アンドラは標高の高い山の中でのトライアル。トライアル会場が山の中にあるわけではなく、そもそもアンドラという国がまるごと山の中にある。
標高が高く、空気が薄いと、エンジンはパワーを失う。かつてチームは、アンドラ大会の標高の高さに手を焼いたことも多々あったのだが、最近は、トニー・ボウがアンドラに住んでいることもあり、最近は対処方法が定まってきている。
アンドラは、とがった岩が多く、乾けば鬼のようにグリップする。しかしどこもかしこも、その角度が急なので、途中で勢いが止まってしまうと、まったく上がれない、ということになる。ノーストップルールうんぬんの問題ではない。
パドックは街の中で、セクションは山の上にある。コースは長い。スタートしてから第1セクションまでは15分から20分かかる。第2セクションから最終15セクションまでは山の上にある。今回は変則的なスケジュールとなっていて、1ラップ目が終わると、そのまま山の上のスペースでインターバルの20分を過ごし、第1セクションには戻らず、2ラップ目の第2から第15までを走った後(この持ち時間は、たったの1時間45分だった)、第1に戻って試合を終えるということになっていた。これで、30分から40分の時間の短縮になる。1ラップ目も荘だが、ゴールのタイムチェックも最終15セクションで行い、そのあとは29分の持ち時間の中で第1まで帰ってトライしてゴールしなさいというシステム。29分で帰ってこれないと即失格のようで、今回、ゲラベルトとビンカスのふたりがそれで失格となっている。
しかし、やはり持ち時間は足りない。金曜日に下見、土曜日に予選(1日制の場合)となっている今年のスケジュール、下見はセクション内への立ち入りができない。なのでいざ走る段になると、ほとんど下見をやりなおさなければあぶなくて走れない。そうやってセクションを回っていると、ラップ後半には時間が足りなくなるわけだ。
今回のリザルトを見ると、GPクラスでは優勝のボウから失格となった二人まで、全員がタイムオーバーを課せられている。もっとも大きいのは11点、ボウが8点、藤波は3点あった。
1ラップ目、藤波は第6までをすべてクリーン、その後も、よく減点を抑えて走っていたが、第13から第15まで、連続3連続5点となっている。13セクションについたとき、すでに時間がなく、下見せずに走って5点となった。そして第14、第15は走らず5点を申告してゴールした。
1ラップ目の5点は5つ。最初の第7ではゲートマーカーをつぶしてしまった。第9ではテープを切ってしまった。そして第13は下見不足のトライでの5点、第14、第15は申告5点だ。1ラップ目、藤波の減点はタイムペナルティを含んで31点、7位のファルレには1点、8位のカベスタニーには3点差をつけていたが、ファハルドに2点差、カサレスに3点差、3位のボウに4点差の6位だった。このときトップのブスト(のちに、クリーンが一つ5点に修正されラガと同点の2位になった)とは15点差、2位のラガとは10点差となっていた。僅差で並んでいるので、上位を狙うこともできるが、逆転される恐れもじゅうぶんあった。
2ラップ目、どこまで点数を減らせるかが勝負。第5セクションは、1ラップ目にはクリーンをしていたところだ、ここの5点は惜しかった。しかしここはラガが2ラップともに5点、ボウも1ラップ目に5点となっているところで、簡単なところではなかった。点と点をつないで飛ばないといけないポイントだったので、ちょっと外せば失敗につながるポイントだった。
1ラップ目の5個からすると、2ラップ目の5点は二つで、だいぶ調子は上がった。しかし、他のライダーも2ラップ目には一様に安定していて、大きな順位の変動は起こりそうにない。
ここで、再び藤波はファハルドとの僅差での戦いとなっていた。表彰台争いには10点強離されていたので、これに届こうとするのはむずかしかった。しかし4位カサレスまでは5点ちょっとの差だ。可能性はある。
最終セクションは、結局全員が5点となった。勝負はそこまでの14セクションでつけられることになる。その14セクションを、藤波は3点、ファハルドは5点。この2点差が、そのまま結果の点差となり、藤波5位、ファハルド6位が決まった。開幕戦以来、非常に僅差で接戦を続けている二人の戦いは、今回は藤波の勝利だった。
5位は満足のいく結果ではなかったが、ランキングは4位に浮上している。今年のランキング3位争いは、たいへんにしれつだ。
「今回は表彰台争いには離されてしまいました。でも4位にはなれたと思うので、そこは惜しいところでした。とにかく時間がなくて、暑くて厳しい戦いでした。今回はブストが好調で、ついに2位表彰台に上がりました。チームの最年長として、これはとてもうれしいことですが、ランキング3位争いはファハルド、カベスタニーと、ブストも加わって接戦になりました。こちらのほうもがんばらないといけません」
日曜日 | ||||
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1位 | アダム・ラガ | スペイン・TRRS | 32 | 24 |
2位 | ハイメ・ブスト | スペイン・モンテッサ | 33 | 22 |
3位 | トニー・ボウ | スペイン・モンテッサ | 34 | 26 |
4位 | ホルヘ・カサレス | スペイン・ベータ | 43 | 18 |
5位 | 藤波貴久 | 日本・モンテッサ | 49 | 17 |
6位 | ジェロニ・ファハルド | スペイン・ヴェルティゴ | 51 | 14 |
世界選手権ランキング | ||||
1位 | トニー・ボウ | スペイン・モンテッサ | 75 | |
2位 | アダム・ラガ | スペイン・TRRS | 65 | |
3位 | ジェロニ・ファハルド | スペイン・ヴェルティゴ | 49 | |
4位 | 藤波貴久 | 日本・モンテッサ | 48 | |
5位 | アルベルト・カベスタニー | スペイン・シェルコ | 47 | |
6位 | ハイメ・ブスト | スペイン・モンテッサ | 46 |