2008年 インドア世界選手権第5戦ミラノ(イタリア)

2008年3月8日 Milan Italy /観客:---人

連続表彰台、しかし

前回グラナダ大会から約1ヶ月が経過した。本来なら、1週間前にポルトガルのリスボンで第4戦が開催されているはずだったのだが、なんと開催直前にキャンセルになった。インドアトライアルの日程は、よくこういうことかあるのだが、これでただでさえ少ない今年のインドアトライアルのシリーズは、全部で5戦になってしまった。

第4戦というべきか、第4戦がキャンセルとなって第5戦なのか(ヨーロッパの人は、第4戦と呼ぶようだ)、今回の戦いはイタリアのミラノが舞台だ。ミラノでのインドア大会も、伝統あるイベントだ。

今回、藤波のスタートは全参加者の一番最後。すべてのライダーの動向を見てからトライができるという優位なスタート順だった。しかし問題は、スタート順どころではない。今回の藤波は、体調絶不調だった。

プロスポーツ選手として、体調の管理は重要な仕事だ。日ごろから気をつかっていたにもかかわらず、藤波を襲ったのは、今年は特に強力だというスペイン製のインフルエンザだった。愛娘の夢奈ちゃんから始まって、藤波家は全員感染。ミラノ大会の前の週の日曜日に発症し、そのまま1週間寝込むことになった。38度、39度の高熱にうなされながら、ようやく熱が下がりはじめたのが、ミラノに向かって出発する日のことだった。

とにかくミラノには出かけたものの、こんなことで試合になるのか、それ以前に、参加できるのかというほうが不安だった。ずっと寝ていたのだから、練習などはなにもしていない。ちょっとふらふらしながら、ミラノでのインドア大会が始まった。

いつものように、ファハルドとダビルのゲストライダーを先頭に、ノミネートライダーの中でもっとも早いスタートだったのがカベスタニーだ。見ていると、ファハルドもカベスタニーも、どちらも8点ほどで1ラップめを終えている。減点を9点や10点にしてしまうと、ファイナル進出どころか、5位に転落するリスクもある。これはちょっとしたプレッシャーだった。

しかし走り始めれば、そんなプレッシャーとは別次元の問題が藤波を待っていた。バランスがぜんぜんとれない。セクションを3つも走ると、息がはぁはぁしてきて、脈拍もMAXになってしまう。バランスがとれないから、ぽろりぽろりと足が出る。藤波の減点は、すべてバランスを崩して足をついてしまっての減点だ。

走りの内容的にはお世辞にも合格ではないが、ライバルの走りをみてからスタートできたのと、5点をひとつもとらなかったのが幸いして、ボウ、ラガとともにファイナルに進出することができた。カベスタニーとは5点差があったから、ダブルレーンではカベスタニーに勝利を譲って、それでもカベスタニーに4点差でのファイナル進出となった。

藤波が1ラップ目を走ったのは、全ライダーの最後だったから、藤波が走り終えたら、スタジアムはすっかりファイナルの準備が整っている。藤波が息を調えているひまもない。その間に、少し嘔吐などしてしまった藤波は、体調が落ち着くまで、ちょっとだけゲームの進行を待ってもらうことになった。

2ラップ目は、今度は5点かクリーンかの攻防戦で、第1セクションからいきなり3段4段に叩き落とされた。ファイナルではこういう5点がふたつあって、これでボウとラガとの差が決定的になってしまった。しかし今回は、とにかくもライバルとの戦い以前に、自分の体との戦いとなった藤波だった。

今回カベスタニーがファイナルに進出できなかったが、前回藤波がファイナルに進出したときにはラガがファイナルを走っていない。ふたりが交互にポイントを失っていることで、藤波との点差はそれほど縮まっていない。残り1戦。例年になくあっというまのインドア世界選手権は、1週間後にマドリッドで幕を下ろそうとしている。

○藤波貴久のコメント

「最悪の1週間でした。なんとか熱は下がって、少し咳が出る程度のところまできてのインドアでしたが、マシンを操っているという段階の話ではなくて、たいへんな試合となってしまいました。これまでも体調管理には気をつかっていたつもりですが、より万全を期さないといけませんね。アウトドアでこんなことにならなったら最悪ですから、まだ不幸中の幸いだったかもしれません」

Indoor Trial WorldChampionship 2008
Milan Italy
Final Lap(決勝)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 9
2位 アダム・ラガ ガスガス 19
3位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 33
Qualificarion Lap(予選)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 0
2位 アダム・ラガ ガスガス 2
3位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 4
4位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 8
5位 ジェロニ・ファハルド ベータ 8
6位 ドギー・ランプキン ベータ 20
7位 ジェイムス・ダビル モンテッサ 19
PointStandings(ランキング)
1位 トニー・ボウ 38
2位 アダム・ラガ 29
3位 アルベルト・カベスタニー 27
4位 藤波貴久 22
5位 ジェロニ・ファハルド 16
6位 ドギー・ランプキン 11
7位 ジェイムス・ダビル 9
8位 ジェローム・ベシュン 1