2014年 世界選手権Xトライアル第3戦バルセロナ(スペイン)

2014年2月9日/Barcelona Spain

残念、6位。回復は順調……

photoインドア大会でももっとも大きな大会、バルセロナ・インドア。2014年Xトライアル第3戦は、ここまでの2戦とちがって参加者は8名。二人ずつの対戦となるのはいつもの通りだが、いつもの5組に対して、今回は4組。セミ・ファイナルに進出するのは6名だから、クォリファイ参加の8名のうち、2名が最初に敗退することになる。

ここまでの藤波のXトライアルランキングは6位。対戦組み合わせはランキング上位4名と下位4名があたることになっていて、藤波は上位4名の誰かとあたることになる。くじ引きの結果、藤波の対戦相手はトニー・ボウになった。

ボウが相手では勝ち目はないが、しかし藤波は、このくじ結果をポジティブに考える。クォリファイでの戦いは、まず上位6名に残ることだ。1対1の対戦で勝利できればそれに越したことはないが、トップ4との戦いは誰とあたっても楽勝とは言えない。ボウとの対戦に勝ち目はないが、それは同時に、クォリファイを一番最後に走れるということでもある。ほかの6名がすべて走り終えているから、走り方についても、ライバルの点数についても、すべて把握した上でクォリファイを走ることができる。今回は、ボウに勝つことは目的ではなくなった。

最初の対戦は、ホルヘ・カサレスとジェロニ・ファハルドだった。ルーキーのカサレスは悪くない走りをしたものの、ファハルドにはかなわずで、その減点は5点が5つと2点が一つで27点だった。続く対戦はロリス・グビアンとアダム・ラガ。勝負はラガが勝ち、グビアンは5点が5つと1点が一つで26点だった。つまりセミファイナルに進出するには、このふたりに勝てばよいので、26点を上回ればよいことになる。3組目の対戦はジェイムス・ダビルとアルベルト・カベスタニーで、こちらは13点と12点と好勝負だった。ダビルは対戦には敗退しているが、13点のスコアでセミファイナル進出が決まっている。

セクションは、バルセロナらしい難セクションだが、今回はいつにも増してむずかしかった。上がるか落ちるかという傾向は、さらに拍車がかかっている。中では、第1セクションが少しテクニカルだった。岩をぽんぽんと飛び越えていくのだが、リヤだけで飛んでいかなければいけないという点では、スペイン風のトリッキーなセクションであることには変わりない。いずれにしても、クォリファイでの藤波は、26点までで走りきればよく、つまりセクションをふたつ出れば目的は果たせる。第2セクションは、でっかいゴミ箱(そのままトラックの荷台にセットして持っていける形状のもの)を使ったもので、これは高い。しかし3は可能性がある。藤波は、1と3と5を抜けて、セミファイナルに進出するという青写真を組み立てた。

photo岩をぽこぽこと越える第1セクションは、藤波の予定では1点か2点で抜けるはずだった。ところがこれが5点になった。やばいと思った。第2は、予定通りというか、あたって砕けて5点。ここでの失敗で、エキパイをつぶしてしまった。そしてこれが、第3セクションでのハプニングにつながった。

第3セクション、一番の難所を越えて、谷渡しをしようとしてフロントタイヤをお気に入ったところで、エンジンがミスファイを起こして、そのまま止まってしまった。万事休す。さらに、やばいと思った。ミスファイアの原因は、つぶれたエキパイにあった。原因がわかっているので不安にはならないですむが、第3セクションはカサレスもグビアンも2点と1点で抜けているから、この時点では藤波が最下位ということになる。やばい。

第4セクションは、ボウ以外は全員が5点だった。これは無理。そして第5セクション。ラガが5点になっているから、簡単ではない。斜めからヒューム管に飛びつく設定で、ここはアンダーガードを一瞬引っかけて通過した。アンダーガードは設置したが、ほとんど止まらず通過したから、藤波の解釈ではクリーンだったのではと思うのだが、判定は1点だった。しかたない。その後、最終第6セクションで落ちて、結局抜けたのは第5セクションのみ。トータルは26点と、グビアンと同点になった。

今年のルールでは、同点の場合は最後のセクションでのスコアを持って勝敗を決することになっている。第6セクションは藤波もグビアンも5点。その場合は第5セクションがまな板に上がる。ここは藤波が1点、グビアンが5点。よって、藤波が上位となり、ダビルとともにベスト敗者としてセミファイナルに進んだ。スコア順では、ダビルはボウ、カベスタニーに次ぐ3位で、ラガ、ファハルドが4位、5位となり、藤波は6位である。

そしてセミファイナル。6位でセミファイナル進出の藤波の対戦相手はクォリファイ1位のボウ。ここでも対戦相手がボウなのは不利ではあるが、一方で試合を最後から俯瞰できる利点はある。いずれにしても、スペイン人4人とダビルを相手に戦わなければいけないのだから、むずかしい戦いにはちがいない。

先行する戦いでは、ダビルが13点、ラガが10点でラガの勝ち、ファハルドが14点、カベスタニーが11点でカベスタニーの勝ち。この時点でファハルドはダビルにスコアで負けているので、ファハルドのセミファイナル敗退が決まっている。藤波がファイナルに進出するには、ボウに勝利するか、ダビルより好スコアをマークする必要がある。

最初のスピードレースでは、ボウと互角で走れた。結局負けてしまったものの、これは好感触だった。からだもよく動いてきている。

第1セクションは、クォリファイの第1セクションと同じ。今度は5点にならず、最後まで走りきった。と思ったのだが、判定は5点。3点の足つきとタイムオーバー減点があって5点だという。もしかすると、アンダーガードの接地をとられていたかもしれない。ちょっと藤波の思惑とはちがったが、最初のセクションで5点になってしまった。

photo第2セクションは、これもクォリファイと同じ。そして藤波は、クォリファイと同じくまたエキパイをつぶした。そして租のつぶれ方も、今度はクォリファイより重症だった。つぶれたエキパイは交換の必要があった。しかしつぶれ方がひどく、ボルトが簡単にゆるまない。そうこうしているうち、第3セクションには入れという指示が出てしまった。こういうときのため、予備車は持ってきている。セッティングはばっちり藤波仕様の完全なスペアマシンだが、それでもできることなら本番車で走りたい。でもなおらないのだから、しかたがない。

スペアマシンで走った第3セクションは、1点だった。アンダーガードを引っかけてすっと上がり、今度は1点は取られなかったものの、上がった拍子にリヤタイヤが滑って足をついてしまっての1点だった。ここはファハルドが5点になっているが、しかしファハルドは第2を2点で上がっている。最後の第4セクションは木のセクションで、ここはボウ以外は誰も抜けられなかった。そして藤波も5点。結局4つのセクションのうち、抜けられたのは一つだけで、スコアは16点だった。ダビルの13点には届かず、セミファイナル敗退。そしてファハルドの14点にもかなわなかったから、本日の順位は6位となった。

結局、今回はクォリファイ、セミファイナルを通じて、ふたつのセクションを走りきっただけに終わった。それでも、第1戦、第2戦と、試合の後に水を抜いていた膝は、今回はそういった処置はしないで乗り切る予定だ。抜く必要が完全にないわけではないが、そろそろ、自分自身の力で復活できるようにしていくのがいいと、藤波とトレーナーさんの意見が一致したからだ。

そのかわり、膝は別の処方を受けている。自分の血液を抜いて分離させるなどして、強力な部分(たぶん、白血球がコイ状態ではないかと、藤波は理解している)だけに濃縮して、それを再度膝に注入するというものだ。自分の血液で体を復調させるものだから、今後の回復には、こちらにも期待したいところである。

○藤波貴久のコメント

「ふたつしか出られていないというのはなさけないです。バルセロナらしいセクションでしたが、そんな中でも確実に出られる可能性のあるところはありましたから、やっぱり、そういうところをちゃんと出なければ、ファイナル進出はできませんね。膝に自分の血液を注入するの、めっちゃ痛いですよ!」

X-TRIAL 2014
Barcelona
Final(決勝)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・ホンダ 1
2位 アダム・ラガ ガスガス 9
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 15
4位 ジェイムス・ダビル ベータ 15
Semi Final(セミファイナル)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・ホンダ 1
2位 アダム・ラガ ガスガス 10
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 11
4位 ジェイムス・ダビル ベータ 13
5位 ジェロニ・ファハルド ベータ 14
6位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・ホンダ 16
Qualificarion Lap(予選)
トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・ホンダ 4
藤波貴久 レプソル・モンテッサ・ホンダ 26
アルベルト・カベスタニー シェルコ 12
ジェイムス・ダビル ベータ 13
アダム・ラガ ガスガス 15
× ロリス・グビアン オッサ 26
ジェロニ・ファハルド ベータ 17
× ホルヘ・カサレス ガスガス 27
PointStandings(ランキング)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・ホンダ 60
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 39
3位 アダム・ラガ ガスガス 36
4位 ジェロニ・ファハルド ベータ 24
5位 ジェイムス・ダビル ベータ 23
6位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・ホンダ 19
7位 ロリス・グビアン オッサ 10
8位 ホルヘ・カサレス ガスガス 10
9位 スティーブン・コクラン ガスガス 3
10位 マイケル・ブラウン ガスガス 2
11位 アレッシャンドレ・フェレール シェルコ 1
12位 ジャック・チャロナー オッサ 1