2005年 世界選手権第6戦フランス

2005年6月25〜26日/Pole Mecanique Ales Cevennes

大乱調の2日間……

アンドラ大会でランキングトップを奪われ、気合いを入れ直して挑んだフランス大会。会場はサーキットもあるモータースポーツ総合施設で、周囲の岩肌にセクションが設けられていた。自然のままの地形のものもあったが、多くは人工的に石を運び込んで世界選手権のセクションに仕立て上げたものだ。

【土曜日】

土曜日の出だしは、たいへんによかった。藤波ただ一人がオールクリーンを続けていて、ほかの追随を許さない。しかしこれも、1日を通して維持できなければ、意味がなかった。

山の中の7〜9セクションは難セクションだった。ここでオールクリーンをストップした藤波だったが、しかしここでの減点は、比較的ふつうで問題はない。ところがこの日は、そのまま後半の大量減点につながってしまった。

あまりの暑さに体力的な問題があったのか、それとも他に原因があるのか、ともかくも藤波は、今期最悪の5位で試合を終えた。ランプキンが12位に低迷してライバルが一人減ったが、ラガとカベスタニーが上位につけているので、なんとかこの週末のうちに流れを変えておきたいところだった。

【日曜日】

起死回生で迎えた日曜日、しかし藤波の調子は今一歩だった。それでも1ラップ目を終えたところで、藤波の減点は15で、これは3位に位置した。思わぬ減点を積み重ねても、順位を維持する。チャンピオンらしい戦いかただった。

しかし悪夢は、2ラップ目に入ってから襲ってきた。

まず第1セクション(トップの中には、1点以上とった者はない)で5点、続く第2(これもトップ5はみなクリーンだ)ではラインを乱して登りきれず、しかもその際にチェーンを岩にヒットさせて、おまけにクランクケース(マグネトー側)を割ってしまうというアクシデントに遭遇する。

万事休す。しかし不幸中の幸いだったのは、2ラップ目に入ったばかりで、しかも比較的早めに試合を進めていたことだ。すぐにピットに戻ってマシンを修復し、試合に復帰。ライダーのミスが招いた(であろう)トラブルに、チームの面々が必死で修復にあたる姿を見て、藤波はもう一度試合をやりなおす覚悟で走り始めた。そして2ラップ目中盤までは、その成果が出て、なんとか最悪の事態は避けられそうな感じだった。

しかしまたしても、2ラップ目終盤のセクション軍から、藤波の乱調が始まった。とどめは、岩を積み重ねた人工の最終セクションで、いきすぎてしまってゲートマーカーを越えての5点となったことだ。これで、接戦の6位争いにも敗れて8位に転落してしまった。

ランキングトップのラガには20点以上の差をつけられ、一気に苦しい展開となった世界チャンピオンである。

○藤波貴久のコメント

「なさけない。ほんとうになさけない。土曜日と日曜日は、原因はちがうのですが、結果はまったく同じです。日曜日は、98年のイギリス大会以来の、どうしてこうなってしまうのか、原因をつかむこともできないままに試合が終わるという状況でした。土曜日は、それでもチーム内の問題もないではなかったのですが、日曜日はチームは完璧だった。完全にライダーの失敗です。96年に世界選手権が始まってからこれまでのことを考え直して、いろんなところをやりなおさないといけないと思います。本当になさけない。きのう大クラッシュして、足を引きずっているランプキンにまで負けるとは思わなかった。おまえは世界チャンピオンなんだぞと気を引き締めて、次回イタリアに挑みます」

World Championship 2005
Pole Mecanique Ales Cevennes
土曜日/Saturday
順位 ライダー   L1 L2 TO Pts CL
1位 アダム・ラガ ガスガス 13 20 0 33 16
2位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 25 12 0 37 19
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 29 12 0 41 37
4位 トニー・ボウ ベータ 22 19 0 41 16
5位 藤波 貴久 ホンダ 19 29 0 48 16
6位 マルク・フレイシャ モンテッサ 30 19 0 49 16
7位 黒山 健一 ベータ 34 30 0 64 8
8位 グラハム・ジャービス シェルコ 44 40 0 84 5
9位 ジョルディ・パスケット ガスガス 44 40 0 84 5
10位 タデウス・ブラズシアク ガスガス 44 45 0 89 6
11位 野崎 史高 スコルパ 51 42 0 93 7
12位 ドギー・ランプキン モンテッサ 36 63 0 99 7
13位 シャウン・モリス ガスガス 48 65 0 113 3
14位 サム・コナー シェルコ 60 54 0 114 0
15位 クリストフ・ブルオン ガスガス 59 58 0 117 1
L1=1ラップ、 L2=2ラップ、 TO=タイムオーバー、Pts=減点、CL=クリーン
日曜日/Sunday
順位 ライダー   L1 L2 TO Pts CL
1位 アダム・ラガ ガスガス 7 15 0 22 20
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 12 18 0 30 21
3位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 25 8 0 33 19
4位 トニー・ボウ ベータ 23 14 0 37 17
5位 マルク・フレイシャ モンテッサ 25 17 0 42 15
6位 ドギー・ランプキン モンテッサ 23 26 0 49 15
7位 黒山 健一 ベータ 25 24 0 49 14
8位 藤波 貴久 ホンダ 15 37 0 52 15
9位 グラハム・ジャービス シェルコ 34 23 0 57 9
10位 タデウス・ブラズシアク ガスガス 29 28 0 57 9
11位 野崎 史高 スコルパ 27 44 0 71 11
12位 ジョルディ・パスケット ガスガス 45 39 0 84 5
13位 ジェローム・ベチューン ガスガス 49 52 0 101 2
14位 マーセル・ジャストリボ モンテッサ 49 53 0 102 4
15位 渋谷勲 ヤマハ 60 45 0 105 4
L1=1ラップ、 L2=2ラップ、 TO=タイムオーバー、Pts=減点、CL=クリーン
ランキング
1位 アダム・ラガ 149
2位 アルベルト・カベスタニー 141
3位 藤波 貴久 128
4位 ドギー・ランプキン 125
5位 トニー・ボウ 103
6位 マルク・フレイシャ 101

Pix : Mario Candellone 公式リザルト(土曜日)(PDF)はこちら
公式リザルト(日曜日)(PDF)はこちら
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