2005年 インドア世界選手権第4戦(全12戦) スペイン大会
2005年1月30日/Stadium Palacio de los Deportes/観客数:6500人
今年一番の走りで3位表彰台
トゥールーズ大会から中1日。トゥルーズはいつものように夜の試合で、今回のグラナダはお昼から始まるというインドア世界選手権では異例のタイムスケジュール。実際には、トゥールーズ大会が終了した36時間後には、次の大会がスタートしているという強行スケジュールだ。トゥールーズはフランスの南部にあるが、グラナダはスペイン南部。ライダーは全員飛行機で移動だが、ワークスマシンを開発中でマシンのタマが少ないモンテッサチームは、トゥールーズ大会終了後、スタッフが1200kmの距離を突っ走って移動した。現地で整備をし、ライダーが様子を見てから試合となるから、スタッフのほうもそうとうな強行軍だ。
今回は、ラガが早いスタート順となる順番だ。ワイルドカードライダーのベチューンに続いてスタートしたラガは、しかしさすがにインドアチャンピオンだけあって、2番手スタートでも圧倒的なうまさを発揮した。 これには藤波も、やや脱帽だ。ただし今回のセクションは、スペイン選手権のインドアシリーズで使われているものでもあり、ラガをはじめとするスペイン人に有利な点があるのも事実だ。フレイシャはともかく、藤波とランプキンにはハンディがある。しかも、まだマシンとのコンビネーションは、充分にとれているとはいえない。
それでも今回の藤波は、今年のインドアシリーズの4戦中、もっともできのいい走りができたと実感する。マシンをきちんとコントロールできているという実感。セクションに向かうにあたって、自信を持って臨めるという気持ち。藤波のこの充実感は、結果にも現れた。
クォリファイのトップはラガで5点(このうち2点はハイジャンプのバーを落としたものだった)。ラガに続いたのが、8点の藤波だった。8つのオブザーブドセクションの減点は7点だったのだが、ダブルレーンの勝負でラガに負けて、1点追加してしまった。藤波がスピードレースのダブルレーンで負けるのは、珍しい。
実はこれも、マシンとのコンビがまだ発展途上だからだ。ダブルレーンを走るのに、2速か3速かを悩み、その結果、本来の藤波ならなんでもないところで、一瞬ひっかかってしまってのタイムロスがあったのだ。
こうして、藤波はクォリファイを2番手で通過。3戦ぶりにファイナルを戦うことになった。藤波、ラガ、カベスタニー。アウトドア世界チャンピオン、インドア世界チャンピオン、そして元インドア世界チャンピオンの3人だ。ファイナルでは第1セクションから3人が3人とも5点。 混戦が予想されたが、やはりラガは一歩抜きんでていた。そしてダブルレーン。ここでも藤波はわずかのつまずきで失速して惜しい敗退をした。ダブルレーンはラガが2勝、カベスタニーが1勝1敗、藤波が2敗。さらにその次、第7セクションで藤波が5点となって、これが勝負点となって、藤波の3位が決まった。
現在のところ、藤波貴久の真価は、100%発揮されているとはいいがたい。それは本人も認めるところで、今の状態ではアウトドアでも勝てるとは思わないと言う。ただしそれは、マシンが開発中で、それに対してライダーがよい組み合わせを探しながら、そのマシンに慣れなければいけないという現況でのことだ。今後、マシンの開発が進めば、ポテンシャルは当然上がる。ライダーも、今よりマシンの性能をより引き出す術を身につけるにちがいない。逆に言えば、その状態であっても、インドアで表彰台を獲得できるレベルにあるということだ。
トゥールーズで、新しい仕様のエンジンとフレームを使った藤波だったが、前回はあまりにも乗り慣れる時間がなかった。そこでグラナダでは、試合が始まるまでの短い時間に、可能な限りマシンとの慣熟に重きを置いてウォームアップに精を出した。こんな状態だから、ラガを破ってインドアで勝利するのは、現実的なところではかなりむずかしい。しかし2位を狙ったり、ランキング3位を獲得するのは、充分に可能性があることだ。マシンの開発を進めながらのインドア世界選手権。藤波の春は、遠くない。
次戦は1週間後、2月6日、スペインはバルセロナ大会となる。
○藤波貴久のコメント
Indoor Trial World Championship 2005
Round 4 |
Final Lap(決勝) |
1位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
18 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
22 |
3位 |
藤波貴久 |
レプソル・モンテッサ・HRC |
28 |
Qualificarion Lap(予選) |
1位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
5 |
2位 |
藤波貴久 |
レプソル・モンテッサ・HRC |
8 |
3位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
10 |
4位 |
マルク・フレイシャ |
レプソル・モンテッサ・HRC |
17 |
5位 |
ジェロニ・ファハルド |
ガスガス |
17 |
6位 |
ドギー・ランプキン |
レプソル・モンテッサ・HRC |
23 |
7位 |
ジェローム・ベチューン |
ガスガス |
44 |
PointStandings(ランキング) |
1位 |
アダム・ラガ |
40 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
30 |
3位 |
ドギー・ランプキン |
22 |
4位 |
藤波貴久 |
21 |
5位 |
マルク・フレイシャ |
15 |
6位 |
ジェロニ・ファハルド |
13 |
7位 |
トニー・ボウ |
5 |
8位 |
ジェローム・ベチューン |
5 |
9位 |
タデウス・ブラズシアク |
2 |
10位 |
野崎史高 |
1 |
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