3月になって毎週のように開催されたXトライアル、31日の第4戦ニースで、2017年シーズンもいよいよ最後となった。
チームメイトのトニー・ボウはここまで3戦3勝で、このニースで11回目のXトライアルタイトルを決める。同じくチームメイトのハイメ・ブストは今回は参加のチャンスがないが、タイトル決定を祝うために会場へ顔を出している。そして藤波とはいえば、トニーのタイトル決定以前に、まずは今季一度も走っていない、ファイナル進出を果たすべく、クォリファイ6セクションの戦いにまず気合いを入れる。
今回のワイルドカードはフランスのアレックス・フェレール。Xトライアルにフル参戦した経験もあり、インドアトライアルは比較的得意だ。そのフェレールが、ドイツのフランツ・カドレックと最初の対戦。ここはフェレールが順当に勝利した。フェレールが5点二つ、2点二つ、クリーン二つの14点。どうやらファイナル進出のボーダーラインは10点内外になりそうだ。
藤波はダビルとの対戦。ランキング5位争いの二人だ。最終戦を前に、ランキング5位はブストがつけ、藤波が6位、ダビルが7位につけているが、ブストは最終戦には出ないので、藤波とダビルがひとつずつポジションを上げるもくろみとなる。
今回のセクションは6セクション。丸太やコンクリートなどが用意されたもので、フランス風のややテクニカルな設定だ。第6セクションは不可能の予定で、つまり実質全5セクションで勝負を決めることになる。
トライ順を決めるスピードレースでは、藤波がダビルに勝って、ダビルが藤波に先がけてトライすることになった。第1セクションは両者ともにクリーン。ここはカドレックもフェレールもクリーンしているクリーンセクションだった。
藤波の調子は悪くない。今回の走りなら、ファイナル通過の可能性はぐんと高まる。今年のXトライアルの中では、もっとも調子のいい、藤波のライディングだった。ボウとラガはまず崩れることがないから、ファイナルに残る席はあとふたつ。アルベルト・カベスタニー、ジェロニ・ファハルド、そしてダビルのうち、どこまでを切り崩せるかが勝負になる。
第2セクション。白いブロック使ったセクションで、ここは抜けられる設定だった。ところがここで藤波は5点になってしまった。カドレックは5点、フェレールは2点で、ダビルはクリーンだった。この5点が痛いことになった。
第3セクションはクリーン、第4セクションはダビル3点に対し、藤波は1点。さらに第5セクションはダビル1点に対し藤波はクリーン。だいぶ追い上げたものの、残るは攻略がきわめて困難な第6のみ。ここへきて、藤波のファイナル進出は絶望的となった。第6セクションは藤波もダビルも、さらにはラガもボウも5点の、勝負にならないセクションだった。
藤波はトータルで11点、カドレック、フェレールよりは好スコアをマークしたが、ダビルは9点。このあと、スペインの4強が登場するから、6位になるのを覚悟した藤波だった。
ところがその後、カベスタニーが乱調を見せた。藤波が5点となった第2、さらには第4でも5点、第6はもちろん5点で、トータル15点。なんとあわや最下位の7位となってしまった。たった6セクションで勝負がつくがゆえの波乱。藤波とて第2で5点となっている点では、波乱含みのインドアの落とし穴にはまってしまった、ということになる。
それでも、第2をクリーンとは言わずとも、1点か2点で抜けていればファイナルに進出していたわけで、惜しいし残念ではあったが、手応えのあった大会ではあった。
さてファイナルで、藤波とカベスタニーは戦いの外で、気をもむ戦いを続けていた。ダビルがファイナルに進出したことで、3位となる可能性も出てきた。もしダビルが3位になると、藤波はランキング5位をダビルに譲ることになる。いっぽうカベスタニーは、ファハルドが3位以内に入ると、それまで守ってきたランキング3位をファハルドに譲り渡すことになる。藤波もカベスタニーも、ランキング争いのライバルが4位になってくれることを願いながら、ファイナルの試合を見守ることになった。
ファハルドとダビルなら、ふつうなら勝負はあったようなものだが、この日はちがった。ファハルドもランキング3位の可能性が出てきて集中しきれなかったか、なんとダビルと同点!
タイブレイクの結果が出るまで、藤波とカベスタニーのランキングをかけた戦いも、白熱して続いたのだった。
結果、ファハルドが3位となり、ランキングもファハルドが3位、ダビルは4位となって、ランキング5位はわずか1点差で藤波のものとなった。
さぁ、次はいよいよ、アウトドアシーズンの始まりだ。
「今れなら結果もついてくるだろう、という納得の走りができていたので、第2セクションでの5点は残念でした。去年は最終戦でファイナルに進出できたのですが、今年は5位止まりで終わってしまいました。今年はインドアの練習はせず、当初からアウトドアに焦点を絞っていましたから、今は来るアウトドアシーズンに向けての準備をしっかりとおこなって、開幕を楽しみにしています。Xトライアルの応援、ありがとうございました」
Final(2ラップ目) | |||
---|---|---|---|
1位 | トニー・ボウ | レプソルHondaチーム | 0 |
2位 | アダム・ラガ | TRRS | 6 |
3位 | ジェロニ・ファハルド | ヴェルティゴ | 13 |
4位 | ジェイムス・ダビル | ガスガス | 13 |
Qualification(1ラップ目) | |||
1位 | アダム・ラガ | TRRS | 1 |
2位 | トニー・ボウ | レプソルHondaチーム | 2 |
3位 | ジェロニ・ファハルド | ヴェルティゴ | 3 |
4位 | ジェイムス・ダビル | ガスガス | 9 |
5位 | 藤波貴久 | レプソルHondaチーム | 11 |
6位 | アレックス・フェレール | シェルコ | 14 |
7位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 15 |
8位 | フランツ・カドレック | ガスガス | 17 |
PointStandings(ランキング) | |||
1位 | トニー・ボウ | レプソルHondaチーム | 80 |
2位 | アダム・ラガ | TRRS | 60 |
3位 | ジェロニ・ファハルド | ヴェルティゴ | 37 |
4位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 35 |
5位 | 藤波貴久 | レプソルHondaチーム | 20 |
6位 | ジェイムス・ダビル | ガスガス | 19 |
7位 | ハイメ・ブスト | レプソルHondaチーム | 15 |
8位 | フランツ・カドレック | ガスガス | 5 |