2006年 世界選手権第3戦-第4戦アメリカGP

2006年5月20-21日/Sequatchie /観客数:3000人

どうした!? フジガス

シーズン前の悪夢の骨折から約1ヶ月、開幕2連戦を6位と優勝で乗りきった藤波は、アメリカ大会にやってきた。アメリカは藤波にとって、なかなかゲンのよい大会だ。調子は悪くなかったから、開幕戦の骨折しながらの6位でとりそこねているポイントを、ここで一気に挽回したいところ。

アメリカ大会は、今までのダルースから変わって、テネシーのセクアチェが会場となった。第1から第8までは川のセクション。第9以降は斜面や岩場のセクション。両日とも、前の晩に雨が降った。当日はよく晴れて蒸し蒸しとした気候となったが、地面は午後になるに従って乾いてくるという条件だ。これまでのアメリカ大会同様、藤波好みの設定といえる。

1ラップ目はウェットコンディション。それが2ラップ目になると、強烈な太陽に照らされて、どんどん乾いていく。コンディションの変化も、勝負に影響を与えそうだ。

土曜日、しかし藤波は6位に終わってしまった。1ラップ目は4位。トップのラガとは9点差で、3位のランプキンとは4点差だったから、まだ挽回が可能な範囲だった。ところが2ラップ目に入ったところで、藤波は第1から第3まで、続けて5点になってしまった。これで、土曜日の勝負には決着がついた。川をでてからの後半のセクションは、コンディションがよくなってクリーンがでやすいものになっていたから、もはや藤波に挽回の目はなかった。

その晩、雨は前日に増して激しく降った。セクションは、全体的に簡単に手直しを受けたが、それでも雨に濡れたセクション群は、全体的に難易度を増していたようだ。しかしそれに加えて藤波にとって厳しかったのは、2日目のスタート順が、1日目の成績によって決められるということだ。今シーズン、スタート順はインドア世界選手権と同様、ローテーションによって定められる。トップグルーの選手なら、くじ運のいい選手も悪い選手も、必ず一番最後のスタートがあれば、六番目のスタートもある。ところが2日制の場合の2日目は、成績順にスタート順が決まる。前の日の成績を引きずってしまうわけだ。

六番目のスタートということは、一番最後にスタートするラガとのタイム差は12分になる。これくらい離れていると、いっしょに試合を回るのはほとんど困難だ。それでなくても、土曜日に藤波は3分のタイムオーバーを喫している。藤波がいっしょに試合を回る相手は、ラガやランプキンではなく、フレイシャやダビルとなった。

セクションには、トップライダーのわだちはまったく残っていない。常に、藤波が先陣を切ってトップライダーの走りを見せる立場となった。藤波より前を走るライダーは、セクションの最後まで走りきっていない場合が多い。藤波の前には、まったく未開拓のセクションが広がることになった。

試合中、戦況を知ることはなかったが、この日の藤波は、調子がよくないという実感だけはあった。あとで見たら、試合途中に3位に浮上したこともあったと知って、その事実に驚いたくらいだ。ラガやランプキンの走りは、一度も見ていない。隣の隣のセクションで、ラガやランプキンの走りによってだと思われる歓声が聞こえてくる。それで、彼らの存在を確認するという程度だった。

特にトップバッターの弱みは、川を抜けたセクション群で如実に現れた。前日はイージーで挽回できなかった後半のセクション群が、今度は藤波を苦しめることになった。あとでランプキンと話をすれば、藤波が考えていたラインとまったく別のラインがあったことなども明らかになった。トップを争うということは、トップライダーといっしょに戦わないと、そもそも同じ土俵に上がれないことも、ある。

2ラップ目、前半の川のセクションではいい走りを見せたが、やはり川を抜けた後半のセクション群で失敗。追い上げできないばかりか、順位を落として試合を終えた。

藤波、5位と6位。チャンピオンシップの上で痛いのは、ラガが2連勝したことだ。開幕2連戦でも、ラガ以外のライバルは調子がよかったり悪かったり浮き沈みが激しいが、ラガだけは安定したポジションを維持し続けてる。一気にランキングトップにでるはずのアメリカで、終わってみればランキングトップとは23点の大差をつけられた。状況は厳しいが、しかしシーズンはようやく中盤戦にかかっているにすぎない。次は、いよいよ日本GPだ。

○藤波貴久のコメント

「いったい、どうしちゃったんでしょうという状況でした。これからじっくり敗因を考えて、悪いシチュエーションを変えていって、日本で本来の走りをしっかりおこなって、挽回していきたいと思います。土曜日の2ラップ目、序盤で5点を連発してしまったのは、今から思えば集中力不足だったかもしれません。日曜日は、2位のドギーと8点差ですから、あと少しでもうちょっと上位にいけたのかもしれませんが、でもこれがいっぱいいっぱいでした。とにかく、日本に帰って、よいイメージを取りもどします」

フジガスに応援メッセージを!

World Championship 2006
 第3戦/土曜日/Saturday
順位 ライダー マシン L1+L2+TO Pts CL
1位 アダム・ラガ ガスガス 12+6+0 18 24
2位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 17+7+0 24 18
3位 トニー・ボウ ベータ 13+15+3 31 17
4位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 22+19+0 41 14
5位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 33+13+1 47 17
6位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 21+25+3 49 15
7位 マルク・フレイシャ ベータ 32+20+0 52 13
8位 ジェームス・ダビル ベータ 45+38+0 83 6
L1=1ラップ、 L2=2ラップ、 TO=タイムオーバー、Pts=減点、CL=クリーン
 第4戦/日曜日/Sunday
順位 ライダー マシン L1+L2+TO Pts CL
1位 アダム・ラガ ガスガス 15+9+0 24 22
2位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 19+22+0 41 15
3位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 20+26+0 46 12
4位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 28+20+0 48 12
5位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 29+20+0 49 12
6位 トニー・ボウ ベータ 36+21+1 58 13
7位 マルク・フレイシャ ベータ 36+41+0 77 9
8位 ジェームス・ダビル ベータ 47+32+0 79 8
L1=1ラップ、 L2=2ラップ、 TO=タイムオーバー、Pts=減点、CL=クリーン
ランキング
1位 アダム・ラガ ガスガス 74
2位 ドギー・ランプキン モンテッサ 64
3位 トニー・ボウ ベータ 58
4位 藤波 貴久 モンテッサ 51
5位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 50
6位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 47

Pix: Mario Candellone 公式リザルト(土曜日)(PDF)はこちら
公式リザルト(日曜日)(PDF)はこちら
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