2017年 世界選手権第4戦アンドラ

2017年6月18日/サン・ジュリア(アンドラ)

4位を逃し、2戦連続5位となる

photoアンドラは標高の高い山の中でのトライアル。トライアル会場が山の中にあるわけではなく、そもそもアンドラという国がまるごと山の中にある。

標高が高く、空気が薄いと、エンジンはパワーを失う。かつてチームは、アンドラ大会の標高の高さに手を焼いたことも多々あったのだが、最近は、トニー・ボウがアンドラに住んでいることもあり、最近は対処方法が定まってきている。

アンドラは、とがった岩が多く、乾けば鬼のようにグリップする。しかしどこもかしこも、その角度が急なので、途中で勢いが止まってしまうと、まったく上がれない、ということになる。ノーストップルールうんぬんの問題ではない。

パドックは街の中で、セクションは山の上にある。コースは長い。スタートしてから第1セクションまでは15分から20分かかる。第2セクションから最終15セクションまでは山の上にある。今回は変則的なスケジュールとなっていて、1ラップ目が終わると、そのまま山の上のスペースでインターバルの20分を過ごし、第1セクションには戻らず、2ラップ目の第2から第15までを走った後(この持ち時間は、たったの1時間45分だった)、第1に戻って試合を終えるということになっていた。これで、30分から40分の時間の短縮になる。1ラップ目も荘だが、ゴールのタイムチェックも最終15セクションで行い、そのあとは29分の持ち時間の中で第1まで帰ってトライしてゴールしなさいというシステム。29分で帰ってこれないと即失格のようで、今回、ゲラベルトとビンカスのふたりがそれで失格となっている。

しかし、やはり持ち時間は足りない。金曜日に下見、土曜日に予選(1日制の場合)となっている今年のスケジュール、下見はセクション内への立ち入りができない。なのでいざ走る段になると、ほとんど下見をやりなおさなければあぶなくて走れない。そうやってセクションを回っていると、ラップ後半には時間が足りなくなるわけだ。

photo今回のリザルトを見ると、GPクラスでは優勝のボウから失格となった二人まで、全員がタイムオーバーを課せられている。もっとも大きいのは11点、ボウが8点、藤波は3点あった。

1ラップ目、藤波は第6までをすべてクリーン、その後も、よく減点を抑えて走っていたが、第13から第15まで、連続3連続5点となっている。13セクションについたとき、すでに時間がなく、下見せずに走って5点となった。そして第14、第15は走らず5点を申告してゴールした。

1ラップ目の5点は5つ。最初の第7ではゲートマーカーをつぶしてしまった。第9ではテープを切ってしまった。そして第13は下見不足のトライでの5点、第14、第15は申告5点だ。1ラップ目、藤波の減点はタイムペナルティを含んで31点、7位のファルレには1点、8位のカベスタニーには3点差をつけていたが、ファハルドに2点差、カサレスに3点差、3位のボウに4点差の6位だった。このときトップのブスト(のちに、クリーンが一つ5点に修正されラガと同点の2位になった)とは15点差、2位のラガとは10点差となっていた。僅差で並んでいるので、上位を狙うこともできるが、逆転される恐れもじゅうぶんあった。

2ラップ目、どこまで点数を減らせるかが勝負。第5セクションは、1ラップ目にはクリーンをしていたところだ、ここの5点は惜しかった。しかしここはラガが2ラップともに5点、ボウも1ラップ目に5点となっているところで、簡単なところではなかった。点と点をつないで飛ばないといけないポイントだったので、ちょっと外せば失敗につながるポイントだった。

1ラップ目の5個からすると、2ラップ目の5点は二つで、だいぶ調子は上がった。しかし、他のライダーも2ラップ目には一様に安定していて、大きな順位の変動は起こりそうにない。

ここで、再び藤波はファハルドとの僅差での戦いとなっていた。表彰台争いには10点強離されていたので、これに届こうとするのはむずかしかった。しかし4位カサレスまでは5点ちょっとの差だ。可能性はある。

photo最終セクションは、結局全員が5点となった。勝負はそこまでの14セクションでつけられることになる。その14セクションを、藤波は3点、ファハルドは5点。この2点差が、そのまま結果の点差となり、藤波5位、ファハルド6位が決まった。開幕戦以来、非常に僅差で接戦を続けている二人の戦いは、今回は藤波の勝利だった。

5位は満足のいく結果ではなかったが、ランキングは4位に浮上している。今年のランキング3位争いは、たいへんにしれつだ。

○藤波貴久のコメント

「今回は表彰台争いには離されてしまいました。でも4位にはなれたと思うので、そこは惜しいところでした。とにかく時間がなくて、暑くて厳しい戦いでした。今回はブストが好調で、ついに2位表彰台に上がりました。チームの最年長として、これはとてもうれしいことですが、ランキング3位争いはファハルド、カベスタニーと、ブストも加わって接戦になりました。こちらのほうもがんばらないといけません」

World Championship 2017
日曜日
1位 アダム・ラガ スペイン・TRRS 32 24
2位 ハイメ・ブスト スペイン・モンテッサ 33 22
3位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 34 26
4位 ホルヘ・カサレス スペイン・ベータ 43 18
5位 藤波貴久 日本・モンテッサ 49 17
6位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ヴェルティゴ 51 14
世界選手権ランキング
1位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 75
2位 アダム・ラガ スペイン・TRRS 65
3位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ヴェルティゴ 49
4位 藤波貴久 日本・モンテッサ 48
5位 アルベルト・カベスタニー スペイン・シェルコ 47
6位 ハイメ・ブスト スペイン・モンテッサ 46