2005年 インドア世界選手権第5戦(全12戦) スペイン大会

2005年2月6日/Sant Jordi Stadium/観客数:10500人

いきなりマシンを壊して苦戦!

結果、なんとこの大会、藤波貴久は出場6人中、最下位だった。本人も認めるとおり、惨敗である。

なにが起こったのかといえば、事件は最初のセクションで起こった。第1セクションに設けられていた3段ステアは、かなり厳しいものだった。この3段目、もっとも高い段にアンダーガードがひっかかって、そのまま下まで落下した。下まで真っ逆さま、マシンは、どうやらフロントフォークから着地したようだ。

フロントフォークの曲がった
マシンでトライする藤波

このセクション、藤波のあとにトライしたランプキンは、マインダーが立つように設営されていたリフトに足をついて、かろうじてその難所を通過した(その先で5点になってしまったが)。フレイシャも、やはり登れなかった。難所だったのだが、藤波は、運がなかった。マシンが無事なら、その後の展開もちがったはずだ。

マシンは、大破といってよかった。大きな衝撃を受けたフロントフォークはぐにゃりと曲がった。特に右のフロントフォークは、はっきり「く」の字に曲がっていた。実は、藤波の長いトライアル暦の中で、フロントフォークを曲げたのはこれがはじめてのことである。

フロントフォーク以外にも、ハンドルが曲がりレバーが曲がり、満身創痍である。ふつうなら、このマシンはこれにて戦線を離脱して、スペアマシンに乗り換えるところだが、モンテッサチームは、いまだワークスマシンの開発途上である。今回藤波が走らせたのも、フレームはスタンダードベース。スペアに用意されていたのは、エンジンを含めて、まるごとスタンダードマシンだった。

第2セクションは、高いステアが用意されていた。スタンダードのままこれを登るのはむずかしいと、藤波は考えた。一方、転落してぼろぼろのマシンは、エンジンはワークス仕様で、元気いっぱいである。藤波は、曲がったフロントフォーク、曲がったハンドル、曲がったレバーのまま、第2セクションをトライすることにした。今回のクォリファイでは、8セクションを11分で走ることが義務づけられている。フロントフォークはおろか、ハンドル交換をする時間も与えられていない、レバーを修正する時間もないのだ。

結局、第2セクションは登れなかった。ランプキンとフレイシャはここを走破しているから、やはり、マシンのハンディは大きかったといえる。

第3セクションは、今回の中では、比較的難易度の低いセクションだった。藤波は、これも、曲がったマシンでトライした。そしてクリーンした。しかし、さすがに曲がったマシンでの大会参加は、限界だった。第3セクションを終えて、藤波はスタンダードのスペアマシンに乗り換えた。

スタンダードマシンで奮闘する藤波

しかし、残るセクションも、藤波は真価を発揮するにはいたらなかった。8セクションを終えて、藤波の減点は21点で、トップのラガとは16点もの差になった。最後のダブルレーンでは、8セクションを19点で終えていたフレイシャと勝負をして、これを下している。マシンの壊れていないフレイシャと1点差なのだから、今回はこれでも大健闘だったといわねばならない。

この大会、セクション設営はジョルディ・タレスの兄がやっているのだが、偶然なのかどうか、4ストローク勢には非常に厳しいセクション設営となっていた。すべてのセクションが、登って下って登って下る設営で、しかもラインはすべてまっすぐ。ひねりながらターンをしたりという設定はいっさいなかった。

こういった設定はインドア特有のもので、アウトドアでは考えにくい設定だが、モンテッサ陣営にとっては、こういった弱点があるのは、今回の収穫だった。弱点は弱点だが、新しい課題ができたことで、マシン開発や今後の練習方法に、新たな工夫を思い巡らす藤波以下、モンテッサチーム一同である。

次戦は次の土曜日、2月12日、ロシアの古都、サンクト・ペテルベルグで開催となる。

○藤波貴久のコメント

「今回は惨敗でした。ぼくにすれば第1セクションのクラッシュがとにかく痛かったです。でも、モンテッサのホームでもあるバルセロナで、モンテッサのライダーが一人も残れないんですから、やっぱり惨敗です。監督には、スペイン勢はスペイン選手権でインドアをたくさん走っているから、ドギーと藤波はハンディをかかえている、しょうがないと言ってくれていますが、そんな言いわけはしたくないので、ハンディをなくすように、練習方法も変えて、取り組んでいきたいと思います」

Indoor Trial World Championship 2005
Round 5
Final Lap(決勝)
1位 アダム・ラガ ガスガス 15
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 22
3位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 24
Qualificarion Lap(予選)
1位 アダム・ラガ ガスガス 6
2位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 8
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 8
4位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 17
5位 マルク・フレイシャ レプソル・モンテッサ・HRC 20
6位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 21
PointStandings(ランキング)
1位 アダム・ラガ 50
2位 アルベルト・カベスタニー 38
3位 ドギー・ランプキン 27
4位 藤波貴久 24
5位 ジェロニ・ファハルド 19
6位 マルク・フレイシャ 19
7位 トニー・ボウ 5
8位 ジェローム・ベチューン 5
9位 タデウス・ブラズシアク 2
10位 野崎史高 1

Pix:Pep Segales & Santi Diaz
< http://www.worldtrials.info/>
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