2006年 インドア世界選手権第10戦サンパウロ、ブラジルGP
2006年3月4日/Ginasio da Portuguesa /観客数:5000人
クォリファイトップ、ファイナルは2位!
ようやく、藤波が2位表彰台に登った。今シーズン3回目の表彰台、そしてはじめての2位獲得である。
今回の藤波は、出場7人の中で、もっとも最後からスタートした。ワイルドカードはタデウス・ブラズシアク(とトニー・ボウ)。その二人に続いてドギー・ランプキン、アダム・ラガ、アルベルト・カベスタニー、ジェロニ・ファハルド、藤波と続いた。
すべてのライダーの走りを参考にできたのをはじめ、今回は一番最初にスタートしたランプキンが、藤波にセクション状況をきめ細かくアドバイスしてくれた。これが藤波には、とても心強いものとなった。
ランプキン自身は、第1セクションで大クラッシュをして、フロントのスタビライザーを損傷するほどのダメージ(ライダーは無事だった)を受けてしまった。このダメージの修復中、スペアマシンに乗ったドギーは、第2、第3と続けて5点となり、これが致命的な失点となってしまった。第4セクションからは自分のマシンの修復ができて戦列に復帰したが、それでもワイルドカードのブラズシアクに敗れて7位ということになった。
ランプキンがクラッシュした第1セクションは、見た目以上に滑りやすいものだった。この貴重な情報を、ランプキンが藤波に伝えてくれた。おかげで、藤波はマシンを滑らすことなく、ここをクリーンして幸先のよいスタートを切った。
ブラジルでのインドア世界選手権ははじめてだったが、気温30度、さらにスタジアムにはエアコンの装備はなく、むっとする空気がライダーを苦しめた。トライ中に新鮮な空気を吸い込もうにも、入ってくるのは湿気ばかりで、酸素が肺まで届かない。
モンテッサチームでは、いつもはガソリンを自前で用意している。ガソリンの成分は規則で定められているが、安心して使えるガソリン、テストを充分にほどこしたガソリンを使うのは、勝負の第一歩というわけだ。
ところがガソリンは空輸できない。だからガソリンは現地で調達することになった。ところがこれがものすごいガソリンだった。そのままではまったく性能もでないので、ECUのセッティングを、ゼロからやりなおすことになった。だからブラジルに着いてからも、藤波たちチーム一行はたいへんに忙しかった。
さらに。南米独特の気候というか、1日に何度も雨が降る。それもほとんどスコールである。スタジアムだから雨は関係ないと思われるだろうが、それは甘い。選手用のウォーミングアップエリアは、スタジアムの外、屋外に設営されていた。雨が降ったら、ウォーミングアップはできない。
さらにさらに。このスタジアムは雨漏りもした。外で雨が降れば、ポチャンポチャンとインドアなのに雨が降る。それがごていねいに、ちょうどセクションのライン上を濡らしている。セクションは、いきなり難易度を増してしまう。たいへんなインドア大会だったのである。
7つのセクションを終えて、藤波はボウと同点ながら2位となっていた。トップはラガだ。7つのセクションのあと、ダブルレーンで藤波と戦うのはラガだった。ラガはスピードで藤浪に負け、さらに1回の足つき。さらにその後のハイジャンプでもバーを1本落として、藤波とラガの点差は2点となった。
3位争いはボウとファハルドで争われたが、ラガ同様にボウがダブルレーンで失敗。クォリファイを2位で通過したのは、7セクションを8点で終えて4位につけていたファハルドだった。
「あれよあれよという間に1ラップ目のトップになってしまった」という藤波。今シーズンはじめて、ファイナルを一番最後からスタートするライダーとなった。
ファイナルでは、藤波、ファハルドともに第1、第2と5点となって、この時点でラガと7点差。優勝争いは、この時点でほぼ確定してしまったといっていい。
スピードレース(ダブルレーン)で、藤波は珍しくラガにもファハルドにも負けてしまった。これで2点を追加。ファハルドはダブルレーンでラガに負けたが、さらに1回足つきをしていた。第3セクションでも足つきのあったファハルドと藤波は、1点差のままハイジャンプを迎え、そして両者ともクリーンした。
ラガには逃げられても、なんとか2位は守りたいと考えていた藤波だったが、その目標はクリアすることができた。と思ったところで、ファハルドと同点なのでプレイオフをおこなうというアナウンス。寝耳に水。実はファハルドがダブルレーンでの足つき減点に物言いをつけて、これが通った模様だった。どうやら、足つきは床のじゅうたんの貼り方が悪くて、それが原因だと主張したらしい。
2位を獲得していたと思った藤波だが、ここで再びダブルレーンを戦って、ここで勝たなければ2位はないという緊迫した状況。しかしここで藤波は、きっちりファハルドに勝利して2位を守ることに成功した。
初の2位入賞は、同時にランプキンとのランキングも逆転し、ランキング5位に進出することにもなった。ランプキンとは一気に5点差。ランキング4位のファハルドとは7点差。
今回、残り2戦にしてラガが4度目のインドア世界チャンピオンを決定した。ラガにとってはアルゼンチン、スペインの残る2戦は消化戦だが、来るアウトドアシーズンに向けてのジャンプボードとしたい藤波にとって、インドア世界選手権はこれからが本番だ。
○藤波貴久のコメント
Indoor Trial WorldChampionship 2006
Sao Paulo |
Final Lap(決勝) |
1位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
11 |
2位 |
藤波貴久 |
レプソル・モンテッサ・HRC |
17 |
3位 |
ジェロニ・ファハルド |
ガスガス |
18 |
Qualificarion Lap(予選) |
1位 |
藤波貴久 |
レプソル・モンテッサ・HRC |
7 |
2位 |
ジェロニ・ファハルド |
ガスガス |
8 |
3位 |
アダム・ラガ |
ガスガス |
9 |
4位 |
トニー・ボウ |
ベータ |
9 |
5位 |
アルベルト・カベスタニー |
シェルコ |
12 |
6位 |
タデウス・ブラズシアク |
スコルパ |
17 |
7位 |
ドギー・ランプキン |
レプソル・モンテッサ・HRC |
25 |
PointStandings(ランキング) |
1位 |
アダム・ラガ |
90 |
2位 |
アルベルト・カベスタニー |
69 |
3位 |
トニー・ボウ |
60 |
4位 |
ジェロニ・ファハルド |
53 |
5位 |
藤波貴久 |
46 |
6位 |
ドギー・ランプキン |
41 |
7位 |
タデウス・ブラズシアク |
6 |
8位 |
シャウン・モリス |
6 |
9位 |
ジェームス・ダビル |
5 |
10位 |
ダニエル・マウリノ |
4 |
11位 |
ジェローム・ベシュン |
2 |
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