2007年 インドア世界選手権第2戦サンクトペテルブルグ(ロシア)

2006年1月20日/St. Petersburg Ice Palace

ワンミスで表彰台を逃す

photo開幕戦で本人も予想外の低迷をしてしまった藤波貴久は、ロシアの古都サンクト・ペテルブルグで雪辱を誓っていた。そのとおり、藤波のトライは確実で適確だったが、ただ1ヶ所、ミスが出た。そのミスで、藤波は表彰台をとりのがし、4位となった。前回に比べてたったひとつの順位アップだが、その進化は小さくない。

セクションは、全体的に簡単だったといっていい。ロシアのセクションは、ロシアの素材が使われる。スペインでは、すべてのインドアセクションは同じ素材が使われている。組み合わせが異なっても、これを走り慣れていれば圧倒的に有利となる。その点、ロシアでは少し公平さがよみがえる。けれどセクションが簡単になると、ひとつのミスが致命的とともなる。

藤波は第3、第4と1点で通過した。第3を減点したのは藤波だけだったが、第4はドギー・ランプキンやトニー・ボウも5点となった。1点で抜けたのはアダム・ラガとアルベルト・カベスタニーだけだ。このむずかしいセクションを1点で上がったことで、藤波も内心自信を持った。今回は、前回とはちがうのだと。

photoしかしその後第6セクション。ボウはここをクリーンした。ボウにすれば、第4で5点となっているから、ここで一発奮起しないと、ファイナル進出に赤信号がともることになる。対して、ここまで1点できているラガとカベスタニーは、ふたりとも1点で抜けている。インに高いステアがあり、そのインがすごく滑るいやらしいセクションだった。

藤波は、ここを1点で抜けようと考えた。悪くても3点。入り口さえ上ってしまえば、あとはまず減点するようなところはないから、1点でおさえるのはむずかしくないはずだったのだ。

ところが入り口の方向を、わずかにまちがえた。登り口の加速ポイントで滑って、なんとかそのまま登っていったが、予定とちがう登り方をしてしまって、足をつく位置も悪かった。ついた足ではマシンを支えることができず、そのまま落下。最悪3点で抜ける予定が、一気に5点、トータルでも7点となって、ランプキンにも遅れをとってしまった。

photoラガとカベスタニーは2点で同点トップ。この後ハイジャンプとダブルレーンを戦うも、二人とも無難にこなして、ラガがトップでファイナル進出、カベスタニーが次点で進出ということになった。

問題は5点のボウと7点の藤波だ。ボウはハイジャンプをクリーン、藤波はバーを1本落とした。藤波が落としたのではなく、藤波の着地の衝撃でバーが落ちたからクリーンだという声も主催陣営の中にあったのだが、結果は変わらず。藤波本人も、さわったかどうか確証がなかった。ハイジャンプが終わって、両者の点差は3点となった。残るはダブルレーンのみ。ボウがダブルレーンで転倒でもすれば逆転は可能だが、そんなことはありえない。ボウにすればダブルレーンの勝利をあきらめて、足をつかないように確実に走ればファイナル進出だ。

そしてボウの予定通り、インドアの常識通りに、ボウはダブルレーンを負けて、減点を1点追加、藤波はダブルレーンに勝ったが、トータル減点は8点、6点のボウに敗れて、ファイナル進出はならなかった。

ファイナルでは、またもボウが勝利した。今回はラガがマシンを壊した。第3セクションでエキゾーストパイプにダメージを受けてしまい、なんとダブルレーンではエキゾーストパイプなしで走るという異常事態。走るだけが精いっぱいで、今回のラガは元世界チャンピオンの面影はなかったが、前回のカベスタニーに続いて、規則変更の影響が二人の世界チャンピオンに振りかかっているのは不幸な偶然だ。

○藤波貴久のコメント

「1点狙いで確実にいこう、最悪でも3点と思っていたのに、そこで1点でも3点でもなく5点になってしまった。それが今日のすべてです。安全策をとっていてそれができなかったわけですから、終わったときにはすごくくやしかった。たら・ればはないですけど、あの5点がちがう結果だったらと思ってしまいました。くやしいロシア大会になりました」

Indoor Trial WorldChampionship 2007
St. Petersburg
Final Lap(決勝)
1位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 6
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 17
3位 アダム・ラガ ガスガス 19
Qualificarion Lap(予選)
1位 アダム・ラガ ガスガス 2
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 3
3位 トニー・ボウ レプソル・モンテッサ・HRC 6
4位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 8
5位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 12
6位 ジェロニ・ファハルド ベータ 13
7位 タデウス・ブラズシアク ベータ 19
PointStandings(ランキング)
1位 トニー・ボウ 20
2位 アダム・ラガ 14
3位 アルベルト・カベスタニー 11
4位 ジェロニ・ファハルド 9
5位 藤波貴久 9
6位 ランプキン・ランプキン 9
7位 タデウス・ブラズシアク 4