2006年 インドア世界選手権第12戦スペイン、マドリッドGP

2006年3月18日/Palacio de los Deportes/観客数:10000人

左人さし指に赤信号

photoアルゼンチン大会で負傷を負った藤波だったが、負傷は大きなものではないと自覚していたし、2006年モデルのワークスマシンのテストも最後の仕上げを迎えていた。アクシデントのあと、痛みは残るも、症状は確実によくなっていたし、この時点ではマドリッド大会に出場するのも、本調子とはいかないまでも、多少の痛みをがまんすれば、充分可能だと思われていた。

ところが、おそらくテスト中のことだった。藤波の左手人さし指は、さらにダメージを負ってしまった。アクシデント直後から、お医者さんの診断は“手術などの対処のしようがない剥離骨折”だったのだが、何度目かの診察で、骨折であることがわかった。もともとアルゼンチンでやったものというより、ダメージを負っていた指の骨が、テスト中に折れてしまったのではないかという診断だ。

藤波は、自覚症状としてのケガはほとんどない。しかし小さなケガをしてレントゲンを撮ってみると、小さな骨折のあとのような影がいろんなところに発見される。ケガをしながら、それに気がつかずになおってしまっている状態だ。今回の剥離骨折も、もしかしたら昔の傷かもしれず、その影に隠れて、ダメージが見えなかったのかもしれない。

今はっきりしているのは、アルゼンチンのあと、急速に回復に向かっていたと思われる藤波の負傷は、突然悪化したということだ。指が腫れて、夜も眠れないほどになった。当初、マドリッド大会には参加の意向でいたが、ここへきて出場はまったく不可能になった。

とはいえ、すでにマドリッドに向けてチケットの手配も終えてある。藤波は、まずはマドリッドに向かった。現地へ着いて、出場できない旨を主催者に伝えると、セクションを走らなくても、スタートすれば8位となって、ランキングポイントを1点得られると聞かされる。実はランキング5位の藤波とランキング6位のランプキンは4点差。ランキングが同点なら、3位入賞回数が1回多い藤波のほうが上位にくる。ランプキンがマドリッド大会で何位に入るかはわからないが、5位なら、獲得ポイントは4点だ。藤波は、それでスタートはすることにした(ところが、結果を見る限り、藤波はリタイヤ扱いになっていて、1点もらえるという主催者の解説とはつじつまが合わない)。

photo左手人さし指はまったく使えないから、左手を使わずにスタートして、観客席に手を振ってアリーナを1周し、藤波の2006年インドア最終戦は終幕した。ランプキンは5位となって、ランキングポイントは49点で藤波と同点。予定通り、3位の入賞回数で、藤波がランキング5位、ランプキンがランキング6位だ。

しかし問題はインドアの結果ではない。2週間後に迫ったアウトドアシリーズの開幕戦に向けて、準備万端とはいえなくなった。そればかりか、もしかすると開幕戦は手を休めて、第2戦に向けてよりよいコンディションを作ったほうがいいのではないかという選択肢も出てきた。負傷自体はけっして大きなものではないが、開幕戦を目前に控え、しかもライディングにもっとも重要な要素となる左手人さし指の負傷だけに、悩み多き藤波貴久の春となった。藤波、ピンチである。

*左手人さし指は、クラッチを操作する指。藤波らトップライダーはここぞというクラッチ操作では人さし指以外の指は使用しない。つまり、人さし指が使えなければ、彼らはトライアルができないということを意味する。

○藤波貴久のコメント

「今回はやばいです。アルゼンチンのあと、順調に回復していたので、ちょっと痛いのをがまんすれば乗れると思っていたし、テストもなんとかこなしていました。でも、結果的はそのへんでしっぺ返しをもらったという感じです。スペインで撮影したレントゲンを日本のお医者さんや鎌田先生にも見てもらって、これからどうしたらいいのかを考えます。とりあえず炎症を起こしてしまって、それが当面問題なんですが、それがおさまっても、スペインやポルトガル大会の時期までに骨が完全にくっつくことはないので、いずれにしても苦しいシーズンとなります。なんとか、がんばってなおすしかありません」

フジガスに応援メッセージを!

Indoor Trial WorldChampionship 2006
Madrid
Final Lap(決勝)
1位 アダム・ラガ ガスガス 14
2位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 18
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 20
Qualificarion Lap(予選)
1位 アダム・ラガ ガスガス 3
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 3
3位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 8
4位 トニー・ボウ ベータ 9
5位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 11
6位 ジェームス・ダビル ベータ 31
7位 シャウン・モリス ガスガス 36
-- 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC --
PointStandings(ランキング)
1位 アダム・ラガ 105
2位 アルベルト・カベスタニー 85
3位 トニー・ボウ 73
4位 ジェロニ・ファハルド 67
5位 藤波貴久 49
6位 ドギー・ランプキン 49
7位 ジェームス・ダビル 8
8位 タデウス・ブラズシアク 8
9位 シャウン・モリス 8
10位 ダニエル・マウリノ 4
11位 ジェローム・ベシュン 2

pix: Joan Carles Vazquez Chilli 公式リザルト(PDF)はこちら
※PDFファイルをご利用になるためには、Adobe Reader (無料)が必要です。
右のバナーをクリックして下さい。
Acrobat Readerのダウンロード
リザルトトップへ■ページのトップへ ▲