの活躍を見ながら、藤波はあらためてそのことを考えた。
今回は、連続6位の低迷から、なんとかしてぬけださなければいけないし、そのためにはどうしたらいいのかと、いろいろ思い悩みながらの大会となった。このままの成績ではどうしようもないというプレッシャーもあった。落ち込めば落ち込むほど、いろんなことを考えてしまう。そういった内面的な動揺が、すべて結果にそのままでてしまった。走っている最中にも、納得できない走りが続いた。結果として走破できている場合でも、思ったラインにいけないことが多くあった。メンタルの問題が、今回の大きな敗因だった。
もちろん、モンテッサチームはインドアに対してのデータが少ないし、ライダーも熟練しているとはいえない。まだまだやることはある。メンタルの問題だけが原因でもない。しかしメンタル面の問題が大きいのも事実だった。だから前半戦どうにも調子がつかめなかったランプキンがクォリファイでトップを走ることもある。藤波が次の大会で優勝することだって、多いにありえることなのだ。
そのために、 藤波はなにをするべきか。大会にのぞむにあたって、どんな藤波であるべきなのか。あまりにもいいところがなかったメノルカ島で、藤波はそのことをしっかり考える時間をもらった。
今までは、なにがよくないのか、悩みながら、半信半疑の戦いだった。今回、そのポイントが見えてきたことで、やるべきことも見えた。だから今の藤波は、きちんと希望も持てるようになった。
ファイナルでは、ランプキンはラガとカベスタニーにじりじり離され、無難に行けば走りきれるところをクリーンを狙って失敗。上位進出の望みを断たれた。このクリーン狙いも、同じライダーとして、理解のできる心理状態だった。次は、藤波が自分自身の心理を分析し、次へつなげていく番だ。
○藤波貴久のコメント

Indoor Trial WorldChampionship 2006
Menorca |
Final Lap(決勝) |
1位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
16 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
19 |
3位 |
ドギー・ランプキン |
レプソル・モンテッサ・HRC |
30 |
Qualificarion Lap(予選) |
1位 |
ドギー・ランプキン |
レプソル・モンテッサ・HRC |
8 |
2位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
10 |
3位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
11 |
4位 |
トニー・ボウ |
ベータ |
11 |
5位 |
ジェロニ・ファハルド |
ガスガス |
16 |
6位 |
藤波貴久 |
レプソル・モンテッサ・HRC |
18 |
PointStandings(ランキング) |
1位 |
アダム・ラガ |
72 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
55 |
3位 |
トニー・ボウ |
50 |
4位 |
ジェロニ・ファハルド |
44 |
5位 |
ドギー・ランプキン |
35 |
6位 |
藤波貴久 |
32 |
7位 |
ジェームス・ダビル |
5 |
8位 |
シャウン・モリス |
4 |
9位 |
ダニエル・マウリノ |
4 |
10位 |
ジェローム・ベシュン |
3 |
11位 |
タデウス・ブラズシアク |
2 |
|