2004年3月28日
スペイン選手権第2戦 チンチラ(Chinchilla)

 世界選手権開幕戦を1週間後に控えて、スペイン選手権第2戦。今年のスペイン選手権は、藤波を含め、スペイン人以外の多くのトップライダーが参加しているものの、彼らはタイトル争いには関係のない特別枠での参加ということになった。まったく同じ土俵で勝負ができるが、チャンピオン争いをしているわけではないということだ。表示しているランキングは『オープン部門』となっていて、スペイン選手権そのもののランキングは、ラガとフレイシャとカベスタニーが僅差で争っている。これによって、藤波ら、スペイン人以外のライダーの参加姿勢は当初のスペインチャンピオン獲得から若干変更を余儀なくされて、今は世界選手権に向けての有意義な調整の場となっている。

 会場は、大会までの1週間、雨が降り続いた。しかしもともとは雨が降らない場所だったということもあり、セクション設定は晴れ仕様。雨が降って、第一印象は「これは走れないぞ」という難易度が高いものだった。路面は、どうしようもなく滑った。

 とはいえ、こういう難度の高いところをなんとかしてしまうのがトップライダーの仕事でもある。下位のライダーはオール5点勝負となったが、トップ5はやはり1回の足つきを競うことになっていった。

 1ラップ目、藤波は前日の練習の好調さを持続させていた。あまりにも好調だったために、クリーン狙いの欲がでて、失敗して5点を増やしてしまったのが、このラップの真相だ。このラップ、藤波には6つの5点があった。

 試合中には、この状態では一桁の順位もあやういのではないかという心配をかかえていたが、ほかのライダーの減点を聞けば、ライバルもみな、かなりの減点をかかえていた。1ラップ目の成績は、4位だ。こんなにミスをしているわりには悪くないと、気持ちが上向きになった。

 2ラップ目、調子はあいかわらず悪くない。今度は、少し点数をまとめる方向で、ふつうの走りができた。終わってみれば、2ラップ目は5点はひとつだけ(全員が5点だった第5セクションは2ラップ目はキャンセルになった)、クリーンも7個を数えた。2ラップ目に藤波が出した15点は、この日のベストラップとなった。

 結果としては、2ラップ目の追いあげも届かず、トップ争いをしたランプキンとフレイシャに9点差の3位だったが、走りの内容的にも悪くなく、アウトドア用のセッティングの仕上げもおこなえた。翌週の世界選手権アイルランドに向けて準備は万端といったところだ。

 今回の大会を見る限りでは、インドアで圧倒的なテクニックを誇示したラガも、アウトドアになると、まだ点数をまとめるのに課題がありそうで、藤波やランプキンの深刻な脅威となるには、もう少し時間がかかりそうそうだ。世界選手権では、やはり藤波とランプキンの争いに、焦点が絞られることになるのだろう。

○藤波貴久のコメント
前回の第1戦とちがって、いい感じで乗れていたので、内容的にはよかったです。ただ、ラッキーじゃなかった。2ラップ目は15点でベストラップが出せましたけど、唯一の5点になった第1セクションも、1点なら確実に行けるセクションだったし、オールクリーンは無理にしても、一桁減点はいけたかなというのが、終わってみての感触でした。次は、いよいよ世界選手権です。来週に向けて、じっくりコンディションを調整して、臨みたいと思います。

Spanish Championship 2004
Chinchilla
Final Lap(決勝)
1位 ドギー・ランプキン 43(24+19)clean13
2位 マルク・フレイシャ 43(26+17)clean11
3位 藤波貴久 52(37+15)clean12
4位 アダム・ラガ 57(40+17)clean12
5位 アルベルト・カベスタニー 63(39+24)clean 9
6位 ジョルディ・パスケット 67(36+31)clean 8
7位 ジェロニ・ファハルド 69(45+24)clean 6
8位 アントニオ・ボウ 72(43+29)clean 8
Ranking(Open)
1位 アダム・ラガ 33
2位 マルク・フレイシャ 32
3位 ドギー・ランプキン 31
4位 アルベルト・カベスタニー 28
5位 藤波貴久 28
6位 ジョルディ・パスケット 19

Pix:Joan Carles Vazquez 公式リザルト(PDF)はこちら
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