2008 FIM SPEA 世界選手権トライアル第9戦チェコGP

2008年7月6日/観客:3,000人(日)

3位を“勝ち取る”……

photoチェコでの世界選手権は、ここ数年同じ会場で開催されている。クラモリンというモトクロスのサーキットだ。セクションは、多少難易度を変更されてはいるものの(たいていはむずかしくなっていた)多くは去年使われたものと同じで、ライダーには勝手知ったるものとなっていた。とはいえ、それとトライアルのむずかしさは、またまったく別のものなのだ。

天候は素晴らしかった。よく晴れて、けれども暑すぎではなかった。しかし天候の善し悪しと、トライアルがうまくいくかどうかも、また同じではない。

このところ、3位表彰台が続いている藤波貴久。しかしその内容は、ぎりぎりまでトップ争いをしていたりするもので、結果はともかく、内容的には悪いものではなかった。そして今回もまた、3位表彰台。しかし今回は、トップ争いの結果の3位ではなく、3位争いに打ち勝って得た3位だった。

まったく乗れていなかった、と藤波は言う。試合中に軌道修正をしようにも、すべて失敗。気持ちのいいクリーンがでて、これで調子を取り戻せるかなと思いきや、次のセクションでまた失敗。そんなことをしているうち、トップ争いはどんどん離れてしまって、手が届かなくなってしまった。

今回のセクションでは、6セクションから7セクションまでが、ちょっとむずかしめだった。これ以外のセクションは、もちろんむずかしいのだが、クリーンがでる設定だった。波に乗れない藤波は、この3つの難セクション以外で、失点を重ねていく。序盤の第3セクションで5点をとってしまったから、表彰台ところか、一時は5位あたりにつけてしまう苦戦ぶりである。こんな不調は、この1〜2年、出会ったことがない。結果表からは、もっと悪いこともあったのだが、それでも内容的に、こんなに低迷したことはなかったのだ。

1ラップ後半、少し調子が上向いたかに思えた。1ラップを終えたところでは、順位は少し回復して4位。カベスタニーに、5点差だった。しかし2ラップ目に入ると、やはり同じだった。カベスタニーにも、ポイントを離されていく。

2ラップ目後半、ボウとラガのトップ争いのことは考えない。3位を走るカベスタニーは、藤波のすぐ前を走っていた。藤波はこれをきっちりマークして、とにかく3位を逃さず勝ち取ることをめざした。ライバルの点数はすべて把握しているから、戦い方としては容易だ。もちろん、ライバルの動向がわかっているというだけでは、勝てるものではない。

photo12セクション、カベスタニーが1点をついた。藤波はクリーン。これで、藤波に対するカベスタニーのリードは3点。13セクションは二人ともクリーン。点差は変わらず。14セクション、カベスタニーが5点を取った。これはチャンスだ。しかし逆に、ここで失敗したら、表彰台はほとんど絶望的になる。表彰台をかけたぎりぎりのトライ。藤波は、しっかりクリーンした。これで藤波が2点のリード。さらに最終セクション、カベスタニーが1点。藤波はクリーン。結局、藤波は3点差でカベスタニーを下して3位表彰台を得た。

今回は、ボウが調子を崩してラガに8点差をつけられて負けている。藤波は、そのボウに11点差の3位。いつもの藤波なら、調子を崩したボウには勝利して2位につけているところだが、今回はまったくそんな状況ではなかった。

残りは3戦。タイトルうんぬんより、今は3位の定位置から脱出したい。

○藤波貴久のコメント

「最悪です。結果はまた3位ですが、今回は3位でよかった、という戦い方でした。よかったといっても、3位を目標にして戦っているわけではないですから、うれしくもありません。こんなふうに勝負ができていない、トップ争いができない戦い方では、どうしようもない。こんな最悪のトライアルはほんとうに久しぶりですが、しかしこれもまた、ぼくの課題中の課題でもあります。もう残り3戦。今はランキングがどうこうというより、まず勝ち星がほしいです」

FIM SPEA Trial WorldChampionship
日曜日/Sunday
1位 アダム・ラガ ガスガス 13+7+0 20 24
2位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 10+18+0 28 19
3位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 18+21+0 39 18
4位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 13+29+1 42 18
5位 ジェロニ・ファハルド ベータ 22+27+0 49 16
6位 マルク・フレイシャ ガスガス 24+26+0 50 12
7位 ドギー・ランプキン ベータ 29+37+0 66 9
8位 マイケル・ブラウン ベータ 51+35+0 86 7
世界選手権ランキング
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 168
2位 アダム・ラガ ガスガス 156
3位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 142
4位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 102
5位 ジェロニ・ファハルド ベータ 99
6位 ドギー・ランプキン ベータ 97