2007年 世界選手権第8戦ポーランドGP

2007年7月8日/観客:3,000人(日)

2点のタイムオーバーで、2位を逃す

photo舞台を東ヨーロッパに移してポーランド大会はミスレニスという町で開催された。昨年と同じ会場で、セクションも昨年と似たものが多い。第1セクションから川沿いに並んでいて、川を横切り斜面をあがっていく設定。湿ったシチュエーションに、岩盤混じりで、どちらかというと藤波の得意パターンだ。

昨年、連勝のひとつを飾った会場でもあり、セクションに大きな差がないことからも、藤波はいける感触を持って大会にのぞんでいた。しかし結果は、優勝争いをしながらの、4位に終わった。ちょっとした失敗が、すぐに5点となってしまったりもして、さらに大きなミスもあった。2位にはなれていたはずの大会だけに、非常に残念な一戦となってしまった。

1ラップ目、トップ5はほぼ同点で並んで戦っていた。ボウがわずかにリードしていたが、それも大差ではない。ボウが12点。2点差でランプキンが14点、1点の15点で藤波とカベスタニー、さらに2点差の17点でラガ。この点差なら、勝利の行方はさっぱりわからない。ボウも、今回は少しナーバスな面を見せている。2ラップメガ勝負だ。

2ラップ目、しかしボウは抜群のコンセントレーションでクリーンを連発して、他を圧倒した。藤波は、試合中に「ラガと同点で戦っている」という情報を受け、2位をキープする作戦をとった。2ラップ目も、わずかに後輪を滑らせて5点をとるなどの失敗はあったが、まずまず順調な走りっぷり。

しかしここで、ありえないミスがあった。持ち時間の管理だ。5時間半の持ち時間はいつもと変わらない。だから、いつも通り戦っていれば、ミスなど起きるはずがないのだが、たまたまこの前のイタリア大会が、イレギュラーな設定をとっていた。イタリアでは山の中の13セクションから街の中の14セクションまでの間がとても長く、安全上の危惧から持ち時間が13セクションまでとなっていた。13セクション以降は、一律に20分以内で走りきりなさいという設定だった。この大会の影響があったのかなかったのか、藤波を支えるチームの動きに異変があった。

2ラップ目、藤波が残り時間を聞くと「あとまだ1時間ある」と返事が返ってくる。それで、ひとつひとつのセクションを確実に、ゆっくりトライしていた。ところが13セクションまでやってきたとき、チームのひとりが「あと5分しかない」と言い出した。ところが他のスタッフは「あと25分ある」と言う。どうも様子がおかしい。どちらが正しいかを議論している時間はないから、藤波はそこからペースを上げて、ゴールした。

持ち時間はたっぷりだった。時間のかかるセクションもコースもなかった。オンタイムで走るのに、むずかしいことなどなにもなかった。しかし13セクションから残り時間5分では、やはりオンタイムは無理だった。藤波の試合時間は5時間32分21秒。2点のタイムオーバーが藤波に課せられた。

この結果、藤波のトータル減点は31点。ボウの18点は届かないにしても、2位のラガ29点や3位のカベスタニー30点とは僅差での4位となった。「たら・れば」はないと言う藤波だが、それにしてもタイムオーバーがなかったら、とくやしい結果となったポーランド大会だった。

○藤波貴久のコメント

「2位にはなれていたと思うのですが、結果4位。残念です。ポーランドからは一度スペインに帰って、またチェコに向こうスケジュールとなるんですが、帰りの飛行機でボウと話をしました。ボウは去年のポーランドで7位だったので、去年と同じような結果にならないように、とてもプレッシャーがあったそうです。彼にとっては、今年一番の勝負だったみたい。このあとは、確実に表彰台をキープしてチャンピオンに、と計画していました。そんなにひとりで勝ち続けてないで、ちょっとは先輩に譲れと冗談を言ったら、だったら2位には入っていろと言われてしまいました。次は譲ってもらわなくても、勝ってやります」

Trial WorldChampionship 2007
日曜日/Sunday
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 12+5+1 18 23
2位 アダム・ラガ ガスガス 17+11+1 29 18
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 15+15+0 30 19
4位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 15+14+2 31 19
5位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 14+22+0 36 18
6位 マルク・フレイシャ スコルパ 28+23+0 51 15
7位 ジェームス・ダビル モンテッサ 28+24+0 52 12
8位 ジェロニ・ファハルド ベータ 36+17+0 53 15
世界選手権ランキング
1位 トニー・ボウ モンテッサ 157
2位 アダム・ラガ ガスガス 137
3位 藤波 貴久 モンテッサ 116
4位 ドギー・ランプキン モンテッサ 99
5位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 94
6位 ジェロニ・ファハルド ベータ 73