2015年 FIM 世界選手権第11戦・第12戦アンドラ

2015年7月4-5日/セント・ジュリア(アンドラ)

ワースト記録、さんざんなアンドラ

photo表彰台、4位と成績が上向いたかと思いきや、翌週のアンドラでは、これまでにない順位に低迷してしまった。うってかわって、さんざんな週末となった。それでも土曜日の8位から、日曜日には6位となって、悪い中でも少し状況は改善している。

■土曜日

アンドラは標高が高い。標高が高いと空気が薄く、それでエンジンはパワーを奪われる。絶対的にパワーを取り戻すことはできないが、圧縮比などの仕様を変えたり燃焼セッティングを見直したりして、平地でのエンジン特性と違和感なく乗れるように仕上げるのが、高地大会に向けてチームの仕事となる。

チームはフランス大会の前に、アンドラでの高地テストを行っている。残念ながらそこでの感触は、あまりいいものではなかった。今年、藤波とボウはちがう仕様のマシンに乗っているのだが、どちらも同じように高地でのパワーには不満があった。

テストでは充分な結果が出ないまま、フランス大会に臨み、藤波は3位と4位、ボウは連勝を逃したものの、マシンスペックに起因する敗退ではなかったので、同じくらいの標高のアンドラでもいけるかもしれないと、それでアンドラにやってきたレプソル・ホンダ・チームだった。

しかしアンドラで、自慢のファクトリーエンジンは不発気味だった。なぜ、フランスで問題がなく、アンドラで問題となるのかがわからないまま、戦いに挑むことになった。ただしチームの中でも、ブストは高地環境によるパワーの低下が、あまり気になっていないようだった。ブストは藤波はボウに比べて、体重が10kg以上軽いのもあって、影響が少ないということもあるのかもしれない。

標高が高く、しかも暑い。金曜日の下見では、セクション設定は簡単すぎくらいで、一部は要望を受けて難度をあげたりもしたのだが、それでも可能性としてはオールクリーンに近いスコアで回ってこれるのではないかという予測がたった。でもそれは予測であって、上がれなければ落ちるというセクション設定が、ライダーを苦しめていく。

1ラップ目、藤波は3個の5点で18点。これは6位のポジションとなる。トップはカベスタニーの1点、2位がボウの2点、3位がラガの6点、4位がファハルドの8点。点数的に藤波のライバルは、けがから復帰してきたホルヘ・カサレスとなる。カサレスの1ラップ目は17点だった。

しかし藤波は、2ラップ目、3ラップ目と減点を増やしてしまう。高地でパワーフィーリングが変わってしまったところを、セッティングでうめようとしたところが、やはりうめきれず、上がるか落ちるか、というところで、落ちて落ちて落ち続けた結果、特に3ラップ目に至っては、第1から第4まで4連続5点となってしまった。

結果は8位。こんなリザルトを残したのは2005年以来のことだ。2005年はチャンピオン獲得の翌年で、4ストロークマシンのデビュー年だった。9年ぶりに味わう、下位のリザルトだった。

■日曜日

photoセッティングでは乗り切りようがないということで、土曜日の試合の後、マシンのセットはがらりと変えられた。今まで、使うことはなかったつながりのピーキーなクラッチを装着して、それでパワー不足のマシンを岩の上まであげてしまおうという作戦だ。今までならあり得ない選択だった。

ギヤの選択も変えることになった。3速を使いたいセクションでも、3速ではパワーが足りない。2速を使って上がりきるしかない。この点、ブストは3速を使わない不思議なライダーだったから、ブストがいけるならということで藤波もボウも2速を選んだりした。

藤波は日曜日に6位となり、ボウはまたも勝利を逃して2位となった。しかし藤波もボウも、全力を出しきって戦った。今回はレプソル・ホンダ・チームにとって苦しい一戦となってしまった。

土曜日には、セカンドグループの最下位だった。日曜日には、セカンドグループのトップにまでは復活した。それでもトップグループの中では、5位はやはり5位。フランスで4位に浮上したランキングも、再び5位に逆戻り。しかも4位カベスタニーに8点差をつけられた。残りはあと6戦。苦しい戦いだが、踏ん張るしかない。

○藤波貴久のコメント

「今回はさんざんでした。ただ、からだの故障はほとんどなくなっています。今はひざだけに戻りました。足指は一日走っていると蒸れて痛みも出ますが、大きな問題ではないし、手もテーピングすると腕上がりの原因となるのでやめましたが、痛みはほとんどない状態です。このところ大会が連続していたので、ふだんの練習はしないでからだを休ませていましたが、アメリカまでは少し間があるので、練習も再開しています。アメリカは比較的成績がいい相性がいいところなので、楽しみにしています」

World Championship 2015
土曜日
1位 アダム・ラガ スペイン・ガスガス 14 29
2位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 20 29
3位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ベータ 29 25
4位 アルベルト・カベスタニー スペイン・シェルコ 34 25
5位 ホルヘ・カサレス スペイン・ベータ 58 17
8位 藤波貴久 日本・モンテッサ 65 16
日曜日
1位 アダム・ラガ スペイン・ガスガス 15 27
2位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 26 22
3位 アルベルト・カベスタニー スペイン・シェルコ 24 27
4位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ベータ 39 25
5位 藤波貴久 日本・モンテッサ 57 20
6位 ハイメ・ブスト スペイン・モンテッサ 61 19
世界選手権ランキング
1位 トニー・ボウ スペイン・モンテッサ 231
2位 アダム・ラガ スペイン・ガスガス 203
3位 ジェロニ・ファハルド スペイン・ベータ 168
4位 アルベルト・カベスタニー スペイン・シェルコ  153
5位 藤波貴久 日本・モンテッサ  145
6位 ハイメ・ブスト スペイン・モンテッサ 121