2019年 世界選手権第6戦ポルトガル

2019年7月14日/ゴーベイア(ポルトガル)

表彰台は狙えたが……。5位のポルトガル

photoポルトガルGPは、去年とまったく同じ場所だった。ただし、去年は川の流れるセクションがあったが、今年はそれがなく、大岩が主体のセクションばかりだった。人工的ではないが、インドア的なセクション設定で、上がれればいける、落ちたら5点という、点数が大きく転がる設定だ。どちらかというと、藤波の苦手な設定である。

土曜日の予選は、Q1で2番手となった。タイムを出そうと、特に急いだわけではない。予選セクションは川のコースなので、みんなも慎重だったし、藤波も急いではいなかった。コースはとにかくつるつるで、一歩まちがえたら川の中にドボンなのだ。

いま、藤波はあまり予選で好結果を出そうと思っていない。最後の方のスタートとなると、だいたい時間がなくてたいへんになる。あまり最後のスタートではなく、5番手あたりがいい。だからQ1で2番手をおっておけば、Q2で何人かにタイムを破られていい具合の順位になるのではと思っていたのだが。

photoところがQ2が始まるや、みんながみんな速い。Q1で5点となったブストはQ2でも5点となって、一番スタートはブストに決まった感じだが、このままだと、Q1で予選2位の藤波も、意外に前の方のスタートになってしまうかもしれない。藤波のQ1のタイムは27秒台。しかし藤波がほしいスタート順を得るには、24秒から25秒を出す必要がある。けっこうがんばらないといけない。

それで狙って走った。ところが狙ったら、今度は速すぎた。予選は3位。いい結果だが、ちょっと速すぎて、スタート順が遅すぎる。おそらくこれでは、タイムオーバーなしで走るのはむずかしいだろう。今シーズン、開幕戦からスタートが遅いと、タイムが厳しいのは避けられないことになっている。そして、今回ポルトガルGPもそのとおりとなった。

photoそして日曜日、藤波の出だしは悪くない。最終スタートに近いから、今回は先行ライダーの様子などを知ってからトライができる。第3セクション、ここはつるつるの川のセクションだった。藤波はクリーンしたが、多くのライダーが5点になっている。今日は乗れていると言われたが、藤波にはそんな意識はなかった。藤波としては1点をつけばいけるという印象で、逆に、みんなはなんでそんなに落ちるんだろうと不思議に思うくらいだった。藤波のあとにトライしたボウも5点。それを聞いて、なにをやってるんだ? と思ったものだった。

大きな岩、ビッグステップは、第8と第12にあった。残念ながら、藤波はどちらも2ラップとも5点になっている。第8を上がったのは、何人もいなかった。トニー、アダム、ダビル、そしてカサレス。第8は、2ラップ目に向けて修正もしたが、それでも走破はむずかしいという感じだった。

第12は、時間もなかった。ほぼ全員が5点というのがわかっていたから、1ラップ目は申告5点で先を急ぐことにした。

photoしかし第13での5点は痛かった。2ラップ目にクリーンしていることでもわかるように、ここはいけるセクションだった。2ラップ目の成功は、みんなとは異なり、下から止まらず勢いをつけて一気に走り抜けることで得られた。1ラップ目の5点は残念だった。やっちまったな、という思いがあった。この5点に、タイムオーバーの4点が加わって、1ラップ目の藤波は5位で試合を折り返すことになったのだ。

最近の傾向として、トップを走るライダーの下見が長い。後ろからそれを抜いていこうとしても、前をおさえられていてなかなかうまくいかない。1ラップ目後半になると、残り4セクションで20分、あるいは15分しか残っていない、などということになる。毎回こんな感じだから、スタートが遅いと何分かのタイムオーバーは想定して戦わなければいけない。今回も、スタートの早いブストはタイムオーバーなし、藤波、ボウ、ダビルは4点のタイムオーバー減点をとってしまっていた。

photo2ラップ目、やはり第8では5点になった。しかしスタートが遅く、ライバルの動きが見えるのは戦いやすい。スコアを見ると、ここで5点となっても、それほど順位が下がっていない。まだいける、という確証を持てることになった。

しかし、今回のライバルのカサレスは第8と第12を上がっている。今回の藤波はここの5点は致し方なしという思いもあるが、それならその他のところできっちり減点を減らしてこなければいけなかったのだが、そうはならず。カサレスにわずか1点差で、5位が決まった。前半がよかっただけに残念ではあるが、苦手な地形での戦いで、ランキング3位争いのライバルのファハルドに大きな点差をつけられなかったことが、せめてもの幸いだった。

○藤波貴久のコメント

「走りが悪かったわけではないのですが、いろんな要素があって、ビッグステアが登れないということなら、こういう結果もいたしかたなし、というところです。ただ表彰台まで4点ですから、その点は残念でした。ランキング5位とは点差があるので、このままいけばランキング4位は大丈夫かなと思っています。ファハルドを逆転するには次回、ファハルドの前に行かなければいけませんが、まだ可能性はあります。そのためには、次はちょっと仕様を大きく振って、バクチを打ってみようかと思っています」

World Championship 2019
日曜日
1位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 25  22
2位 アダム・ラガ スペイン・TRRS 32 20
3位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ガスガス 36 17
4位 ホルヘ・カサレス スペイン・ヴェルティゴ 39 14
5位 藤波貴久 日本・モンテッサ 40 17
6位 ジェイムス・ダビル イギリス・ベータ 45 14
7位 ハイメ・ブスト スペイン・ヴェルティゴ 55 16
8位 ミケル・ジェラベルト スペイン・シェルコ 58 13
世界選手権ランキング
1位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 120
2位 アダム・ラガ スペイン・TRRS 98
3位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ガスガス 82
4位 藤波貴久 日本・モンテッサ 77
5位 ハイメ・ブスト スペイン・ヴェルティゴ 60
6位 ジェイムス・ダビル イギリス・ベータ 60
7位 ホルヘ・カサレス スペイン・ヴェルティゴ 55
8位 フランツ・カドレック ドイツ・TRRS 47