2015年 世界選手権Xトライアル・デ・ナシオン ニース(フランス)

2015年4月3日/Nice France

なんと5位になってしまいましたのX-TDN

photoXトライアルの終幕後、久しぶりにXトライアルのトライアル・デ・ナシオン(TDN)が開催された。4月3日、ニースでのX-TDNに、藤波は小川友幸とともに出場することになった。今回の参加国は、スペイン、イギリス、フランス、日本、2012年には参加していなかったイタリアの5カ国だ。

藤波にすれば、膝の手術の後の初めての“世界選手権”。ただし、いつものXトライアルよりも、さらにショーとしての雰囲気も強いので、肩慣らしに出場するには悪くない舞台となる。日本チームとして組んだ小川友幸は、シーズンオフの間にマシンのテストで幾度となくスペイン入りをしていた。そんな中で、今回の話が決まったものだ。とはいえ、テストのついでに出場ができるスケジュールではないから、小川はこのためにわざわざもう一度渡欧をすることになった。マシンは藤波のスペアマシンを使用する。

肩慣らしなどと表現してしまったが、もちろんレースはレース。ヨーロッパに到着した小川を飛行場で迎えた藤波は、今回も2位となるよう、お互いに決意を確かめ合って当日を迎えたのだった。

2012年、やはりこのふたりは、同じような経緯から、同じような体制でX-TDNに参戦、スペインに続いて2位になっている。スペインはトニー・ボウとアルベルト・カベスタニーのチーム構成だが、今のスペインに勝つのは、まずどこの国にとっても不可能な夢物語だ。だからスペイン以外が狙うのは、2位入賞ということになる。そして前回、2位となったのが藤波と小川の日本チームだった。

2012年のX-TDNでは、1ラップ目と2ラップ目を、どちらかひとりのライダーが走るキマリになっていた。1ラップ目を小川が走れば、2ラップ目は藤波という具合だ。今回は、1ラップ目6セクション、2ラップ目6セクション、合わせて12セクションを6セクションずつ、チームによってどちらのライダーを走らせるかを選べるようになっていた。

ざっと下見をして、一応藤波の膝の具合を考慮して、膝の負担の大きそうなところは小川が走るようにと二人で相談した。第1、第2は小川、第3、第4、第5は藤波、第6が小川。2ラップ目も、日本はこれと同じとした。他のチームは、チームごとに、2ラップ目はライダーを取り換えたりしている。2ラップ目は1ラップ目とは反対側からトライするので、同じセクションとはいえ、新たなむずかしさができ上がっていた。

トライ順は、スピードレースの結果による。レースといってもいつもの1対1の対戦ではなく、順番に走ってタイムを計測する。1ラップ目も2ラップ目もこれでトライ順を決めるのだが、どちらもトップタイムをマークしたのはスペイン。そして2番時計が日本だった。なので日本は、スペインの前、4番目にトライすることになった。

第1セクション、フランスのグビアンが5点、イタリアのグラタローラ、イギリスのブラウンが1点、そして小川がクリーン。最後にボウが当然のようにクリーンをして、幸先がいいというか、まずは確実な滑り出し。

第2セクションはちょっとむずかしかった。フランスのフェレールが3点、他はスペイン以外は小川を含めて3チームが2点。ボウは当然クリーンだ。

第3セクションは藤波。ここでは、5カ国が全員クリーンだった。日本は1点差で2位を守って第4セクションへ。

photoハプニングはここで起こった。なぜか藤波は、第4セクションの出番が小川だと思ってしまっていた。ところが小川は第4セクションを走る気がない。「なんで走らんの?」「いや、おまえやぞ」という会話があって、あわてて藤波が出ていくことになった。カルロスとジョセップ、藤波のマインダーは現場に来てサポートをしているも、日本チームとしてのマネージャーはいない。ライダー二人だけの戦いだから、こういったミスも出る。いや、ミスが出てはいけないのだが、出てしまった。

とはいえ、第4セクションは比較的簡単だった。そこまでの3カ国もすべてクリーンしている。走る気がなかったから、藤波はこのセクションを下見していなかったのたが、それでもクリーンする気満々でトライした。入口の難所は難なくクリアした。これでこのセクションもクリーンまちがいなし。

ところが魔の手はひそんでいた。むずかしかったのは入口だったのだが、ここをクリアしたあと、後半の簡単なポイントで5点になってしまった。藤波自身も驚いた。小川も驚いた。ライバルチームもみんな驚いた、日本チームの5点だった。これでスコアは7点。かろうじてフランスの8点に勝る4位まで落ちてしまった。

第5セクションは藤波。ここは堅実にクリーンだったが、グラタローラが1点となった意外はみなクリーン。そして最終セクション、なんとか挽回しなければいけないというプレッシャーが小川を襲い、5チーム中、小川だけが3点となってしまって1ラップ目が終わった。スコアはスペインがオールクリーンの0点、2位と3位が3点と4点、4位のフランスが8点で、日本は10点になった。

セクションそのものは、クリーンが不可能ではない。だからきちんと走れば、まだ逆転のチャンスもある。とはいえ、2ラップ目は逆トライで少し難易度も増している。ライバルチームは、とりあえず堅実に走り抜けようとしている。そこを逆転しなければいけないのだから、華麗なパフォーマンスを見せるしかない。

この覚悟が、逆に働いてしまった。第1、第2と小川が5点。第1での5点は日本だけだったから、これでさらに、自ら差を広げてしまった結果となった。

藤波とトライとなった第3セクション。ここでもまさかの5点。5点になったのはイタリアのトゥルノールだけで、ダビルが2点、フェレールが1点で抜けているから、このあたりですでにおもいきり雲行きがあやしい。

第4セクションの藤波はクリーン。グラタローラが1点ついてくれたが、焼け石に水のような感じだ。

第5セクションは藤波の最後のトライで1点。トゥルノールが1点、ブラウンが2点、藤波が1点。クリーンは、カベスタニーとグビアンだった。

2ラップ目、フランスがめっぽう調子がいい。グビアンには減点がなく、フェレールも1点がふたつ。1ラップ目は4位だったフランスだが、2ラップ目はもう少し上位に浮上するかもしれない。

photo第6セクションは、小川も含めて5チームが全員クリーンだった。点数を見るまでもなく、惨敗という感じだ。はたして4位と10点差の最下位の5位。優勝はスペインのオールクリーンは別格として、2位はフランスがイギリスに3点差をつけて入っていた。1ラップ目の8点から、2ラップ目の2点はすごかった。

スペインの結果を見ると、いつものXトライアルよりは、スコア的には簡単めのセクション接点だったかもしれないが、ほんの少しのミスでいける、いけないの運命が分かれるのがインドアトライアル。そこへ持ってきて全体に簡単めだったら、挽回のしようもない。

3年ぶりの、幼なじみ同士で組んだ日本チームは、ちょっとほろ苦い思いとともに、幕を下ろしたのだった。

○藤波貴久のコメント

「今年も2位を狙うぞ、がんばろうと、ガッチ(小川友幸)と誓い合っていたのですが、結果がこんなで、日本のみなさんに申し訳ないです。ぼくが第4セクションでミスをして、それでガッチのペースも狂ってしまった。膝の調子がどうこう、久々の世界選手権という以前に、今回は大失敗のトライアルでした。すごすごと帰って、日本に向かうまで、最後の調整に励みたいと思います」

X-TRIAL 2015
Nice
1st Lap
1位 スペイン 0
2位 イギリス 3
3位 イタリア 4
4位 フランス 8
5位 日本 10
2nd Lap
1位 スペイン 0
2位 フランス
3位 イギリス 10
4位 イタリア 12
5位 日本 16
Total
1位 スペイン 0
2位 フランス 10
3位 イギリス 13
4位 イタリア 16
5位 日本 26