2005年 インドア世界選手権第3戦(全12戦) フランス大会

2005年1月28日/Ze'nith de Toulouse Sports Stadium/観客数:5000人

残念! 2戦続けてファイナルに進めず……

ワークスエンジンの実戦投入をはじめて2戦目、シリーズは3戦目。しかし今回のトゥールーズ大会は、なんとも残念な結果に終わった。藤波も、くやしがることしきりで、まず、くやしい以外の感想はない。

藤波本人の調子は、悪くなかった。世界チャンピオンとして、調子が悪い状態で試合に臨むことなど、もはやないのだが、それでも微妙な好不調はある。昨年のアウトドアでは、その好不調を見事にコントロールして堂々たる試合っぷりを見せた藤波だが、インドアでは、まだそこまでの横綱相撲ができないのかもしれない。さしたる緊張感もなかったが、むしろ、もう少し緊張していてもよかったのかもしれなかった。試合が始まるまでは無の心境だったが、試合が始まると、前回クォリファイで敗退しているだけに「決勝に残りたい」という意識がむくむくと頭をもたげてきた。そういう気持ちは充分に殺してセクションに挑むのが王道だが、この日の藤波はそこにちょっと甘さがあったようだ。

走りそのものは、そんなに悪いものではなかった。今回のセクションは、5点になりそうなところが限られていて、トップライダーにとっては、そのいくつかのセクションをいかに正確に走破していくかが鍵となったのだが、そのうちのふたつで藤波は5点になってしまった。それが今回の敗因となった。

スタート順は、ベチューン、そして初登場のトニー・ボウ、ランプキンに続いて4番手。ボウはワイルドカードライダーだがインドアのうまさにはすでに定評がある若手。露払いとして不足はなかったが、今回のボウは、ちょっと予想外の活躍を見せた。7セクションを終えて、減点が11。続いて走ったランプキンが8点。そこで藤波は、12点を叩いてしまった。藤波のあとから走ったフレイシャが11点、カベスタニーが10点と、ラガを待たずとも、この時点で藤波のファイナル進出は、かなり厳しいものとなった。

ダブルレーンはボウと戦うことになった。今回のダブルレーンは、いつもとはちょっとちがって、アップダウンのあるダイナミックなもので、その分、転倒のリスクもあった。藤波は、ここでボウに勝てば同点となるが、7セクションを走ったタイムは、ボウの方が圧倒的に速い。ボウに勝つには、藤波が勝って、なおかつボウに足をついてもらうしかなかった。ダブルレーン終盤まではボウと争った藤波だったが、最後の最後で、リスクをちょっとだけ避けた。そのすきにボウが抜き出て、最終的な藤波の減点は13点となった。

藤波にもやや不運な面はあったのだが、しかし今回、もっとも不運な目に遭ったのがフレイシャだった。ファイナル進出が大きな課題となっているフレイシャは、ダブルレーンでカベスタニーに勝利するのが必須条件だった。この思いが、藤波がアクセルを一瞬戻したところでフレイシャに無理をさせた。大クラッシュで転倒したフレイシャは、ファイナル進出を逃したばかりか、両手の指に負傷を追ってしまった。藤波がぎりぎりのところでひいたのは、結果的には正解だったわけだ。

今回の藤波は、実はフレームもエンジンも前回とはがらっと変わった仕様で走った。といっても、ワークス仕様のフレームはまだ実戦投入されていない。ライディングポジションなどのセッティングを変更した程度のモディファイだ。エンジンも、同じようなアレンジのちがう仕様ということだ。ちょっと問題だったのは、前回のマルセイユ大会から今回のトゥールーズまで、1週間足らずの期間しかなかったことだ。藤波がこのフレームで乗り込めたのはわずかに1日、エンジンにいたっては、トゥールーズに出発する直前に、スニーカーで走らせて調子を確認しただけという状態だった。マシンの仕様変更は今回の結果の言いわけではないと藤波はきっぱり言う。むしろ、この仕様には、かなりの満足を覚えている藤波だった。

次戦グラナダ大会は、中1日の強行スケジュール。しかしそろそろ、本領を発揮する時期となった。

○藤波貴久のコメント

「うーん、まことに残念。とっても残念です。今回はボウにも負けちゃいました。終わってからボウと話したのですが、なんにもプレッシャーがなくて、楽しんで走っていると言ってました。うらやましい気もしますが、でもボウはうまかった。セクションによっては、カベスタニーがいけなかったところをいってしまったりしていましたから。さて、次はいきますよ。悪くても、ドギーには勝っておきたいですからね」

Indoor Trial World Championship 2005
Toulouse Indoor Trial
Final Lap(決勝)
1位 アダム・ラガ ガスガス 6
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 15
3位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 17
Qualificarion Lap(予選)
1位 アダム・ラガ ガスガス 2
2位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 9
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 10
4位 トニー・ボウ ベータ 11
5位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 13
6位 マルク・フレイシャ レプソル・モンテッサ・HRC 16
7位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 17
8位 ジェローム・ベチューン ガスガス 35
PointStandings(ランキング)
1位 アダム・ラガ 30
2位 アルベルト・カベスタニー 22
3位 ドギー・ランプキン 19
4位 藤波貴久 15
5位 マルク・フレイシャ 10
6位 ジェロニ・ファハルド 9
7位 トニー・ボウ 5
8位 ジェローム・ベチューン 3
9位 タデウス・ブラズシアク 2
10位 野崎史高 1

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