2006年 インドア世界選手権第7戦ロシア、サンクト・ペテルブルクGP
2006年2月12日/Peterburgsky Sports Complex/観客数:10500人
2戦連続6位。トラブルもあって……
ベルフ ァストでの大会が終わって、マシンを送り返す支度をして食事を終えると、すでに午前2時。スタートが夕方のインドアでは、これはよくあることだ。しかし今回は、ここから強行軍が始まった。
ロシアに向けての出発集合時間は、朝の4時半。つまり、ほとんど寝るヒマがない。飛行機は5時半頃にアイルランドを飛びだしたが、目的地はロシアの古都サンクト・ペテルブルグ。アイルランドからは直行では迎えない。トランジットを繰り返し、結局ロシアのホテルにはいったのはその日の夕方5時頃だった(若干の時差もある)。翌朝はまた8時頃から主催者側のミーティングに参加したりして、午後はもう試合。インドア大会はいつも強行軍だが、今回はことさらに強行軍だった。もっとも、これは全員が同じ条件だ。
今回の真正ワイルドカードはタデウス・ブラズシアク。タイトル争い中のワイルドカードのボウを含め、6名の常連ライダーはブラズシアクとは別格の走りを見せる。第3セクションまでで減点をしたのはブラズシアクだけ。常連たちにとって、勝負は第4セクションから始まった。
しかし実は、藤波は第3セクションで不運に見舞われ、勝負は微妙なものになっていた。
第3セクション、インの飛び降りをした際に、藤波のブレーキペダルがバキッと音を立てて折れてしまった。このセクションは、その後階段を下りて最後に高めの段差を登るだけなので、リヤブレーキなしでクリーンすることに成功した。アウトドアの大会なら、次のセクションについたところでメカニックがマシンの修復をするのだが、インドアではそうはいかない。今回の規則によれば、クォリファイの7セクションを10分で走ることとなっている。途中でマシンを修復している時間はまずない。そこで第4セクションと第5セクションはスペアマシンを使うことになった。
昨年、 ワークスマシンの開発中に参戦したインドア大会では、モンテッサチームはスペアマシンにスタンダードを用意せざるをえなかった。今シーズンはそんなことはない。スペアに用意されているのは、ワークスマシンだ。
とはいえ、このスペアマシンは藤波専用のマシンではない。スペアはあくまでスペアで、大会は自分のマシンで走るのが基本となっている。藤波たちトップライダーにとって、自分のマシンはまさに手足となって動いてくれるもの。仕様を合わせても、マシンと自分を完璧にマッチングさせるまでには、慣熟にもかなりの時間が必要だ。まして今回は、アイルランドとロシアには、それぞれ別のマシンを送っている。ロシアのスペアに藤波専用車を送る余裕は、さすがのモンテッサチームにもなかった。
こういう事情は他のチームでも大差ないようで、ファハルドはバルセロナの試合中にエンジンを焼きつかせ、新品シリンダを組んだだけの状態のマシンでアイルランドに臨んでいた。タイトなスケジュールでは、マシンを満足いく状態で試合に持っていくのも、むずかしい。
さて藤波。 ふたつのセクションをスペアマシンで走った藤波だったが、やはり本来の調子とはいかないようだ。ふたつのセクションを早めに5点になってしまったので、そこで節約した時間を使ってメインマシンのブレーキを修復。修理にはやや手間取ったりしながら、残り40秒となったところで自分のメインマシンが戻ってきた。しかし残るふたつのセクションは、ともに5点。結局今回の藤波は、ブレーキペダルを失ってからの4セクションを全部5点で終えて、2戦続けての6位をほぼ決定づけてしまった。
ハイジャンプでランプキンが失敗、ダブルレーンで藤波が勝利して藤波とランプキンは同点となったが、修理を含んで時間いっぱいを使って7セクションを走った藤波に対して、ランプキンは1分以上も早く7セクションを走破していた。このタイム差で、藤波は今回もまた6位を決定してしまったのだった。
○藤波貴久のコメント

Indoor Trial WorldChampionship 2006
San - Petersburg |
Final Lap(決勝) |
1位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
5 |
2位 |
ジェロニ・ファハルド |
ガスガス |
11 |
3位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
14 |
Qualificarion Lap(予選) |
1位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
5 |
2位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
7 |
3位 |
ジェロニ・ファハルド |
ガスガス |
12 |
4位 |
トニー・ボウ |
ベータ |
15 |
5位 |
ドギー・ランプキン |
レプソル・モンテッサ・HRC |
21 |
6位 |
藤波貴久 |
レプソル・モンテッサ・HRC |
21 |
7位 |
タデウス・ブラズシアク |
|
30 |
PointStandings(ランキング) |
1位 |
アダム・ラガ |
62 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
47 |
3位 |
トニー・ボウ |
45 |
4位 |
ジェロニ・ファハルド |
40 |
5位 |
ドギー・ランプキン |
29 |
6位 |
藤波貴久 |
29 |
7位 |
ジェームス・ダビル |
5 |
8位 |
シャウン・モリス |
4 |
9位 |
ダニエル・マウリノ |
4 |
10位 |
ジェローム・ベシュン |
3 |
11位 |
タデウス・ブラズシアク |
2 |
|