2006年 インドア世界選手権第4戦イタリア・ミラノGP
2006年1月29日/Forum di Assago /観客数:3500人
ようやく! 今季初表彰台
4 戦目にして、藤波貴久ははじめてファイナルに進出した。そして3位表彰台獲得。グラナダで「調子は悪くないがこのままでは試合へのモチベーションも上がらない」と復活を誓っていた藤波だが、見事にその誓いを実行に移してくれた。
今回のセクションは、クリーンか5点かという性格のものが多く、これまでの経験上ではアウトドアスペシャルのモンテッサにとっていささか苦手パターンのある設定だった。しかも今回のセクションは、その多くがスペインから運ばれてきたもので、スペイン包囲網の中で戦う点では、ここまでの戦いにくらべても特に好材料はない。試合前セクションをながめた藤波とランプキンは「今回も苦戦をしそうだね」という会話を交わしたという。
今回、トップで走ったのはワイルドカードのボウ、次にイタリア人のマウリノが走り、ノミネートライダーのファハルド、カベスタニー、ラガ、藤波と続いた。
インドアが得意のはずのボウやファハルドが、意外に5点をくらっていく。マウリノが7セクション中6つの5点をとったのはこんなものだという結果だが、ボウは4つ、ファハルドにいたっては5つの5点がある。ここにまず、チャンスがあった。
さすがに ラガとカベスタニーは7セクションを1点と6点で走り終えた。ラガはあわやオールクリーンの勢いだ。
藤波は、いけるかいけないかのセクションを5点ふたつで通した。ここまでの3戦、5点ふたつで涙をのんできた藤波だが、今回は5点ふたつが好成績の証となった。
最後に走ったランプキンは、なんとか5点3つでクォリファイラップを終えた。この結果、ランプキンもまた、4戦目にしてはじめて6位脱出を果たしたわけだ。
藤波14点、ランプキン15点。ふたりのファイナル進出は、この二人の直接対決によるダブルレーンの結果を待つことになった。このダブルレーンでは、ランプキンが勝利した。同点。となれば、決着は7つのセクションの走破タイムが早いほうが上位となる。藤波のタイムは9分33秒、ランプキンは9分39秒。たった6秒差だったが、これが藤波のファイナル進出を決めたのだった。
そして 今シーズンはじめてのファイナルでの藤波は、しかし苦戦は免れなかった。藤波の走りをじっくり観察していたランプキンやシレラ監督によれば、高いステアもアンダーガードがひっかかるところまでは上がっているので、ラガやカベスタニーに対してけっして劣っているわけではない。ただしひっかかるべきところがスムーズな形状なので、落ちてしまうという観察だ。同じような上がり方をしているラガやカベスタニーのマシンには、通常はじゃまに思える形状が、ここでは有利に働いているようだ。
セクションが進むにつれ、ラガとカベスタニー、カベスタニーと藤波の点差は徐々に開いてしまった。今回、藤波がよい走りをすることで、さらに高い次元の問題点が明らかになった。これで、次戦以降はマシンにちょっとした工夫をほどこすことが確認されたが、今回はここまでの活躍となった。
ダブルレーンでは、カベスタニーに勝利し、ラガにも勝利する勢いで思いきりよく快走した。折り返しのターンは、マシン1台が乗るだけのスペース。ここで一気にジャックナイフターンでラガを引き離そうとした藤波は、勢い余ってリヤタイヤを台から落としてしまって転倒、珍しく、ダブルレーンでの5点となってしまった。しかし結果的に、この5点によって藤波が失うものはなにもなく、ダブルレーンは負けないという藤波のアピールは、ミラノのお客さんには充分通じたはずだ。
ダブルレーンの あとの3セクション、藤波は5点ひとつとクリーンふたつで締めくくったが、これも、勝負よりも、お客さんへのアピールたっぷりのセクショントライとなった。
まだ、上には上はいる。しかしひとまずファイナルに進出し、ようやく藤波のシーズンが始まったところだ。
○藤波貴久のコメント

Indoor Trial WorldChampionship 2006
Milan |
Final Lap(決勝) |
1位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
5 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
14 |
3位 |
藤波貴久 |
レプソル・モンテッサ・HRC |
26 |
Qualificarion Lap(予選) |
1位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
2 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
7 |
3位 |
藤波貴久 |
レプソル・モンテッサ・HRC |
15 |
4位 |
ドギー・ランプキン |
レプソル・モンテッサ・HRC |
15 |
5位 |
トニー・ボウ |
ベータ |
21 |
6位 |
ジェロニ・ファハルド |
ガスガス |
21 |
7位 |
ダニエル・マウリノ |
ガスガス |
34 |
PointStandings(ランキング) |
1位 |
アダム・ラガ |
36 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
29 |
3位 |
トニー・ボウ |
25 |
4位 |
ジェロニ・ファハルド |
22 |
5位 |
藤波貴久 |
18 |
6位 |
ドギー・ランプキン |
14 |
7位 |
ダニエル・マウリノ |
4 |
8位 |
ジェームス・ダビル |
3 |
9位 |
ジェローム・ベシュン |
2 |
10位 |
タデウス・ブラズシアク |
1 |
11位 |
シャウン・モリス |
1 |
|