2008年 インドア世界選手権第2戦バルセロナ(スペイン)

2008年2月3日/Palau Sant Jordi /観客:9800人

打開したい4位指定席

photo伝統のビッグスタジアムイベント。バルセロナでの一戦は、インドア世界選手権第2戦として開催された。トライアルのメッカ、バルセロナでのスタジアムトライアルだけあって、観客の集まりもスポンサーの注目度も世界唯一。藤波は、過去ここで2度の表彰台を得ている。今度もまた、注目度抜群のこの大会で一発かましたいところだった。

スタート順は、ワイルドカードのジェロニ・ファハルドとジェイムス・ダビルのあと(このふたりは抽選)、昨年のインドア世界ランキングにのっとった順番のローテーションとなっている。開幕戦はチャンピオン、トニー・ボウを最後に、ランキング5位のドギー・ランプキンがワイルドカードライダーの次にトライした。今回はボウがダビルに次いで3番目を走り、4番目がランプキン、5番目が藤波貴久。6番目アルベルト・カベスタニー、最後を走るのが、昨年ランキング2位のアダム・ラガとなっている。

バルセロナといえば、トライアルのメッカであると同時にスペイントライアルの総本山でもある。ここで使われているセクションは、スペインのインドア国内選手権でもよく使われる。多少の手直しはされるが、基本的にいつものパターン。行けるか行けないか。関門となっている高いステアを登れればOK。落ちれば5点という、見る側にはわかりやすい設定だ。

第1セクション、早くも入り口に大きなステアが現れた。藤波の前を走ったライダーの中では、唯一ボウだけがここを登っていったが、ほかは全員5点となっている。そして藤波もまた、ここを攻略できなかった。5点。

第2セクションは、比較的簡単な設定で、唯一ボウだけが1点ついている。それ以外は全員クリーンだ。ボウだけが1点というのも不思議だが、こういうこともある。

photoそして第3セクション。ここはちょっとテクニカルで、難度は高い。下りの飛び降りが鬼門で、しかもそこはホイールベースぎりぎり。入り口で5点となったランプキン以外は、みなこの飛び降りで5点となっている。それを見ていた藤波は、あえて1点をついてここを抜け出す作戦に出た。一気に飛び降りず、片足をついたまま、フロントをゆっくりゆっくり宙に出し、リヤタイヤをぎりぎりまで角に寄せて、最後の最後で、そっとマシンを下に降ろした。作戦は、うまくいったかに思えた。マシンも無事に着地した。しかし片足を残して飛び降りたため、その後のバランスがわずかに崩れた。そして結果、ほかのライダーと同じように、そこから落下してしまって5点となった。

3つのセクションを終えて、すでに10点。ボウは第1も第3もクリーンした。形勢はよくない。ファハルドやランプキンといった、トップ3以外のライダーについては、藤波は負ける心配はしていない。しかしあまり油断をしていると、ファハルドに逆転されてしまう可能性もある。残りのセクションを、藤波は慎重に走り、トータル16点。8つのセクションを6点で終えたカベスタニーとのスピードレースで藤波が勝利(ここで藤波がカベスタニーを逆転することは、ほぼ不可能だった)。

結局また、トップ3の牙城は崩せなかった。1ラップ目のボウは減点1で若干の差を開くが、ラガとカベスタニーは7点で並び、藤波との差は9点。藤波がやや離れているという印象だ。

しかし藤波は言う。そこまで実力が離れているとは思わない。今回のセクションのように、失敗したら即5点という状況では、実力差以上に点数差がでてしまうのではないかと。もちろん、その点数の差を出してしまったのも、藤波の現在の力ゆえ。

確かな感触と伴わない成績。インドアトライアルでは、スペイン選手たちの強さが際立っている。環境のちがいをくつがえすことができるのか。インドア世界選手権、2008年シーズンは、残り4戦だ。

○藤波貴久のコメント

「感触はあるんですが、惜しい5点も惜しくない5点も、結果としての5点は同じですから、結果を見せないといけません。手ごわいとはいえ、いつも表彰台を同じ顔ぶれにしておくわけにはいきませんからね」

Indoor Trial WorldChampionship 2008
Palau Sant Jordi Barcelona
Final Lap(決勝)
1位 アダム・ラガ ガスガス 15
2位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 18
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 32
Qualificarion Lap(予選)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 1
2位 アダム・ラガ ガスガス 7
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 7
4位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 16
5位 ジェロニ・ファハルド ベータ 18
6位 ドギー・ランプキン ベータ 25
7位 ジェイムス・ダビル モンテッサ 22
PointStandings(ランキング)
1位 トニー・ボウ 18
2位 アダム・ラガ 16
3位 アルベルト・カベスタニー 14
4位 藤波貴久 10
5位 ジェロニ・ファハルド 4
6位 ジェイムス・ダビル 5
7位 ドギー・ランプキン 5
8位 ジェローム・ベシュン 1