2004年4月17〜18日 |
世界選手権第2戦
ポルトガル(Gouveia) |
世界選手権第2戦、ポルトガル大会は、ポルトガルの首都ポルトから南東の美しい町、ゴウベイアで開催された。セクションは1〜6までが第1グループ、7から14までが第2グループ。最終15セクションはスタート&ゴールの近くに設営されたが、14から15までは山道を延々と走る長距離移動だった。
【土曜日】
開幕戦アイルランドの日曜日を4位で終えてしまったものの、課題が明らかになったと落ち込んだところは見せなかった藤波だったが、この土曜日に、今度は5位にまで低迷してしまった。
藤波の出鼻をくじいたのは、マシンのセッティングだった。今回は、プラクティスエリアと多くのセクションがある会場とが、まったく別の場所に設けられていた。金曜日までに、プラクティスエリアで念入りにセッティングを施した藤波だったが、第1セクションに到着するや、エンジンの調子に大きな違和感を感じることになった。
セッティングを繰り返しながらセクショントライをすることになった藤波だが、しかしエンジンは本調子にならず、プラグもかぶり気味になったりと、どうも出だしからさんざん。練習場と多くのセクションの現場は、標高にして600mと900m。その差が藤波には、大きなギャップとなった。
しかし藤波の敗因は、セッティング不良が直接の原因というより、これによって藤波自身のペースが、とうとうつかめないままに試合が終わってしまったというところにあった。
2ラップ目に入って、メカニックの努力によって、セッティングはだいぶ良好になった。結果から見ても、2ラップ目はラガについでフレイシャと同点の10点にまとめている。しかしそれでも、藤波のまったく満足のいくような走りができなかった。クリーンをしても、会心のクリーンとはならず「あぁよかった」と幸運に感謝しながらのトライとなったようだ。
そのちぐはぐさが結果に直結してしまったのが10セクション。ここはトップライダーの多くがクリーンをし、せめて1点で抜けているところだが、藤波はここで5点。試合運びとしては、これが決定的となって、追い上げもならなかった。
【日曜日】
前日の反省から、マシンのセッティングには細心の注意を施した。ウォームアップでは徹底的にマシンのセッティングに時間を使い、またセッティングも、ウォームアップで完璧を出すことはせず、セクションでどうなるかを見越した調整が続けられた。
その甲斐もあって、1ラップ目はまぁまぁの感触だった。1ラップ目の成績としては4位だが、2位3位とは1点差で、逆転は容易だ。
天候は朝は完全な雨だった。この雨は、その後少しずつ快方に向かい、パドックではほとんど晴れているも、セクション群のある山の方では降ったりやんだりという感じで1日が流れていったが、試合が始まった直後は、土曜日よりもむずかしくなっている印象があった。
土曜日に5位と、スタート順が早かったこともあり、ラガやランプキンの動向はほとんど知らずに、藤波はトライを進めていた。1ラップ目の4位という成績も、実はわかっていなかった。ただ、状況はそんなに悪くはないのではないかと思っていたという。
その後、若手のルーキー、ファハルドが藤波を上まわる15点だったという情報を得て、ちょっと落ち込む瞬間もあった。この日、ファハルドは自身はじめての好成績で1ラップ目を終えたのだが、藤波はそうとは知らない。ファハルドよりも悪いのなら、その成績もきのうと同じような結果ではないかと心配してしまったのだ。結局、ファハルドの好調がわかって、この不安は解消された。
2ラップ目、藤波はさらに調子をあげていく。しかし、ここでアクシデントが発生した。再び、マシンが不調に陥った。今度はセッティングの問題ではない。マシントラブルだ。エンジンがぼこついてしまって、まともに走れない。第3セクションでは、症状が発生した直後ということもあり、なんとかセクションアウトをするのがせいいっぱいという状態。
トラブルの原因は不明。おそらく電気関係らしく、この手のトラブルは、パーツをごっそり交換する以外にない。メカニックのマシンからパーツを移植することは可能だが、問題はその時間があるかどうかだ。2ラップ目に入っていて、すでに残り時間には余裕がなくなっていた。
結局藤波が選択したのは、そのまま走り続けるというものだった。エンジンは不調のままだが、それを見越して、思いきり開けることでなんとか急場をしのいだ。こんな不調をかかえてはいたが、その後の藤波は減点を最小限に押さえ、なんと2ラップ目はラップ賞の8点。第2セクションでばたばたの3テントならなかったらと悔やまれる結果。終わってみれば、藤波はラガに1点とどかずの2位に落ち着いた。
3位はしぶといランプキン。2ラップ目の第6セクションで、ランプキンの5点を目撃していた藤波だけに、ランプキンが3位に踏みとどまっていたのは、やや計算外だったようだ。しかしこれが、チャンピオンの底力、なのかもしれない。
ランプキンには勝ったが、ランキングは3位に落ちてしまった。次のもてぎには、スペイン選手権を1戦休んで早めに来日。じっくりと調整して望むことにしている。
○藤波貴久のコメント
1年に1回あるかないかという、不調の戦い方をしてしまいました。自分が走っているような気がしない、自分のバイクに乗っている気がしない、そんな戦いぶりでした。ほんとにどん底の土曜日でした。2日目は、それに比べたらまったくましで、1点差で勝てなかったのはくやしいけれど、前日のどん底から、ここまで復活できたのは、大きな収穫でした。セッティングがあっていれば、マシントラブルがなかったらという思いもないではないですが、この世界では「たられば」をいってはいけませんから、次の試合に完璧な走り方ができるように、気を引き締めます。
World
Championship 2004 |
土曜日/Saturday |
1位 |
アダム・ラガ |
19(14+5) 20 |
2位 |
マルク・フレイシャ |
23(13+10) 14 |
3位 |
ドギー・ランプキン |
25(14+11) 17 |
4位 |
アルベルト・カベスタニー |
28(17+11) 17 |
5位 |
藤波貴久 |
31(21+10) 16 |
6位 |
黒山健一 |
40(21+19) 17 |
日曜日/Sunday |
1位 |
アダム・ラガ |
23(12+11) 20 |
2位 |
藤波貴久 |
24(16+8) 17 |
3位 |
ドギー・ランプキン |
25(15+10) 16 |
4位 |
アルベルト・カベスタニー |
36(22+14) 18 |
5位 |
マルク・フレイシャ |
37(25+12) 16 |
6位 |
ジェロニ・ファハルド |
39(15+24) 18 |
Ranking |
1位 |
アダム・ラガ |
68 |
2位 |
ドギー・ランプキン |
67 |
3位 |
藤波貴久 |
61 |
4位 |
アルベルト・カベスタニー |
58 |
5位 |
マルク・フレイシャ |
49 |
6位 |
ジェロニ・ファハルド |
40 |
|