モンテッサの、そして多くのトライアルメーカー、トライアルライダーにとって地元であるバルセロナでの戦い。藤波はトゥールーズ以来の参戦となった。
今回の9名は、ノミネートの5名の他、ワイルドカードライダーはジェロニ・ファハルド、ミケール・ジェラベルト、アルナウ・ファルレ、そして藤波の4名だった。
クォリファイ、真っ先にトライをしたのはファハルドだった。ファハルドはワイルドカード扱いだがこれまでの全戦に参加をしている。ファハルドが一番スタートとなる理由などは発表されていないが、なにかお約束があるのだろう。
次のトライがファルレで、藤波が3番目だった。ファハルドを除くと、ここまでのランキングの逆順でトライしていく。藤波はファハルドのトライをすべて見たあと、ファルレが第1セクションにトライする頃にウォーミングアップを始めた。ひとりの持ち時間は6分だから、その間に充分ウォームアップは可能だ。ところがウォーミングアップを始めた藤波のところに、順番が来たからセクションへ行けと指示が来た。ファルレのトライがまだ続いているはずの時間だったが、実はファルレは第1セクションでクラッシュ、足を痛めて第2セクションのトライを断念、それ以降を走らずに終わっていた。その分、藤波のトライが急がされることになった。
ファルレの負傷は靭帯損傷ということで気の毒なことになったが、今日のところはまずはライバルが一人減った結果になる。とはいっても、真っ先に走ったファハルドは6セクションを8点にまとめている。セミファイナルに残るには、他に二人破る必要がある。
クォリファイの6セクションのうち、藤波はクリーンできるもの、抜けられるもの、可能性が薄いものと、見込みをつけていた。難セクションを走破できれば一気に有利になるが、まずは確実に抜けられるセクションをどう走るかが勝負の肝になってくるからだ。
第1、第2はクリーンしようと誓っていた。ただ、今年のXトライアルではアンダーガードがちょっとでも接地すると1点をとられる。ちょっとさわっただけでも1点だが、アンダーガードがどかんと乗ってしまうと、そこからマシンを出すのに、何回かアクションを強いられる。そのたび、新たなアンダーガードの接地ととられるから、アンダーガードをつくなら、足をついてアンダーガード接地を回避したほうがいいということになる。
第1セクションはクリーンしようと思っていたが、アンダーガードが接地しないよう、勢いをつけて抜けようとしたところ、それがあだとなって1点を失った。第2は、アンダーガードが接地したととられて1点を失った。クリーンする予定のセクションで、1点ずつ2点失うことになった。第1、第2、第3、第5はクリーンする予定だったので、予定とはちょっとちがう結果となった。ただ、第3の2点は想定通り。第4はインの岩場を点から点に飛び移る設定だったが、ここで5点となった。ここは難所だったので、抜けられればラッキーだが、5点もいたしかたない。第5は、インが行ければなんとか行ける設定で、1点で抜けられた。第6は可能性が薄かったので、ここは5点でもやむなし。第1と第2の合わせて2点が予定よりよけいで、藤波のスコアは15点だった。
その後を走ったビンカス、ジェラベルトが16点、ジェイムス・ダビルが17点となったことで、藤波のクォリファイ5位が決まった。セミファイナル進出だ。
クォリファイ5位でセミファイナルに進んだ藤波は、セミファイナルのヒート2を走る。最初にヒート1の3人が走るから、ヒート2の3人はヒート1のトライを見ることができる。藤波は、トニー・ボウ、ファハルド、ブノア・ビンカスの3人がヒート1を走るのを見て、ヒート2のブストの次にセミファイナルを走った。
今年のXトライアルでは、セミファイナル・ヒート1の勝者とヒート2の勝者が決勝を戦う。点数は問われないので、セミファイナルに進出した時点で、ファイナルに進んで勝利のチャンスも残されることになる。
藤波のトライ順は、ヒート2の2番目、ブストに次いでセクションに入る。
第1は、ビンカスが5点、ファハルドが3点、ボウがクリーンしている。ブスト5点のあと、藤波も5点になってしまった。そればかりか、このとき、リヤフェンダーを割ってしまった。今年のルールでは、クラッシュしてもマシンが壊れても時計は止まらないので、すぐにスペアマシンに乗り換えて試合を続行しなければいけない。スペアマシンはもちろん1号車と同じ仕様に仕上げられているのだが、微妙に乗り味が変わってしまうので、これ以降は、それがハンディにもなりえる。少なくとも、タイミングは狂ってしまった。
セミファイナルもまた、いけるところはきっちりいこうと、セクションの難易度を見ながらメリハリを考えていた。第1と第2はやはり絶対にいこうと考えていたのだが、第1の5点は痛かった。第2は2点。1点はアンダーガードをかけにいっての覚悟の減点だったが、もう1点、アンダーガードがすっとすったということで減点されてしまった。採点はなんとも厳しい。厳しいが、すべてのライダーに同じく性格に厳しいので、どのライダーも採点は受け入れている。
第3は岩のセクションだったが、これもいければいこうとねらっていたのだが5点。第4と第5は難度がぐっと上がって、可能性はごく低かった。それでもXトライアルでは申告5点は許されないので、全力でトライして5点となる。第3から第5までは3連続5点となってしまった。
最後の第6は、藤波としては1点ほどで抜けたかったところだが、3点となって、これで今回の戦いは終わった。トータルで25点。ブスト同点だったが、ブストより40秒近くよけいに時間がかかっているので、ブストが5位、藤波は6位ということになった。ビンカスが24点だから、あと1点減点を減らせていたら、4位にはなれていたところだった。
6位になって、本来なら次のセビリア大会には出場できない予定だが、ラガが手術のために入院をするということで、セビリアにも出場することになりそうだという、試合後の藤波だった。
「Xトライアルは、優勝を争うにはすべてのセクションを抜けてなんぼですが、ぼくが成績を上げようと思うと、いけるセクションをきっちり抜けられるかどうか、3つくらいで争うことになります。なので自分自身をコントロールできれば、セミファイナルに進んで、いくつか上位が狙えるようにはなると思います。今年は、実はインドアの練習もしているんですが、次のセビリアできっちり自分をコントロールして、結果を残したいと思っています」
Final(ファイナル) | |||
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1位 | トニー・ボウ | レプソルHondaチーム | 3 |
2位 | アダム・ラガ | TRRS | 9 |
Round2(セミ・ファイナル) | |||
1位 | トニー・ボウ | レプソルHondaチーム | 7 |
2位 | アダム・ラガ | TRRS | 12 |
3位 | ジェロニ・ファハルド | ガスガス | 21 |
4位 | ブノア・ビンカス | スコルパ | 24 |
5位 | ハイメ・ブスト | ガスガス | 25 |
6位 | 藤波貴久 | レプソルHondaチーム | 25 |
Qualification(1ラップ目) | |||
1位 | トニー・ボウ | レプソルHondaチーム | 5 |
2位 | アダム・ラガ | TRRS | 6 |
3位 | ジェロニ・ファハルド | ガスガス | 8 |
4位 | ハイメ・ブスト | ガスガス | 11 |
5位 | 藤波貴久 | レプソルHondaチーム | 15 |
6位 | ブノア・ビンカス | スコルパ | 16 |
7位 | ミケール・ジェラベルト | シェルコ | 16 |
8位 | ジェイムス・ダビル | ベ ータ | 17 |
9位 | アルナウ・ファルレ | ヴェルティゴ | 27 |
PointStandings(ランキング) | |||
1位 | トニー・ボウ | レプソルHondaチーム | 100 |
2位 | アダム・ラガ | TRRS | 69 |
3位 | ブノア・ビンカス | スコルパ | 43 |
4位 | ジェロニ・ファハルド | ヴェルティゴ | 33 |
5位 | ミケール・ジェラベルト | シェルコ | 33 |
6位 | ハイメ・ブスト | ガスガス | 30 |
7位 | ジェイムス・ダビル | ベータ | 26 |
8位 | 藤波貴久 | レプソルHondaチーム | 12 |
9位 | アレックス・フェレール | シェルコ | 3 |
10位 | ホルヘ・カサレス | ヴェルティゴ | 3 |