2017年 世界選手権第1戦・第2戦スペイン

2017年5月14日/コンプロドン(スペイン)

荒天・波乱の開幕戦は5位となる

photo2017年開幕戦は昨年同様にスペインでの開催だった。今回の会場は、ヴェルティゴのオーナーであり、藤波も昔からお世話になっているマニュエル・ジャネ氏の山での開催だった。バルセロナ近郊でもあり、ヴェルティゴに乗るジェロニ・ファハルドのみならず、多くのスペイン人ライダーにとって地元大会ということになる。もちろん藤波にとっても、もうひとつの地元大会だ。

今シーズンから、トライアル世界選手権はいろいろと変化があった。今年からスポーツ7というプロモーターが世界選手権をしきることになり、藤波らのトップクラスはトライアルGPクラスと称されることになった。

選手のゼッケンは、これまではランキング順にFIMから与えられるものだったが、たとえばGPクラスではランキング順以外にも、21番以降で好きな番号が選べるようになった。トニー・ボウは1番、藤波は3番だが、ハイメ・ブストは69番、アダム・ラガは67番、ジェロニ・ファハルドは47番、アルベルト・カベスタニーは37番、ジェイムス・ダビルは22番で今シーズンを戦う。

下見は前々日のうちに完了させておくことということになり、しかも下見はオートバイには乗っていけないことになった。そしてこの際にはセクションへの立ち入りはいっさい禁止。横切るだけでもそれを誰かに見られようものなら、ただではすまない裁定が返ってくる。事実上、セクションを見るどころではない。

そしてスタート順も、今回から予選が開催されることになった。大会前日、予選セクションを一つつくり(今回は第1セクションの一部と、その横のエリアを使って予選セクションがつくられていた)これをすべてのライダーがトライする(今回は、125とTR2は同じセクション、TRGPだけ難度が高く設定されていた)。翌日は、これで得た順にスタートする。もちろん、一番時計なら一番最後のスタートとなる。クリーンした中でのタイムのよい順、次に1回足をついた中でのタイムのよい順、以下、5点となった最下位まで順位がつけられる。

予選に先がけては1回ずつの練習走行が許されていて、藤波はそこで28秒台のぶっちぎりのベストタイムをマークした。この結果には藤波も気分上々。本番ではどうまちがっても3番以内に入れると思ったものだった。

ところがこれが甘かった。トライ順はくじ引きで、藤波はなんと3番目を引いてしまった。前を走ったマテオ・グラタローラは転んで5点となってしまい、まともに藤波の露払いをしてはくれなかった。練習走行をしてから本番まで、125やTR2のライダーが走って、ごろごろ石は大きく位置を変えていた。

外から見るだけで、実際にどんな状況になっているのかはきちんと確認できない。藤波が選んだラインは、練習走行から比べると体感的にも遅い。練習走行の際のタイムに自信を持っていた藤波は、逆にこれでは勝負にならないと思ってしまった。そんな焦りが、後半部分の岩で、ミスとなって出てしまった。からだが岩を乗り越えているのに、マシンがついてこなかった。この予選セクションもノーストップルールだから、これが1点で済んだのは幸いだったのかもしれないが、しかしたかが1点されど1点、クリーンで抜けたライダーが13人いたから、藤波は14番手ということになった。

ルールはルールだが、トップライダーを一律に見たいお客さんにとって、タイムによってスタート順がばらばらになるというのは、興業としてはどうなのだろうと、藤浪は思う。大ばくちを打ってベストタイムをたたき出し、一番最後のスタート順を得るという作戦がとれるのはおもしろいかもしれないが、トップライダーを一律に見たいお客さんのためには、1番から5番、6番から10番と区切って、その中で予選順を決めるようにしたほうがよかったのではないかと思う藤波だった。

もちろんこのルールは、シーズンオフの間に検討が続けられていて、藤波のところにも打診はきていたのだが、メールで規則が送られてきても実際の感覚はよくわからないて、意見ができなかった、というのが正直なところだ。

ともあれ、これで2017年、藤波の最初のスタートは、5番目ということになった。29秒47の一番時計で最後のスタートとなったブストとは、えらいちがいである。

そしてスタート。2番手スタートで苦労するはずのカベスタニーが、意外な好調ぶりを見せる。そして周囲を待っても時間を失うことを知っている彼は、ものすごいペースでセクションを回っていく。藤波もこれについていこうとしたが、カベスタニーが好調なのに対し、藤波はいたるところで5点となって、ぜんぜんダメだった。情報によれば、1ラップ目の順位は8位であるという。8位はひどい成績だが、走っている実感としてもそんなものだったし(ただし公式結果を見ると、1ラップ目の藤波は7位である)、それに藤波の前には2点差の中に3人がいる。藤波を追う側にも5点の中に3人が並んでいたが、ともあれこれは2ラップ目に順位の変動がありうる。8位といわれても深刻にはならず2ラップ目の戦いに入ることができた。

ところがその2ラップ目は、天気に翻弄されたラップとなった。まず1ラップ目の後半、藤波が11セクションに着いたときに雨がどかーんと降ってきた。土で構成された第14、第15はあんまりのコンディションで申告5点で抜けるしか方法がなかった。藤波の後方のライダーはもっと条件が悪くなったかといえば、もともと川のセクションは雨の影響をほとんど受けないわけで、特に藤波らスタートが早いグループが有利ということもないという結果だった。

そして2ラップ目の第1セクションでは、からっと晴れた。天気が回復したのかと思いきや、第7セクションでは今度はヒョウが降ってきた。ものすごい天気である。そして11セクションに到着した頃に、それは止んだ。

雨が降った後の2ラップ目は、全ライダーともにコンディションはほぼ一定かと思われたが、それでも藤波やカベスタニーが絶対無理ということで申告5点で抜けた第3、第4セクションを、ボウやラガは1点やクリーンで抜けている。だからやはり時間差によって、コンディションの差はけっこう大きかったようだ。

そのままカベスタニーと先を急ぐように走っていると、2ラップ目中盤あたりであとを走っていたはずのロリス・グビアンたちが追いついてきた。第7から第10あたりはむずかしいセクションで、彼らはそれらをごっそり申告5点で抜けてきたらしい。これで藤波のペースが少し乱されることになった。

藤波の予定では、1ラップ目に1点で抜けている第13セクションを走って、第14、第15は申告5点で抜けることにしていた。しかし13につくと、申告5点で先行していたライダーが並んでいる。そしてなんとゲートの位置が変わっていた。2ラップ目ということもあり、下見をしている時間は予定していない。マインダーのカルロスを待つ時間もなかった。そしてトライした藤波は、ここで大クラッシュをしてしまった。

それでも、第14、第15を申告5点で抜ける予定だった藤波にすれば、ここでのクラッシュはそんなにダメージとはならないはずだったが、なんと第14についてみると、ここもゲートの位置が変わっていた。これはトライせざるをえないが、ここもまた下見をしている時間はない。ゲートマーカーの位置の変わった、いわば新しいセクションを、下見なしで走り抜け、第14がクリーン、第15が1点。これで藤波の開幕戦は終わった。

藤波はスタートが早かったから、順位が確定するまでにはずいぶん待たなければいけなかった。ボウとラガ、そして2ラップ目に調子を崩したカベスタニーには点差を離されたが、他のライダーとは僅差だ。1ラップ目に藤波より上位にいたハイメ・ブストには7点差、ホルヘ・カサレスには4点差で勝っていた。藤波の4位争いのライバルは、ファハルドひとり。そのファハルドが帰ってきた。藤波が1点ついた最終セクションをクリーンして、減点は84。なんと、1点差で藤波を上回っている。クリーン数は藤波の方がひとつ多かったから、なんともくやしい開幕戦5位決定劇だった。

このあと、藤波はチームに先駆けて日本へ行く。今回は日本での滞在もごく短期間。2週間足らずの滞在で、2日間の日本GPを戦うことになる。

○藤波貴久のコメント

「なんだかダメダメの1ラップ目で、2ラップ目に挽回はできると思っていましたが、1点差で5位ということになってしまいました。プロモーターはスタート順の番狂わせを期待したいようですが、それでも結局上位の順位はいつもどおりになっています。スタート順をひっくり返しても予選にしても、結果はあるべきものに落ち着くというのは、もう何年も検証し尽くされていると思うのですが、今回は新しいシステムの周知ができていないこともあって、そんな混乱も大きかったと思います。今年は世界各地のトライアルGPでそんな光景を見ることになってしまうのかもしれませんが、うまく戦って納得いく結果を残していきたいと思っています。今月末の日本大会、みなさんにパワーをいただくのを楽しみにしています」

World Championship 2017
日曜日
1位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 46 15
2位 アダム・ラガ スペイン・ガスガス 58 9
3位 アルベルト・カベスタニー スペイン・シェルコ 72 10
4位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ヴェルティゴ 84 6
5位 藤波貴久 日本・モンテッサ 85 7
6位 ホルヘ・カサレス スペイン・ベータ 89 6
世界選手権ランキング
1位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 20
2位 アダム・ラガ スペイン・ガスガス 17
3位 アルベルト・カベスタニー スペイン・シェルコ 15
4位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ヴェルティゴ 13
5位 藤波貴久 日本・モンテッサ 11
6位 ホルヘ・カサレス スペイン・ベータ 10