2005年 インドア世界選手権第7戦(全12戦) イタリア大会

2005年2月19日/Fila Forum/観客数:65000人

成績は最悪、しかし収穫あり

寒いロシアから西ヨーロッパに戻ってきて、北イタリア、ミラノでのインドア世界選手権。今回は第7戦となる。

アウトドアの世界選手権開幕に向けて、急ピッチでマシン開発をおこなうモンテッサチームは、インドアの試合直前でもよりよい仕様を求めてテストが続けられている。今回も、試合前日に、仕様変更が施された。もちろん乗り慣れる時間もないまま、チームはイタリアへ向かい、インドア大会を走ることになった。

藤波は今回最終スタート。第1戦以来、6戦ののちに、再び藤波に最終スタートとなる順番が回ってきた。ブラズシアクから始まり、先行するライバルを戦いを見ていると、持ち時間が非常に厳しそうだ。ラガもランプキンも2分で4点のタイムオーバー減点をとってしまった。これを見た藤波は、シェフィールドの時と同じく、リスクの高いセクションを早めにあきらめ、時間を温存して成績につなげる作戦をとった。まず、パンクの可能性があり、しかも時間のかかっていた第1セクションを、早めに自ら5点となった。ここまでは予定通りだった。

第2セクションは、一段一段修正しながら超えていくステップがあった。一段を越えて二段目にかかるとき、藤波はこれまでのように2速を選択したのだが、意外にも、マシンがすばやい動きで段差に向かって飛んでいった。思ったよりもはるかに速く、5点になってしまった。

実は、チームメイトのふたりと検証した結果、ここはローギヤで走り抜けるべきセクションだったという。しかし藤波には、このマシンを走らせる術が、まだまだわかっていなかった。見た目にはわからないかもしれないが、藤波とこのマシンの組み合わせは、ほとんどぶっつけ本番のような状態なのだ。

しかし、藤波は落ち込んでいなかった。マシンの仕上がりはすばらしかった。この仕様なら勝てると確信できるような性能を、新しいエンジンは発揮していた。ただ、圧倒的に乗り込みの時間がないという点が、唯一にして絶対的な問題点だった。

第3セクション。5点を二つもらったが、まだまだこれからだと、藤波の気持ちはポジティブだった。このセクションには、ちょっとした飛び移りがあった。超難関といえるようなポイントではなく、藤波も今まで通りここをぽんと飛んだ。ところが、マシンは思ったよりもはるかに飛んでいった。ここでまた、マシンへの慣熟不足が出てしまった。飛びすぎて、大クラッシュになってしまった。

このクラッシュで、フェンダーは割れ、アクセルも戻りにくくなっていたが、インドアでは修理時間はほとんど与えられていない。タイムオーバーをきらって、そのまま走ることにした。これがまた裏目となった。第4セクションでアクセルが全開になって戻らない。これで、序盤4つのセクションをすべて5点となった。
あっさり5点となったものが多かったので、持ち時間も余っていた。ここで藤波は、戻らなくなったアクセルなどの整備をして、後半の3セクションに挑んだ。しかし、もうクォリファイ通過は、夢のまた夢物語となっていた。

試合は、こんなふうに最悪だった。しかし藤波は、そんなに悪い思いはいだいていない。度重なる仕様の変更、セッティングの調整。その結果、マシンはどんどんよくなっている。そして今回、今までになく藤波の満足のいく仕様ができあがっていた。インドアの結果はどうしようもないものだったが、その裏には、マシンの急激な進歩があったのだ。

この1、2週間のうちには、アウトドアシーズンに向けて、そろそろ本番仕様のマシンの仕上げにかかる予定だという。しかしその間にも、インドアの大会は開催される。慣熟の足りないマシンでのモンテッサ陣営の苦戦は、もうしばらく続きそうだ。しかしそれもまた、予定どおり、なのかもしれない。
次の大会は、2月日、ポルトガル、リスボンで開催される。

○藤波貴久のコメント

「成績はひどいもんでしたけど、ぼくの気持ちはあっさりしたものというか、そんなに不満ではありません。今回は成績以外の部分で、収穫がいっぱいありましたから。今回のマシンは、ウォーミングアップで乗ったときの印象はとってもよかったんですが、でもまったく乗り慣れていないものだったんで、その性能の内容がわかんないままで、ギヤの選択もわからないし、思ったよりもいきすぎてしまったりして、試合中はこのマシンの乗り方がぜんぜんわからないまま終わってしまいました。でも、この仕様はものすごく気に入ってます。乗り込む時間があればいいんですけど、次の大会まで乗れるのは3日間で、その間にもまた仕様が変わるかもしれないので、成績が出ないのは、くやしいけれどしかたないかもしれません。そのうち、どこかでポンといきますよ。シーズンの流れとしての内容は悪くないですから」

Indoor Trial World Championship 2005
Round 7
Final Lap(決勝)
1位 アダム・ラガ ガスガス 9
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 9
3位 トニー・ボウ ベータ 34
Qualificarion Lap(予選)
1位 トニー・ボウ ベータ 6
2位 アダム・ラガ ガスガス 9
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 19
4位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 21
5位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 23
6位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 27
7位 マルク・フレイシャ レプソル・モンテッサ・HRC 28
8位 タデウス・ブラズシアク ガスガス 31
PointStandings(ランキング)
1位 アダム・ラガ 70
2位 アルベルト・カベスタニー 51
3位 ドギー・ランプキン 37
4位 ジェロニ・ファハルド 32
5位 藤波貴久 31
6位 マルク・フレイシャ 23
7位 トニー・ボウ 11
8位 タデウス・ブラズシアク 6
9位 ジェローム・ベチューン 5
10位 野崎史高 1

Pix:Pep Segales
< http://www.worldtrials.info/>
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