2005年 インドア世界選手権第2戦(全12戦) フランス大会

2005年1月21日/Palais des Sports Marseille/観客数:6000人

収穫あり! しかしくやしい予選落ち……

インドア世界選手権も第2戦。前回一番最後にスタートした藤波は、今年から採用されることになった新たなルールで、今回はノミネートライダーの中で最初にクォリファイラップを走るライダーとなった。

藤波の前にセクションを走るワイルドカードライダーは、フランスのジェローム・ベチューンと野崎史高。セクションはむずかしく、時間設定もかなりタイト。ベチューンはタイムオーバーがかなりあり、野崎は走破できるセクションがほとんどなく、藤波が走るにあたって彼らを参考にできることは、残念ながらほとんどなかった。

今回、藤波とランプキンのマシンには、ワークスエンジンが装着された。前回イギリス大会では、まだ開発が間に合っていなかったものだが、焦点をあてているアウトドアの世界選手権に向けて、この大会で実戦テストを開始というわけだ。フレイシャは、このエンジンとの完熟がまだ充分でないということで、今回はスタンダードベースのマシンに乗っている。

さて大会は、残念ながら今回の藤波は、ファイナルラップに進出することができなかった。一番スタートは大きなハンディになるという予想はあったが、やはりそのハンディが小さくなかったということだ。

藤波のライバルであるラガ、カベスタニー、ランプキンのスタート順はみな最後のほうに固まっている。彼らは藤波、ファハルド、フレイシャの走りを参考にし、時間配分を組み立てる余裕がある。特に一番最後にスタートしたランプキンは、計算しつくして走っていた。すでにランプキン以外の全員の点数が明らかになっているわけだから、ファイナルに進出するのに、どんな走りをしたらいいのかは、簡単につかめるわけだ。

8つのオブザーブドセクションを終えて、藤波の12点に対してランプキンは11点。ラガとカベスタニーは一桁で8つのセクションを走り終わっている。このあと、藤波とランプキンでダブルレーンを戦って決着をつけるわけだが、8つのセクションに対しての持ち時間は12分となっていた。藤波は11分27秒。ランプキン11分11秒。同点の場合、インドアではタイムのよいほうが上位となるから、ランプキンは藤波に同点に並ばれても、ファイナルに進出できるという有利性があった。

そしてダブルレーン。今回のダブルレーンは、難易度が高かった。通常ダブルレーンといえば、クリーンは当然程度の難易度で、勝負に焦るライダーのミスをさそうパターンとなるのがふつうなのだが、今回はしっかりとしたセクション並の難易度があった。1点負けている藤波は、クリーンしてランプキンに勝って、そのうえでランプキンのミスを待たなければいけない。逆にランプキンは、とにかく足をつかなければファイナル進出だ。

藤波はランプキンに先んじてこのセクションを走破。もちろんクリーンだ。そして藤波がゴールしたあと、およそ1分もよけいにかかって、ランプキンがゴールした。途中、何度か足をつきそうな場面もあったのだが、じっくり走りきって、ダブルレーンの負けの1点を追加したのみ。これで、ランプキンのファイナル進出が決まり、藤波の敗退が決まったのだった。

しかし藤波は、結果は結果としてくやしい限りだが、はっきりとした満足も感じていた。ファイナル進出が至難と思われるこのスタート順から、去年までならファイナル進出となっていたであろう4位のポジションを得た。それも、もう少しでファイナル進出が可能になったかもしれない成績での結果だった。

マシンの調子もすこぶるよい。ワークス製となったのはエンジンのみで、車体まわりはまだスタンダードだから、まだまだマシンの熟成は期待が持てるところだが、ワークスエンジンの投入のみでも、そのポテンシャルアップは明らかだった。さらに、ファイナルの走りを見ていれば、この日勝利の権利を握っていたのは、ラガではなくランプキンだった。ランプキンが勝利まであと一歩のところまで迫ったことで、4ストロークエンジンが、2ストロークに対して充分に戦える実績となったわけだ。

藤波の見るところ、ランプキンもカベスタニーもラガも、決してミスがない走りをしているわけではない。ラガも去年ほどの圧倒的な強さを発揮している感じではない。藤波は、今後のインドアに向けて、大きな可能性を感じているところである。

○藤波貴久のコメント

「新しいマシンで、ハンディをかかえながらの戦いになりましたが、ライディングの内容も前回よりもよくて、大きな収穫がありました。でも、試合が終わってホテルのベッドで、夢を見てうなされちゃいました。モンテッサの人になぐさめられている夢でした。そんなにまいっていないつもりだったんですが、やっぱり決勝に残れなかったことが、よっぽどくやしかったんだと思いました。このくやしさをばねに、がんばります」

Indoor Trial World Championship 2005
Marseille Indoor Trial
Final Lap(決勝)
1位 アダム・ラガ ガスガス 14
2位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 18
3位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 23
Qualificarion Lap(予選)
1位 アダム・ラガ ガスガス 3
2位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 7
3位 ドギー・ランプキン レプソル・モンテッサ・HRC 12
4位 藤波貴久 レプソル・モンテッサ・HRC 12
5位 ジェロニ・ファハルド ガスガス 22
6位 マルク・フレイシャ レプソル・モンテッサ・HRC 28
7位 ジェローム・ベチューン ガスガス 40
8位 野崎史高 スコルパ 43
PointStandings(ランキング)
1位 アダム・ラガ 20
2位 アルベルト・カベスタニー 14
3位 ドギー・ランプキン 13
4位 藤波貴久 11
5位 ジェロニ・ファハルド 7
6位 マルク・フレイシャ 7
7位 ジェローム・ベチューン 2
8位 タデウス・ブラズシアク 2
9位 野崎史高 1

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