2014年 FIM 世界選手権第7戦イタリアGP

2014年6月1日/アラニャ・バルセシア(イタリア)

2戦連続6位、がまんの2週間

photo 2日間の予定が1日は結果が出ず、そして藤波自身はまったく乗れないままに最悪のトライアルとなってしまったコルシカ島のヨーロッパ大会から1週間。世界選手権はコルシカ島からイタリアに上陸して、アルプスの麓の町、アラニャ・バルセシアにやってきた。標高1,000メートル以上の高地で、セクションは1,000メートルから1,500メートルほどに位置していた。

前回はすべてのセクションが海岸のごつごつ岩で、グリップが極端によくて手ごわいものだったが、今回は斜面があったり岩があったり川があったりという、トライアルらしいナチュラル・コンディションだった。藤波にすれば、どちらかというと前回は苦手、そして今回は得意の分野となる。

膝の具合は、前回は最悪だった。その後スペインに帰って、久しぶりに膝に溜まった水を抜く処置をした。Xトライアルの頃は毎試合が終わるたびに水を抜いていたが、最近ではその必要がなくなっていたのだが、今回はそうもいっていられなくなった。抜いた水は、これまでで一番多かった。これまでで一番症状が悪い、とも言える。

しかしその後、不思議なことに調子は悪くない。トライアルをするときには痛み止めを処方するのだが、その効能だけではないと思われる。

コルシカ島の不調から、根本的な改善があるわけではないのだが、今回は会場のコンディションにも悪くない印象があるし、コルシカ島の悲惨な結果とはちがう結果が得られるのではないかと、藤波は考えていた。

実はコルシカでは、マシンとのマッチングの不安もあった。マシンは細かいところがどんどん進化しているが、その都度、ライダーが完璧に慣れなければいけない。そこがむずかしい。コルシカで感じた違和感を解消するために、また別の仕様が用意された。コルシカで走った本番車はコルシカから直接イタリア大会の会場に向かった。別の仕様の方が乗りやすければ、こちらのマシンを持っていくことになる。

悩んだ末、マシンはコルシカの仕様のままでいくことにした。別仕様のマシンへの完熟は充分ではないし、こちらはこちらで不安もある。

金曜日に現地に入るはずが、イタリアの飛行機会社のストライキの予定があって、急きょ木曜日に移動するなど、今回も多少の波乱でトライアル・ウィークエンドが始まった。

セクションに隣接するトレーニングエリアを走ってみると、ところどころにある黒い岩が、濡れると滑る。滑るなんてものじゃない、尋常ではなく、滑る。この滑る岩がなければ、セクションは比較的イージーだと思われたが、この岩のせいで、大会はそこそこの難度をもって進められるものと思われた。

それでも、優勝争いは1ラップ10点台ではないかというのが、藤波を含め、みんなの予想だった。これを上回るのはよっぽど調子がよくないとむずかしいし、これ以上減点をするようでは、優勝争いには加われないだろう。

その予想は、当日その通りになった。ただし予想通りでなかったのは、藤波が1ラップ目にして40点以上も減点してしまったことだ。これは本人もびっくりの大量減点だった。

大会開始直後の第3セクションで5点。しかしここは、トップ3以外では5点ばかりだったので、大きな問題にはならないだろう。しかし次の第4でも5点になって、これは具合が悪いかもしれないと思いはじめた。

乗れていない。マシンとも合っていない。自分のライディングがまったくできずに、これ以上落ちようがないくらいに失敗した。

こんなとき、いらいらしていてもろくな結果にならないから、少し立ち止まったりもした。時間もぎりぎりになるはずだったが、このままずるずる試合を続けてもいい結果にはならないと思ったからだ。ところが人のトライを見ているうち、自分の点差を知ることになる。ここでクリーンをすれば逆転できる、という計算もできてしまう。そしてクリーンをしようと気負ってしまって、結果5点になる、ということもあった。乗れていない上に、裏目にもなる。成績が出ないときというのは、こういうときだ。

5点が多いのは、あの、滑る岩のせいでもあった。ちょっとした失敗で、あっという間につるっと滑ってなにもできないまま5点になる。とはいえ、みんながみんな5点ばかりではないし、そこは藤波のこの日の走りっぷりが結果になったところだ。

それでも1ラップ目の42点から、2ラップ目には25点、3ラップ目には21点と減点を減らしている。でもこれは、自慢できるなにかをしたわけではなく、乗れていないながらにも、地形やマシンに多少は合わせられるようになったというのと、1ラップ目があまりにも悪すぎたということにつきるようだ。

そんなことで、今回もまた、藤波はまったく自分の走りができないままに大会を終えた。36セクション中、10個のクリーンは出すことができたが、たとえクリーンをしたとしても、納得がいかない、自分の走りではない感じが残ってしまう1日になった。

前回、ランキングトップの座を奪われていた僚友のボウは、今回は久々の勝利を得て、ランキングトップの座を奪い返した。前回までランキング3位を守っていた藤浪は、今回の結果でその座をカベスタニーに明け渡すことになった。それでも点差は、まだ3点。シーズンは、まだまだ先が長い。

○藤波貴久のコメント

「今回もまたいいところがなくて、みなさんに申し訳ないです。前回も同じことを思いましたが、この走りで6位というのは、ある意味ラッキーだったと思っています。そして不幸中の幸いだったのは、今回のイタリア大会が2日制ではなくて1日のみの大会だったこと、前回のコルシカが2日制だったのにリザルトが1日のみになったこと……。最悪の結果の中でも、まだ少し救われているところがあるのかなと思います。ランキングは4位に落ちていますが、もちろんランキング争いは大事ですが、それ以前に、このところ表彰台からずっと外れているので、それがまずつらいです。ランキングはまだまだ先がありますから、まずは表彰台に復帰することを念頭に、次の大会までに、マシンとのマッチングを測りたいと思います。次の大会では、自分の走りを取り戻します!」

World Championship 2014
日曜日
1位 トニー・ボウ レプソル・Honda 32
2位 アダム・ラガ ガスガス 59
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 69
4位 ジェロニ・ファハルド ベータ 70
5位 ジェイムス・ダビル ベータ 83
6位 藤波貴久 レプソル・Honda 96
7位 ポル・タレス シェルコ 112
8位 マテオ・ グラタローラ ガスガス 119
世界選手権ランキング
1位 トニー・ボウ レプソル・Honda 108
2位 アダム・ラガ ガスガス 107
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 81
4位 藤波貴久 レプソル・Honda 78
5位 ジェロニ・ファハルド ベータ 72
6位 ジェイムス・ダビル ベータ 58
7位 ホルヘ・カサレス ガスガス 54
8位 ポル・タレス シェルコ 42