2005年 インドア世界選手権第8戦(全12戦) ポルトガル大会

2005年2月26日/Pavilhao Atlantico Stadium/観客数:6500人

マシンと一体化した走りできるも、残念

ヨーロッパの西のはて、ポルトガルでのインドア世界選手権第8戦。今回藤波は、ワイルドカード、タデウス・ブラズシアクに次いで、二番手のスタート順を与えられての試合となる。

より進化した仕様のマシンを投入し、マシンの性能向上を大いに確認しながらも乗り込み不足が圧倒的に不足して不本意な成績に終わったイタリア大会から1週間たった。その間、3日ほどではあったがマシンの乗り込みもできて、今回は久々に試合前にマシンの性格をつかんでの参戦となった。このインドアシーズン、藤波が3日間という短い乗り込み期間だったが、これだけマシンとのコンビネーションを持って大会に臨むのは、スタンダードマシンで参戦した第1戦シェフィールド以来のことだ。

藤波の前にクォリファイセクションをトライしたブラズシアクは、最近たびたびインドアシリーズに参戦している。まだトップクラスの走りとはいえないが、二番手スタートの藤波にとって、いくつか参考になる走りを見せてくれた。

インドアのセクションは、組み合わせは毎回異なるが、素材は同じものが使われることが多い。ポルトガルでは、毎年同じ素材が使われる。インドアでのセクションに慣れるということは、インドアテクニックを身につけるということもあるが、セクションの素材の性格を把握するということでもある。スペイン勢はより多くのインドア経験を持っているが、藤波のインドア経験ももはや少ないものではない。二番手のスタートでも、そんなにハンディを感じなかったという背景には、こんな事情がある。

この大会、鬼門だったのは第2セクションだった。上がれればOKだし上がれなければだめという白黒がはっきり出てしまうセクション。飛びついたあとに、さらに二段上がっていく構成で、すべてのタイミングをぴったり合わせる必要がある。このタイミングは、誰にとっても高度だった。そしてタイミングがあったのは、カベスタニーだけ。ほかは、誰一人このセクションを攻略できずに終わった。

ところが第5セクション。ここはふつうに走ればふつうに抜けられるセクションだった。ポイントは、高いところから鉄板に飛び移るところ。ここで藤波は、鉄板にアンダーガードをかけていく走り方を選んだ。

ところがそのとき、鉄板を地面に固定しているパイプが、リヤタイヤと干渉した。一瞬タイヤが滑り、そして5点となる失敗につながった。このセクション、フレイシャが5点となっている以外は、みなクリーンか1点で抜けているから、藤波のこの5点は致命的となったといっていい。

7セクションを終えて、3位ランプキンと3点差。ダブルレーンで勝利して2点差としたが、しかし藤波のファイナル進出はならなかった。今回は、今までの数戦とは試合以前のマシンとのマッチングが異なっただけに、結果としてクォリファイ敗退という同じような結果に終わったのは、なんとも残念なことだった。

ポルトガルのセクションはテクニカルだった。複雑な地形を演出して組み合わせを克服して走ることを要求される。バルセロナ大会のような、上がれるか落ちるかの結果で競う大会とは相反する大会だ。そんなセクションを、カベスタニーは上手に走り、今回のラガは、ミスが目立った。そしてポルトガルのお客さんたちは、クォリファイをオールクリーンしたカベスタニーの味方についた。ポルトガルのスタジアムを走るカベスタニーは、もてぎを走る藤波のようだった。そんな会場に後押しされて、カベスタニーはラガの連勝記録をストップさせた。

藤波らのマシンは、徐々に形を整えつつある。今回のファイナルでは、序盤はランプキンがカベスタニーとラガの戦いに、真っ向から立ち向かった。後半失敗が続いて優勝戦線から離脱してしまったが、マシンのポテンシャルは充分に高いことを実証されたといっていい。

リスボン大会のあと、モンテッサチームは、大きなテスト週間を迎える。全体の方向性は、ここまでインドアシリーズを戦ってきて固まりつつあるが、マシンそのものは、このテストでさらに大きく進化する。このマシンがどのような仕様に落ち着くのかはテスト次第だが、次回のイタリア大会は、このニューマシンで登場することがほぼ決定的だ。ニューマシンのポテンシャルの高さも楽しみだが、大会参加については、またも乗り込み不足でおこなうことになりそうだ。

マシンと自身のポテンシャルをはやく証明したい藤波とモンテッサ陣営だが、ともあれ今は、よりポテンシャルの高いマシンを作り上げることが、チームの一番の目的だ。

次戦は、イタリアにて、3月5日に開催される。

○藤波貴久のコメント

「非常にくやしい大会となりました。今回は、ふつうに走っていればファイナルに進出できたなぁという思いです。調子は悪くなかったです。マシンの乗り込みもできていたし、マシンとの一体化もできていました。内容は悪くなかったんですけど、試合はいい結果ではなかったですね。ドギーがファイナルの終盤で失敗してトップ争いから脱落していくのをみて、あらためてファイナルを走りたかったなぁと思いました。くやしいです。アウトドアの開幕に向けて、マシン開発は順調に進んでいるのですが、インドアの戦いは、なかなか結果が出ずにくやしいですが、開発もいよいよ終盤です。いいマシンが出きるのを、ぼくも楽しみにしています」

Indoor Trial World Championship 2005
Round 8
Final Lap(決勝)
1位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 7
2位 アダム・ラガ ガスガス 7
3位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 18
Qualificarion Lap(予選)
1位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 0
2位 アダム・ラガ ガスガス 7
3位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 9
4位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 11
5位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 17
6位 マルク・フレイシャ レプソル・モンテッサ・HRC 20
7位 タデウス・ブラズシアク ガスガス 21
PointStandings(ランキング)
1位 アダム・ラガ 78
2位 アルベルト・カベスタニー 61
3位 ドギー・ランプキン 43
4位 ジェロニ・ファハルド 36
5位 藤波貴久 36
6位 マルク・フレイシャ 26
7位 トニー・ボウ 11
8位 タデウス・ブラズシアク 8
9位 ジェローム・ベチューン 5
10位 野崎史高 1

Pix:
< http://www.worldtrials.info/>
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